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責任がないならペットは飼えません! FCTには、キャド君2世がいるでしょう!」
ジャスが仕事でビートを終えてFCTに戻ると、サムの声が聞こえた
ジャスはサムに言った
「どうしたんだ? 大きな声で」
サムはジャスに気付き、こたえた
「あ! すみません。いえ、実は、昨日手伝いに来てくれたグラドが
キャド(犬猫を合わせたような動物)を連れて来てしまいまして。
フラッシュマン達は昨日から、事あるごとにあれ飼いたいと、大合唱でして――」
サムは続けて言った
「本物のペットは大きくなった時の為のお楽しみですよと、はぐらかしてはいるのですが」
ジャスは宥めるように言った
「それは大変そうだな。キャドってやつはそんなに魅力的なのか?」
サムはこたえた
「はい、過去にFCTで飼っていたことがありまして、本当に可愛いらしいのですが――。その時に、ここでペット(可愛がる動物)は飼わないと決めたんです」
サムは続けて言った
「FCTには色んなフラッシュマンがいます。
中には人にも生き物にもどう接したら良いかわならなくて、
弱いものを傷つけ、いじめてしまうフラッシュマン達も――。
その行き場の無い感情というのでしょうか、キャドがはけ口の標的にされてしまった事がありました。幸い気付くのが早くキャドは軽傷ですみました。キャドは治療を受けた後、グラドに引き取ってもらう事になりました。私の不注意と判断の甘さが招いた結果です」
ジャスは苦い表情で言った
「――辛いな」
サムは言った
「弱いものをいじめてしまうのは、古来よりインスティンクティブ(本能的な)、
人の性なのでしょうか? 命を粗末にする事になるなら、安易にペットは飼わないほうがいい。その意味でペッティー(Robotyのペット)には大変助かっています」
サムは続けて言った
「私は人も生き物も生命は等しく尊い、そう考えています。人は食事する時に、
頂きますと言って、生き物の命を狩り食べる事により生きています。
たとえRoboty食品が普及しようと、フレイバー(調味料)に生き物を材料として使っている訳ですから、それは変わりません。人は生き物を自由に狩る技術を持っています。ですがだからといって人が一番偉い、という事にはなりません。
生き物がいなければ人は生きられないのですから。食事ができる事に感謝する心を忘れず、無駄な殺生は出来るだけ避けるべきだと思います」
ジャスは言った
「そう考えると、動物も懸命に生きてるんだな。
動物は自分の食料である生き物を乱獲しないしな」
サムは言った
「そうですね。フラッシュマン達に命の尊さを上手く伝えて行けたらよいの
ですが。しかし、フラッシュマン達がペットに惹かれる気持ちもわかります」
サムは懐かしむように言った
「――辛い時に助けてくれるのは本当のペットしかいないようですからね」