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僕達の日常  作者: さきち
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居酒屋

会社はビジネス街にあるので、近くに居酒屋は少ない。少し歩くが、通りを2、3本先に行ったところに飲食店が密集している場所がある。

行きつけの居酒屋に連れて行く。こじんまりした店だが、料理にハズレがなく美味しい。店の店主も気さくな性格で、居心地がいい。昔は週一で通っていた。

「いらっしゃい黒川さん。」

「2人なんだけど、いける?」

「カウンターなら大丈夫ですよ。」


金曜日だから店内は混んでいる。おしぼりと共にお通しが運ばれてきた。今日は手作りの豆腐の冷奴らしい。店主は凝り性なので、その時凝っている料理や、旬のものが定番メニュー以外のメニューに並ぶ。とりあえずビールと枝豆を頼んでゆっくりメニューを見ることにした。

「青木何にする?」

「僕は蛸の唐揚げと、エイヒレ食べたいです。」

「海老しんじょとなすの揚げ浸し、蕪の含め煮も頼むか。」

店主に注文して、青木に何があったのか話を促す。

「白石さんに振られました。はっきり言われたわけじゃ無いけど、望み薄かなって。」

ガックリ肩を落としている。

「この前、携帯番号教えてもらったってはしゃいでたじゃないか。」

「だってメッセージ送っても返事返ってこないし。」

青木の話によると、面倒くさいから既読無視するけど、それで良ければ教えると言って教えてもらったらしい。まさか本当に返事が返って来ないとは思わなかったらしく、落ち込んだそうだ。それでも諦めず、食事に誘ったりしたが、複数人なら来てくれるが二人きりは絶対に来てくれなかったらしい。

「ガードが硬すぎます。」

青木は、ビールグラスの水滴をツンツンしながら溜息をつく。

「ふぅん。」


青木の話が本当なら、自分の知っている対応と全然違う。メッセージの返事はすぐに返ってくるし、二人きりでラーメンを食べたことも何度かある。部屋にも来たいと言っていた。人懐っこい対応をするので、心配になったのものだが、本当に同一人物なのだろうか。

「それって本当に白石さんの事なんだよな?」

「僕の言うこと信じてないんですか!?」

酷いです!あんまりです!と叫んでいる。ああ煩い。もう酔っ払っているのかコイツは。

「いや、いつもニコニコしてるイメージがあるから。」

「対応は笑顔ですよ。でも隙が無いんです。」

「チョコくれないんですかって言ったら、義理チョコはあげない主義だと言って断られました。」

何?今聞き捨てならない事を言わなかっただろうか。

「義理チョコはあげない主義なのか?本当に?」

「そう言ってましたよ。ああ、もう駄目ですね。潮時かなぁ。」

アプローチしてる男は多いけど、相手にされなかったっていう噂が後を絶たないそうだ。全然知らなかった。

「よくこっちを見てるから、いけるかもと思ったんだけどなぁ。好きな男でもいるのかなぁ。」

はぁと溜息をつく。

「そう言えば、気になる男はいるって言ってたな。相手にされてなくて困ってるとも。」

「ええ!そうなんですか!?誰です?そいつ。」

心当たりがあるが、青木には知らんと言っておいた。


取り敢えず青木をなだめながら、運ばれて来た料理を食べた。

さて、どうしよう。自分の鈍感さに頭を抱えたくなった。

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