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Heart cake  作者: monokuromike
Chapter1 Development and signs
7/19

sorrow

豊かな様で満たされている様で

大事な事は教えてもらえない

何かを失ったような感覚に陥し入れさせる

Sciencityは一体何処へ――


ジャスがいつもの様にビートしていると、オーガナイズ(組織)から通知が入った

オーガナイズとはフラッシュマン対策(保護、監察、教育)の為に作られた組織だ

『S-C.No.1270にてマターシグナル(問題信号)発生、近い者は急行せよ』

No.1270は個人に付けられた番号の事だ。Sciencityに暮らす人は皆個人に番号が付けられている


ジャスは装置にNo.を入力して場所を表示確認し、それを見て思った。

1270……、ここから近いな。ジャスは装置を使い返答した

「オーガナイズ、すぐ向かいます」


ジャスは移動装置を使い場所に急行した


< S-C.No.1270A(居住地)>ジャスが場所につくとそこにはRobotyに顔を埋めて

抱きつく少女と、側の地面に焼け焦げた死体があった。

ジャスは状況が飲み込めず考えた。

何があったんだ。ジャスが死体を調べようと近ずくと、

Robotyに顔を埋めながら話す少女の声が聞こえた


「マム……知らない人が来て……すごく怖かった」

少女は何かをずっと怯えた声で呟くように話している


ジャスは少女の側に行き背を(かが)め、少女の肩に優しく手を乗せて事情を聞いた

「――もう、大丈夫だから。何があったんだい?」



少女はジャスの方を向き幼気(いたいけ)な顔を歪ませてこたえた

「その人がこっちに来なさいって……怖くてだから……私お願いしたの、マムと離れたくないって」


ジャスは少女を抱きしめて安心させるように話した

「そうか。怖かったね……。マムはどこにいるんだい?」


「うん……。マムはいつも私の側にいる、いてくれるの。私のマム」

そう言ってジャスの手から離れると少女は再びRobotyに抱きついた


ジャスは何かを感じ取ったように少女に話しかけた

「マムは君を守ってくれていたんだね。

どうやらマムは疲れて動けなくなってるみたいだから、治してあげたいんだ。

ちょっと見せてもらってもいいかな?」


少女はRobotyから離れこたえた

「うん……マムの代わりにお礼言うね。どういたしまして」


ジャスは少女の頭を撫でて言った

「いい子だね」


ジャスはRobotyのパッチ(内部を包む断片)を外し中のプラグ(結合部)に腕の装置

を繋ぎ調べながら考えた。見た所フラッシュマンを育てる為に量産されている

RobotyでマターシグナルはこのRobotyから発せられたようだ。マターシグナル

はRobotyがフラッシュマンの危険(心拍数の異常等)を察知した時に発せられる機能だ。

そこは何ら疑問に思う点はないのだが、このRobotyは熱源を必要以上に発したら

しくショート(電流が異常に流れ破損)している。ショートしたRobotyと死体との

関連性――ジャスにはそれ以上の事はわからなかった。

ジャスは最後にRobotyの製造No.を装置に記憶し、少女に言った

「マムは体が痛くて動けないみたいだからインファマリィ(病院)に連れて行って

あげなきゃいけない。君も体は痛くないかい? 迎えを呼ぶから一緒に行こう」



ジャスはオーガナイズと連絡を取りアンビレンス(救護車)を呼んで、

少女に優しく話しかけた

「さ、おいで――行こう」


ジャスが少女の手を引きアンビレンスに乗り込もうとすると、少女は言った

「まって、マムは?! 一緒じゃないの?」


ジャスはこたえた

「マムは痛い所が一杯あるから、君と同じ場所じゃ治せないんだ」


少女は言った

「……私もマムと一緒に行く」


ジャスは言った

「大丈夫だよ。マムは後から来る仲間がインファマリィに連れて行ってくれて、

ドク(専門医)がちゃんと治療してくれるから」


「マムがいてくれたら、私はそれでいいの、だから気にしなくていいです」

