想い一片
めぐる季節が愛おしいのは
薄れゆく記憶への寂しさだろうか
咲き誇る桜を見上げながら
呟きの花弁は心の水面を揺らす
舞い降りた一片を手に
綻ぶように微笑み合った想い
漂う霞に酔う様に
貴方を見る私は薄く色付いた
誘う指に咲いた私を
愛おしいと抱いた貴方が恋しい
咲き乱れた日々の鮮やかささえ
移ろいに薄れるなら散りたかった
潤む瞳を拭う風は
水面の花筏を流す
一片に一つ想い乗せ
花筏を彼の地へと運びゆく
届くが故に薄まるなら
寂しくとも季節をめぐろう
再び出会うその日が
花吹雪であることを願い