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Heart cake  作者: monokuromike
Chapter1 Development and signs
5/19

eating

SciencityではRoboty普及に(ともな)餓死(がし)という概念はなくなった

救助用Robotyがビート(巡回行動)していて、空腹で倒れている人を感知した時、

場合によっては管を入れ(点滴のようなイメージ)、直接、栄養補助食品を供給してくれる

その為、寂しさから家出し、

親を探し求めるフラッシュマン達も飢え死にするという事態はない


ジャスは仕事で未保護のフラッシュマンを探す為、移動装置に乗りSciencityを

ビートしていると、サムから連絡を受けた

手首につけている装置から(自動で音声をシグナル[信号]変換し、耳の後ろにつけて

いるチップにシグナルを転送し)声が聞こえる


サムはいつになく(あわ)てた口振(くちぶ)りだ

「メントに、いつもの御使いを頼んでいたのですがヴァイトの時間を過ぎても帰ってきません……! 心配ですが、こちらは手が離せません! ジャス、メントを探索して下さい!! すみません、頼みます!!」

メント=FCTにいる年長くらいのフラッシュマン


「わかった」

ジャスは返事をし連絡を切った後、

装置にメントの生体パターン(遺伝子、染色体情報)を入力し、探索を始めた


「どこに行ったんだ」

ジャスは探索しながら言い考えた

今まで、しっかり者のメントが帰宅しな

かった事はない。御使い場所も近くのマケット(市場、スーパー)に限られている


「まさか……フライクープ(脱走行為)?」

ジャスは思わず口走った、考えが頭をよぎる

FCTで何かまずい事でもあったか?

