紳士評価
アディード王国やその周辺の国々では、冬至を一年の終わりとし、翌日から新年が始まる。
春分、夏至、秋分、冬至のそれぞれまで間を三つに分けて、一年を十二ケ月とするのが一般的だ。
しかし、国によって、それぞれの月の名前の付け方は違う。
アディードでは、冬至の翌日から春分までを、冬一月、冬二月、冬三月と呼ぶ。それぞれの期間に一月から三月までがあることになる。
ダトン男爵次男セルクは、念願の行政官になった。
男爵家は兄が継ぐ。妹はどこかに嫁に行けば済むが、セルクは自立しなければならない。
騎士になれるほどの身体能力に恵まれなかったセルクは、とにかく行政官を目指した。
どこの部署でも構わない。一生の仕事が手に入るなら、文句はなかった。
十八才から三年間、見習いとしていくつかの部署を渡り歩いた。試験や試練を乗り越えて、税務管理部で仕事を得ることが出来た時は、家族全員で安堵したものだ。
そうして行政官が本業となって四ヶ月。
アディード歴六八九年。冬一月。
その日の早朝、セルクは、税務管理部には寄らず、会議室へと直行した。
上司にそうしていいと言われていたからだ。会議室では、山と積まれた書類がセルクを待っている。
一昨日、税務書類未分類事件が発覚した。
犯人は、行政官見習いの伯爵家三男坊。
発覚のきっかけは、その三男が、税務管理部は自分に合わないと言って出て行ったからだ。彼が使っていた机や書類棚のあちらこちらから、驚くばかりの量の未分類の税務書類が見つかった。
普段ならこんな状態になるまで放置される事などない。提出された書類の振り分けが滞れば、渡される書類は減るはずだから、地方毎の各担当者が、どこかで何かが起っていると分かる。
時期が悪かったとしか言いようがない。今は第一王子の結婚式と立太の儀の準備で、どこの部署も応援に人手を取られていて多忙だ。いつも以上の仕事量をこなしていたから、伯爵家三男の手抜きに気付けなかった。
昨日は部署全員で、出て行った行政官見習いの机まわりなどを探しに探し抜いた。
そして部署全員を青ざめさた山積みの税務書類を、振り分ける役目を任ぜられたのがセルクだった。
下っ端行政官の運命<さだめ>だ。
廊下は、風がある屋外よりはましとはいえ、冷え込んでいる。足早に進みつつ、セルクは大きくため息をついた。
税務管理部部長自らが、一日だけでも外から応援を呼んでやると言ってくれたが、振り分けには、それでも二日はかかるだろう。もちろん残業は必至だ。
肩を落としつつ、セルクは会議室に入った。
暖炉に火が入れられ、すでに室内は暖かい。そのことにほっと安堵のひと息でも入れたいところだが、目に入るのは、書類の山。
二つ置かれた大机の奥側にあるそれは、昨日見たより増えている気がする。あれからまた見つかったのだろうか。
信じられない。このあとには、振り分けられた書類を確認するという、本来の業務が待っている。
考えるな、今は目の前の事だけに集中だ。
と、セルクが自分に言い聞かせつつ、コートを脱いでいた時だった。
ノックが二度。
思わずセルクの背筋が伸びた。同僚がのぞきにきたのか、部長が請け負ってくれた助っ人が来たのか。
そう思ったセルクの返事を待たず、ドアが開かれた。
女官だった。
「失礼します。」
そう入ってすぐ、ドアを押さえて、後ろの人物に道を譲る。
セルクの目は、その長身の女性に釘付けになった。
金色の髪、青い瞳、整った顔立ち、美しい立ち姿。女官の制服と同じような地味なドレスを着てもいても、隠せない華やかさがある。一度見たら忘れない。
セアラ・ディパンド伯爵令嬢。
王家の方々の信頼厚い行儀見習い侍女。王城で怒らせてはいけない人リスト上位者。
行政部門の各所に出没し、一騒動起こしていく、らしい。噂では、経費流用とか、不正な情報操作とか、巨額の脱税とかを暴いたという。脱税なら、税務管理部が知らないはずはないと思って、セルクは同僚に聞いてみたことがあるが、徴収に関しては別部門だからと言われた。つまり詳しくは知らないらしい。
どこからともなく現れる、いや、王家の方々が住む内宮からやってくるのは間違いないが、誰が指示をしているのかは謎とされている氷の美貌の伯爵令嬢。
今、セルクは、その謎の一端を知った。
税務管理部の長。もし頼んだ人物が彼なら、かなり上の人からの依頼で伯爵令嬢はやってくるということだ。今更ながら気づく。当然だろう。彼女は内宮の侍女だ。そんな人を派遣できるのは、権力者に間違いない。
嫌な汗が額に出てくる。怒らせてはいけない人リストに載っているということは、そういうことか。
「セアラ・ディパンドです。」
当の伯爵令嬢は、笑顔なしの淡々とした口調で話し始めた。
「本日、お手伝いを頼まれましたので、伺いました。セルク・ダトンさん?」
名を呼ばれて、初めて、セルクは自分がコートを脱ぎかけている最中で固まっていた事に気づいた。
顔が紅潮する。恥ずかしいのと、美人の前だと云う事と、事前に行ってくれなかった上司への怒りがごちゃ混ぜだ。焦ってコートを脱ぎ、手近の机に放り出すと、彼女の前に改めて、立ち直した。
「セルク・ダトンです。」
落ち着いた声が出せた自分をほめてやりたい。
セアラ・ディパンドは、セルクの妹と同い年だ。
妹を見ていると、伯爵令嬢の噂は、話半分どころか、でたらめではないかと思っていた。けれど、彼女の落ち着いた様子をみていると、年下とは思えない。噂は全くの嘘ではないかもしれない。