少女はそう言って、アンビレンスから降りRobotyの所へ戻ろうとした


ジャスは少女を制してアンビレンスから降り、Robotyに浮遊ワイア(浮遊させる

ワイヤーのようなもの)を使いアンビレンスと繋ぎ合わせて固定した

ジャスは少女に言った

「窓を覗いてごらん、マムがいてくれているから。これで行く時も一緒にいれる」


少女は言った

「うん。マムとお兄さん。一緒に行こうね」


インファマリイに向かう車中、

少女はジャスの体にもたれ掛かり譫言(うわごと)のように告白した

「私はマムと離れるのが嫌だったの……あの人が側にこないでほしいって……マムにお願いしたの」


ジャスは宥めるように言った

「わかっているよ。今は思い出さなくていいから、ゆっくり休んでいいんだ」


少女は小さい体でジャスに身を委ねながらその時の事を思い出していた

<少女のマム>「――今までごめんなさい。ずっと一人ぼっちにして。マムね、

月に行っていたけど、何て馬鹿な事をしていたんだろって、気付いて帰ってきたの。

エミィおいでお願い! 一緒にやり直しましょう」


<エミィ>「いやぁ!! あなただあれ?! 知らない人!! マムお願い――あの人をころして――」


エミィ=Robotyをマムと呼ぶ少女

エミィは思った。私の親はマムだけよ。知らない人が突然おそってきて、ころして、なにがわるいの?



その後、エミィはオーガナイズが預かりそこで診察、治療を受けた


翌日、ジャスは移動装置である場所に向かいながら、昨日の出来事を考えていた

少女の名はエミィ・プラント。あの事件の詳細は不明という事でオーガナイズ

は情報を機密化し、ビジョンでは一切放映される事はなかった。焼死体は女性

でエミィのマム(実の母)という事が解り、Zenymanとして月旅行に行っていた

記録も判明した。


エミィにその女性の事をたずねても、

「知らない人」

と、繰り返すだけで、エミィは親の顔がわからなかったのだという結論に至った。


エミィは診察の結果Roboty依存症と診断され、治療を受けながら症状のレベル

(段階)が選定される。重度で回復の兆しが見られない場合はFFMに預けられ、

そこで暮らしながら定期的に治療を受ける事になるようだと、

報告書を作成した同僚から聞いた


<Roboty点検屋>「ラクシム!」

ジャスは目的地に着きラクシムを呼んだ


「ジャス、大声出してどうしたんだよ」

ラクシムは奥から出て来てこたえた


ジャスは言った

「No.30157260……、このNo.にはお前のところが点検した記録が残っていた」


ラクシムはNo.を過去記録と確認し言った

「あぁ――そのNo.ゎっと、改造Robotyだろう。過去に依頼を受けたよ。

なんでも、その女は未亡人になったらしくてさ、夫から託された子供がトゥ大好

きっ子だったらしくて、トゥの会話パターン(様式)とか思考が詰められたチップ

(小型電子装置)をRobotyに組み込んでくれって言われてさ。子供を溺愛(できあい)してた感じだったぜ」


ジャスはそれを聞き重々しい表情になり眉間に(しわ)を寄せて言った

「――その女は死んだよ。原因は不明だがそのRobotyの改造が関連してるんじゃないか?」


ラクシムはこたえた

「へ、え?! ちょっと待ってくれよ!

パターンチップはほんのお守り程度でRobotyの言葉の端々が変わるくらいで、

機能自体には影響を与えない事、ジャスだって知ってるだろ?!」


ジャスはそれを聞き考えた。

ラクシムがマムの要望で死別したトゥのパターンチップをRobotyに連結した、

本来は問題を及ぼすはずがないんだが……。本来Robotyには人を殺傷する能力は付いていない。

だが、おそらく推測するには、あのRobotyの熱源の暴走。

女性の範囲に一時的にヒートウェイブ(熱波)現象を起こし、体を焦がしたのだろう。

長い間、子を放って置かれた怒り、父性か――


ジャスは口を開いた

「だが、それが何らかの影響を及ぼしたのは確かだろう」


ラクシムは項垂(うなだ)れている。ジャスは続けて言った

「ラクシム、もう仕事に手を抜くのはやめろ」


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