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僕達の日常  作者: さきち
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俺と青木(番外編)

 会社を退社しようとバックパックを背負ったところで、青木に声をかけられた。

「先輩、そのバックパックは?」

「ああ、最近ジム通いしてて。運動サボってたからさ。」

 マリンちゃんに情けないと言われた事と、それを莉子に見られてしまった事がショックだったとは言えない。学生時代とは明かに違う、体力の低下を感じてしまったのも大きい理由かも。

「歩いている距離は多いけど、同じ筋肉しか使ってないのは分かります。筋トレとかもしたいですもんね。」

「そうなんだよ。」

 筋トレはキツイけど、体をいじめた後の風呂が最高に気持ち良いし、ビールも美味い。結果が出てくるとやる気も出るし、それが自信にも繋がってくる。こう見えても根はストイックなのだ。


「あ、そう言えば、今も店通ってんの?」

 もちろん店と言うのはマリンちゃんの店の事だ。店の子を物凄く気に入ってたのを知っているだけに、その後が気になる。まぁ、大体予想はつくんだけど。

「…それが聞いてくださいよ!胡蝶ちゃんに、彼氏がいるって言われたんです!」

 ごめんなさいって言われちゃったんですぅ〜!と、青木は泣きそうな顔で俺に縋り付いてくる。

「あー、そっか。」

 胡蝶ちゃん、言っちゃったんだ。黙ってりゃ良いのに…。まぁ、予想通りの展開ではある。

「…驚いてないって事は…知ってましたね!?」

 青木が俺の表情を読み取り、ジト目を向けてくる。

「良いカモだったのに、あの子正直だからなぁ…。今の仕事は向いてないかもね。」

「良いカモ!?」

 そんな風に思ってたんですか!?と耳元で煩い。

「当たり前だろ?それが彼女達の仕事!楽しい時間を提供するのがね。楽しんだんだろ?なら良いじゃないか。」

「むぅ〜、そうですけど〜。」

 まだ納得いかない顔で、青木は唇を尖らせる。男がやっても可愛くないと思う。

「黒川も店行ってるの?」

「ちょこっとは行ってましたけど、最近は僕だけですね。」

「へぇ。」

「何か叔父さんの遺産相続関係で、忙しそうですよ?いつまでも放って置けないからって、本格的に整理するんだそうです。なかなか進まないってボヤいてましたけど。」

「へぇ、初耳。」

「冬くらいには、そのマンションに引っ越ししたいんですって。」

「そうなんだ?」

「泊めて下さいって言ったら、可愛い女の子しか無理って言われたんです!酷くないですか!?」

「あー、そりゃそうだろう。」

 好き好んで、むさ苦しい男を泊めたくはないだろう。

「緑川先輩まで、酷い!男女差別です!可愛さだけなら、自信あるのに!」

「お前は、何を目指しているんだ!?」

「僕は、黒川先輩が好きなだけですよ?」

 不思議そうに言う青木を見て、思わず溜息が出た。顔を伏せた女子社員が数人目に入る。足をバタつかせ、悶えている様だ。

「…そう言うことを平気で言うから、色々誤解されるんだ。」

「誤解って?」

 ニヤニヤ笑ってる女子社員達に、青木は気付いていないのだろうか?今だって黒川先輩が好きって言葉で、小さな悲鳴が上がったのに…。

「まぁ、良いや。」

 多分俺には関係ないし。

「あ、シックスパックに割れたら、見せてください!ついでに触らせて下さい!」

「ああ、良いよ?」

 また数人の女子社員が顔を伏せた。また、噛み殺した様な、小さな悲鳴が聞こえる。うん???


 お疲れ!と言って、その場を後にしたけれど、はたと気付く。

 ち、違うからね!?そう思ったけれど、否定したい相手はどこにも居なかった。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

短編を書きたいのと、読書欲が抑えられないので、来週はお休みさせて頂きます。

ではまた!良い週末を☆

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