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僕達の日常  作者: さきち
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神頼み(番外編)

 会社の先輩に仕事がよく出来る女性がいた。非の打ち所がない様にみえるその先輩にも欠点があった。典型的なダメ男好きだったのだ。


 私の偏見に満ちたリサーチだと、能力の高い人ほどダメ男に引っかかる。何故なのか?どうしてなのか?理由は分からないが、そうやって、婚期を逃した女性を多く見てきた。

 その先輩は、自分の居場所を作ってくれるうえ、甘えられると可愛いと許してしまうと言っていた。これではいけないと、先輩は婚活パーティーに参加し、今は幸せをゲットしている。

「赤城さんも気を付けた方がいいよ?」

 あっという間に歳を取っちゃうからさ、と私はその先輩に言われてしまったのだ。恋愛相談に乗ってもらっている時に、自分の駄目な例を教えてくれたという訳で…。

「私は…大丈夫です。」

 そう答えたけれど、身に覚えがあり過ぎた。グサグサと言葉が刺さる。ダメ男好きなのは認めざるを得ない。別に選んでいる訳ではないのだけれど、気付けばハマっているのは何故なのだろう?

 私は晴天の空を眺めて溜息をついた。



 金曜日の夜、結衣が自宅に遊びに来て、一緒にご飯を食べつつお酒を飲んでいた。

「アーティストの彼とは上手くいってるの?」

 結衣は気を使っているけれど、自称アーティストの彼と言いたいだろうなと思う。何をしているのかも定かでは無かったのだから…。

「…別れた。」

 本当につい最近のことだ。ズルズルと続く関係を断ち切ったのは。もっとゴネるかと思っていたのに、あっさりと了承してくれて、拍子抜けした。君は僕がいなくても生きていけるもんねと言われて、今までそんな風に思われていたのかと、傷付いてしまったけれど…。

「あー、…まぁ、仕方ないよ。」

 少し驚いた様だけど、結衣はそう言う。

「だって、どう考えても合わないでしょって思ってた。」

「合わない?」

 そうなんだろうか…。自分ではよく分からない。

「うん。莉子ってしっかりしてて、頼りにされる事も多いけど、寄り掛かりたいって思ってるでしょ?実は、甘えん坊だもん。だから、お互いにバランスが取れた依存状態じゃないと、上手くいかないんじゃないかって思ってたんだよね。」

 彼女は付き合いが長いだけの事はあり、私の本質を掴んでいると思う。確かに…と納得してしまった。

「甘えられるばかりでは、疲れてしまうんだよね…。」

 それが、別れの大きな原因だと思う。一方的なのは、どちらかに負担になるんだ。

「それは、分かるな…。」

「かと言って、付き合うまでは分からなかったりするんだよね…。」

 私は思わず溜息をついた。

「…私たちって、男運ないよね。」

 最近彼氏と別れた結衣も、大きなため息をついた。別れたのは私も一緒だけれど、自分から切った私とは違い、結衣は浮気されたのだと言う。焼け酒に付き合った時は大変だった。怒るのと泣くのを繰り返して、最終的にはふて寝してしまった。まだ傷は癒えていないだろうけれど…。だけど彼女は、今は笑えている。笑える様になったんだな…。


「…でも良い事もあったよ。」

 ふっと思い出し笑いをして、結衣は私を見た。

「良い事?」

「電車の中で出会った人が良い人で…。」

 結衣は嬉しそうに話してくれる。優しい、背の高いメガネの男性なのだと言う。焼け酒に付き合った翌日に、そんな出会いがあったとは知らなかった。

「お礼が言いたくて、その時と同じ時間の同じ車両に乗ってるのに、出会えないんだ…。」

 縁がなかったのかなぁ…と寂しそうに言う彼女の様子に、おや?と思う。その男性の事が、気になってる感じなのかな?

「縁かぁ…。こうなったら、神頼みでもしてみる?」

「一緒に行ってくれるの?」

「もちろん!」

 善は急げとばかりにこの週末を利用して、縁結びの神様が居る神社にお参りに行くことにした。早速スマホで情報を調べる。一頻り調べて計画を立てたのだけど、そのサクサク進む事。利害の一致って凄いなと思う。


「仕事は順調?」

 追加のおつまみを作りながら、何気なく聞いてみる。

「…仕事自体は順調なんだけど…。」

 結衣は言葉を濁す。

「人間関係?」

「まぁ、そんな感じ。」

 元彼との一件が同僚の知るところとなり、会社での居心地が悪くて辛いと結衣は言う。別に結衣は悪くないけれど、辞めたいとため息をついた。

 確かに元彼ともその浮気相手とも一緒の会社は、居心地が悪いだろう事は想像に難くない。私だったら無理だと思う。だけど負けず嫌いの結衣だから、何とか踏ん張っているのだろう…。

「…うちの会社、事務募集してたかも。人事に聞いてみようか?」

「え、良いの?」

「今、丁度人手不足だから、大丈夫だと思うけど。人事に同期がいるから、聞いてみるよ。」

「ありがとう!」

 早速同期にメッセージを送ったら、履歴書を送って欲しいと連絡が来た。結衣に言うとすぐ書く!と乗り気だ。

「仕事早っ!さすが莉子!写真も撮らなきゃ…。」

 彼女の笑顔に、ホッとする。これから彼女に良い縁が訪れます様に…。

「縁結びに益々気合が入った!」

 チーズをパクリと食べて、結衣は両手の拳を握っている。どうやら気合を入れているらしい。

「私も良い縁が欲しい!」

 私も同じように拳を握り、気合を入れた。

「今日は飲むぞ!」

 結衣は拳を突き上げた。私も同じ様に拳を突き上げる。

「おー!そして食べる!」

 二人でゲラゲラ笑い合った。


 神頼みは、浮世の垢を全部落としてから…。そんな感じで夜は更けていったのだった。


 いつもお読み頂きありがとうございます。

 人生二度目のインフルエンザにかかってしまいました。気を付けてはいたのですが、子供からもらってしまいまして…。お陰で少し痩せました。(一般的には窶れたと言うのかも知れませんが…。)このダイエット方法は辛いので、オススメはしません。(笑)

 布団の中で何でハンバーガーセットのポテトの容器は、自立しないのだろう?などと考えていました。こんな事を考えてしまうのもきっとウイルスのせい。ウイルスって怖いですねぇ…。え?違う?

 来週はお休みさせて頂きます。伏せっていたので時間が取れなかった事と、これから仕事の方が忙しくなりそうなので。

 ではまた☆あなたも身体には気を付けてくださいね!

 あ!短編書きました。『眠り姫』よろしければ、お読みくださいませ♪

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