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理不尽

~シェリー14歳~


 王宮の赤い絨毯が敷かれている通路を一人の少女が早足で歩いていた。

少女は肩まで伸びた柔らかそうな栗色のウェーブの髪、顔は少女の幼さを残しながら女としての色気をただおわせていた。そう彼女は14歳になったばかりのシェリーだった。


シェリーはクリスタ女学院への入学が決まっていた。


(とうとう、この日が来てしまった、、、。結局、お兄様と既成事実出来なかったわ。)


血の繋がった兄妹では問題がありまくるのだがシェリーは平然とそう考えていた。

入学すると2年間は学院から戻ってこれないのだ。


(お兄様と離ればなれになってしまうなんて!!絶対に嫌!!)

シェリーは決意した表情で父のいる公務室の扉の前に来ていた。



~トウヤ16歳~

 トウヤはここ数年で身長が伸びていた。しかし毎日のトレーニングでも見た目の筋肉が付かなかったのだった。

普通はトウヤのようにトレーニングをすれば無駄な筋肉は付かないにしても引き締まった男らしい身体になってる筈なのだ。

トウヤは、自分の身体を見た。


(うん、引き締まっていることは引き締まっているけど、、、。)


身体は男と言うよりも離れて見ると女と言われてもわからないだろう。

そうトウヤの身体を鍛えていたがある程度、筋肉がついてからは幾らトレーニングをしてもステータスが増えるが見た目は変わらなかったのである。最初の頃はステータスが上がるのは面白かったがATT(攻撃力)が5000を超えてから興味を失ってしまった。


いま、トウヤがもっとも力をいれているのが魔法であった。

(あれから、大分コントロール出来るようになったけど、、、。)

シェリーの事件以降、昏睡から目覚めたトウヤは魔法が身体を流れていくのを感じるようになっていた。

トウヤはその膨大な魔力のせいで自分の魔力を感じる事が出来なかったのだが、事件の時に無理矢理発動させた魔力により昏睡したがおかげで感じる事が出来るようになっていた。


(大分馴染んできたな。)


トウヤの魔力制御の練習の方法は特殊だった。

まずトウヤは王宮のし在庫からさまざまな金属の板を持ち出してきた。トウヤは魔力を集中させ圧縮させるイメージで光の珠を作りだしそれを金属の板に当てると金属の板をバターのように削る事が出来た。

最初は鉄から始まり今ではミスリルよりかたいオリファルコンまで削れるようになった。今では繊細な彫刻まで掘れるようになった。トウヤはトウカの時に使っているオリファルコの刀に細かい花の彫刻もその練習で作ったのだ。

トウヤは来訪者が来ているのに気付いた。

練習を行っていたトウヤの後ろにいつの間にかエリサが立っていたのである。


「エリサか、今ちょうど終わったところだ。」

トウヤのSスキルの心眼の効果で振り向かずにエリサにそう言った。


「トウヤ様、ステラ様とアイザック様がお呼びです。至急、王室まできて欲しいとのことでした。」

「えっ?至急ってなんか問題が起きたのかい?」

そうステラとアイザックが呼んでいると言うことはそう言うことだった。

「さあ、よくわかりませんがステラ様は笑っていましたがアイザック様は疲れている様子でしたよ。」

「う~ん、よく解らないけど行ってみるか。」


 トウヤはそう言うと王室に向かうのだった。



~王室にて~

 トウヤが王室に行くと其処にはステラとアイザックそして何故か上機嫌のシェリーがいたのだった。

トウヤはこの部屋にいる人物を見てみた。ステラは何やらニヤニヤしていてアイザックは顔をコロコロと変えていた。


「トウヤ、いきなりで悪いがお前には来月からシェリーの通う事になっているクリスタ女学院に通ってもらう。」


「へっ!?」

俺は思わず変な声を出してしまった。

「実は、我が国にはシェリーの通うクリスタ女学院に同行させる騎士がいないのだ。」

「なにを言っているのです?騎士なら王宮にもその他にも居るでしょう?」

俺は思わずそう言っていた。この国は大陸の中でも最大級の大きさの国だった、当然それに応じて国を守る騎士が多くなる。

「トウヤ、シェリーが通う学院はこの大陸5ヵ国の親睦を深める為に姫達が共に生活をするように決まっている。

当然、学院は各国の姫達に悪い虫が付かないように男子禁制になっているのだ。

まあ、学院の外なら男の騎士を配置出来るが学院の中にもしくせ者が紛れていたら、、。

分かるだろ。我が国にシェリーに歳が近く尚且つ実力が有るものがいないのだ。」

「ちょっと待て下さい父上、私は男ですよ!!」

俺は思わずそう言った。


「あらあら~~。大丈夫よ。」

ステラはニヤニヤしながらそう言った。

「だから男子禁制でしょ!」

「だいじょうよ~。トウカちゃん。」

「!?まさか!」


ステラはニヤニヤしていた顔をやめ女王の顔になって、

「トウカ・イザナに命じます。来月のシェリーの入学から卒業までの2年間シェリーの騎士として護衛しなさい。」

「!?」

「ちなみに学院で男だとバレたらチョッキンだからね~♪」

女王の顔から再びニヤニヤした顔に戻ったのである。


そうしてトウカ・イザナのクリスタ女学院の入学が決定した。


その時シェリーはトウヤの後ろで最大級のガッツポーズをしていたのである。

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