いや、サムの事だ。そのような兆候があれば気付いているはずだし……、

ましてやその状況でメントを、御使いには行かせないだろう。一人で歩かせるのは危険行為だ



「メント……どこだ?!」

ジャスは焦りから、気持ちが声に現れる

装置が、メントの生体反応がある方向に、迷路地裏(めいろじうら)を指している

そこは移動装置では通れない細い道だ


「くそっ」

ジャスは手首の装置を操作し、移動装置を自動で折り(たた)み、

背中の服の(くぼ)みに収納した

そして、迷路地裏へ向かって走った

装置の反応に従い、狭い道を何本か通ると、そこにメントらしき人物を発見した


「メント!!」

そう叫び、メントに近寄るジャス


「ぁ……ジャス」

居場所がわかられてしまったメントは、

観念したような声を出し、ジャスがこちらに来るのをおとなしくまっている


「心配したんだぞ!!」

そう言い、メントの腕を(つか)むジャス


メントはうつむきながら言った

「ごめんなさい――」


ジャスはメントに言った

「サムも心配して待っている、帰るぞ!」

そう言って、メントと繋いだ手を引っ張るが、メントは動かない


メントは半分泣きそうな顔をして言った

「ラーメン……探してるんだ。トゥーと言った思い出の……」


ジャスは振り返りたずねた

「――ラーメン?? トゥーってサムと?」


メントは首を横に振り言った

「――ううん、違う。昔、僕のトゥ(父親)と行ったんだ……思いだして。

ここら辺に店があるはずなんだよ」


ジャスはメントの前にしゃがんで言った

「そうか……。そのラーメンそんなに美味いのか? どこにある?! 覚えてるか?」


「ぇ……うん!! たしかね、向こうに行ってこうだよ!」

メントはそう言って、道の方向を指差し、人差し指をカーブを描くように折り曲げた


「よし! 行こう」

ジャスはそう言うとメントを肩に担ぎ上げ、ラーメン屋に向かって迷路地裏を走り出した


「ここ、こっち!」

メントが示す方向に合わせて、迷路地裏を走り回る


ジャスはメントに言った

「はぁ、はぁ、はぁ、っ本当にここら辺にあんのか?!」

同じ所をぐるぐる回っているような感覚に襲われる


ジャスは焦りながら言った

「もうすぐイブ(夕方)の時間だぞ。フラッシュマンをこんな迷路地裏に連れていたら、俺捕まるぞ!?」


「あ!!」

メントは叫んだ


ジャスは立ち止まり言った

「っどうした?!」


「あそこ!」

メントは壁の方向を指差して言った


ジャスはメントを肩から降ろし、一緒に壁に近付いた

見ると『ここ、押してください』と書かれた看板(金属)が付いている


「ん?? 壁を押せ?」

ジャスはそう言い、壁を押した。壁はびくともしない


メントは言った

「ここを押すんだよ」


メントが看板を押すと、壁の一角が扉となって(自動で)開き、

そこには、ラーメン屋が(いた)って普通に営業していた



「いらっしゃぃ! お! お客さん、イブに子供連れとはいい度胸だね」

店の店主は言った


サムは不機嫌そうにこたえた

「こいつは、子供じゃない。フラッシュマンだ。俺はフラッシュマンの保護者」


店主は驚き、笑いながら言った

「へぇー! 珍しい!! こんな(違法)店にご来店とは?! 捕まりますよ」


「――うるさい」

ジャスはそう言い、メントと席に座った


店主は笑みながら言った

「何にしましょうか! お勧めはこの発酵ラーメン! 醤油、味噌、納豆――思い

つく限りの発酵食品を入れた……」


店主がメニューを指差しながら説明をし始めると、客が言った

「Roboty食品では発酵食を腐ったもんと判定しやがる。納豆なんて、絹糸みたい

な食品に変えやがって。あんなもそもそしたもん食えるか!」

店主と客が笑い合っている


「元祖醤油ラーメンひとつ!」

メントは言った


店主は注文を受けてこたえた

「お! お客さん通だね! はいよっ」


メントは人気No.2と(メニューに)書かれたものを注文した。店中に醤油のいい匂いが漂っている


「お待ちっ」

数分すると店主がメントの前に、出来上がったラーメンを置き言った


「頂きます!」

メントはそう言い、すぐに食べだした


「はやく食べろよ」

ジャスはメントに言い、考えた

捕まるか、サムに面倒をかける。帰り道に不安しか思いつかなかった


「ご馳走様!」

数分後、メントはラーメンを平らげて満足そうに言った


ジャスは言った

「店主! 勘定」


店主はジャスに寄り、言った

「はい! ◯◯zenyです」


「――安いな」

ジャスそう言い、支払った


店主は釣りを返し言った

「今日は特別に、子供料金てことで!」


「あぁ……、ありがとう」

ジャスは帰りを不安に思いながら礼を言った

目線を出口に向けると、横にあるボウドに宣伝商品として置かれているものに目が止まった

そこには袋麺があり『“元祖醤油ラーメン”ハニーマケット全店でも絶賛販売中!!』と書き添えてある


ジャスはメントの方を見て言った

「おぃ……、これ、わざわざ店に来なくても売ってあるんじゃねえか?!」


メントはきょとんとした顔で言った

「うん。そうだよ! ハニーストアでこれ見つけて思いだしたんだ」


店主は嬉しそうに言った

「ここのファン(常連)がさ、Roboty関係者でさ。店で(ラーメン)出すのは違法でも、

なんとかRoboty工場でここの味を再現したいって、違法店が出所でも黙っとけばわからないって。熱心なんで(開発)協力を引き受けちゃったわけよ」


サムはそれを聞き、肩を震わせている


「あっはっはっ、てお兄さん。そんな事より、出口こっち。捕まりそうなんだろ?」

店主はサムにそう言い、店の裏口を指差した


店主は続けて言った

「ここ、うちの家と繋がってるから、着いたら家の扉から出てくれ。そうすれば中通りに出れる」


ジャスは親しみを込めて言った

「トゥ(オヤジ)! ありがとう」


店主はこたえた

「なぁに、こんなレア(貴重)なお客を連れてきてくれたんだ。恩にきるよ」



ジャスがメントと手を繋ぎ裏口から店を出ると、客が感慨(かんがい)を込めて店主に言った

「確かにRoboty工場のインスト(即席)

食品はよく出来てるよ! だけど、ここのスープだけは真似できないんだよなぁ」


ジャスはメントと裏口の道を通っている。ジャスは考えた、

そこは薄暗いが綺麗に道が掘られていてとても素人の仕業とは思えない


10分程歩くと店主の家の裏口らしき所に着いた


扉を開けると店主の妻らしき人がジャスに声をかけた

「おや、お客さんかい? 子連れ?! びっくりさせないでよ!」


「――俺は保護者で……」

ジャスは軽く訳を話した


それを聞いて店主の妻は言った

「まぁ、いいわよ。お客がここを通るのは一度や二度じゃないしね」


そして、店主の妻は2階に向かって誰かを呼んだ

「ミセリーー!」


「なにーー?」

ミセリ=店主の娘。ミセリは返事をし、こちらに降りて来た


店主の妻はミセリにたずねた

「あなたまだ何も食べてないわよね? お腹すいてる?」


ミセリはこたえた

「すいてるわよー!」


店主の妻はミセリに言った

「じゃ、飢えた子供の振りして道を彷徨(うろつ)いてRobotyを何体か引き付けてちょうだい」


「はーーい」

ミセリはこたえ、出て行った


店主の妻はジャスに言った

「今ミセリがRobotyを引き付けてるから、合図をしたらその子と出て行って。あなた帰りはどっち?」


ジャスは言った

「FCTです」


店主の妻は言った

「え? FCT?! それならすぐそこじゃない! わざわざミセリを(おとり)

する必要なかったじゃない! なによ、はやく言ってよね」


ジャスは言った

「すみません――。本当にお世話になりました、失礼します」


店主の妻は言った

「気をつけてね」


ジャスとメントは店主の家を後にし、FCTに無事帰り着いた

――それから、ジャスがサムに見た事のないような顔で怒られていたのは、

あの時のメントが一番よく知っている


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