伯爵令嬢の後から、もう二人、女官が入って来た。
セルクの妹が、女官を三人も従えているところなんて想像できない。これが身分の差というものか。
そういえば、税務書類未分類事件の犯人である伯爵家三男も、処罰を受けるとは聞いていない。これがもしセルクなら、懲戒ものの処分が待っているはずだ。
胸に虚しさが湧きあがって来たが、それはセアラ・ディパンド伯爵令嬢の行動で霧散した。
「それが、振り分けを必要とする書類ですね。」
言いながら、ディパンド嬢は、奥の机に近づいてくる。つまり、セルクの側にだ。
「そ、そうです。」
つまりながら答えつつ、その机の上に自分が放りだしたコートが気になる。と、女官の一人がさっと近づき、失礼しますと言いながらコートを取り上げ、ドア側にあったコート掛けに向かって行く。
そちらに気を取られていると、ディパンド嬢の声が追いかけてくる。
「地方別、爵位順に分けると聞いていますが、間違いありませんか?」
「はい、そうです。」
慌て気味の返答になったが、間違ってはいない。
大机の上には、四つの書類の山。二つ重ねたら、セルクの肩を越えそうな高さだ。
「では、始めましょう。」
ディパンド嬢が、セルクに向き合って宣言するように言った。
いや、それは俺の台詞だと、セルクは内心思った。おかしい。これは、税務管理部の仕事で、そこの行政官である自分が指示を出す立場なのに。
が、思考はそこで中断される。
伯爵令嬢が、その細腕で、書類の山の一つを持ち上げようとしたからだ。
セルクは急いで、側による。
「ディパンド嬢、何を?」
「私、扉側の机を使わせていただきますわ。ですから、書類の移動をしようと思って。」
当然の事をしているとばかりに、ディパンド嬢はセルクを見上げてくる。
普通、女の子は重いものを自ら持ちたがらない。それは妹や、他のご令嬢方を見て良く知っている。
どうして自分でやろうとするかなと、セルクは思いつつ言った。
「ディパンド嬢、重いですから私が運びます。」
「ご親切に、ありがとう。崩れ落ちてしまいそうで、少し不安でしたの。」
あっさりとその場を引いて彼女は言う。
セルクは、そう思ったなら頼めよと心の中で思いつつ、書類のひと山をもう一方の机の端に置く。
「ここでいいですか?」
と、聞きながら振り向くと、ひと山の半分の量の書類を持った伯爵令嬢が小首を傾げた。
「左側の方がいいかしら。」
そう言いつつ、自分で持っていた書類を、自分で指定した位置に置いている。
「私が運びます。」
セルクが慌ててそう言い、持っていた書類を置いているうちに、伯爵令嬢は残り半分を持ち上げていた。動きが素早い。
「大丈夫。終わりましたわ。ありがとう。」
信じられない。女性に力仕事をさせてしまった。男として失格じゃないか。
セルクの男としての矜持を軽く傷つけた伯爵令嬢は、平然としてもう書類に向き合っていた。
また慌てて、セルクは、五枚に及ぶ一覧表を取り上げた。地域別、爵位別の領地一覧だ。細かい文字が連なっているそれを持ち、セルクは女性を驚かさないように咳払いをしつつ、ディパンド嬢に近づいた。
「失礼。こちらの表の通りに分けてください。」
ディパンド嬢が、セルクの手もとの一覧表を見た。
何故か、間が出来た。
が、優雅に彼女の手が近づき、一覧表を受け取っていく。
「ありがとうございます。」
ちゃんと目をみて礼を言ってくれるけれど、笑顔にはならない。笑わない令嬢だと知っていなければ、美人に冷たくされたと、地にめり込みそうになるくらい落ち込んだだろう。
が、良く考えなくても、彼女は急な要請にもかかわらず、こんな朝早くからきてくれたのだ。
その礼をセルクはまだ言っていなかった。
「いえこちらこそ、お手伝いに感謝します。一日で終わる量ではありませんから、ご無理をなさらず、進めてください。」
気遣いの言葉を言うと、ディパンド嬢は笑顔こそ見せなかったものの、目が穏やかになった気がした。
「はい。」
そう短く返された言葉には、素直な印象さえ感じた。自分の妹がしてくるおざなりな言い方ではない。
彼女はすぐに書類の山に向き直っていしまったから、セルクも彼女に背を向ける形で自分が作業する大机に向かう。
正直に言うと、セルクは、誰が来ても、まずこんな仕事をさせられる文句を言われるだろうと思っていた。
そうしたら、自分も不満であることをぶちまけ、お互いに愚痴りながら、作業を進めて行こうと考えていたのだ。
が、セアラ・ディパンドはひとつも文句を言わなかった。
それどころか、早々に仕事を始めている。
勝手がわからない作業だろうから、たいして進展もないだろう。けれどやる気を見せてくれただけでも、自分は嫌な思いをせずに済む。
セルクは、まずは最初のひと山に取りかかった。
愚痴を言い合いながら、作業をしたかった。
作業を始めて一時間ほど経っただろうか、セルクは居心地の悪さを感じ始めていた。
静かなのだ。
若い女の子が四人もいるのに、ときおり囁くような声が少しするだけなのだ。
意味不明のクスクス笑いや、あちらこちらに方向が飛ぶ女性独特のお喋りが、一切ない。
確かにここは仕事場だ。社交の場ではないけれど、セルクの職場だってこんなに静かではない。
仕事を始めてすぐそれに気づいて、振りかえってみた。伯爵令嬢が立ったまま書類を捲っているその机の向こう側で、女官たちが針仕事をしていた。
税務管理部の会議室の光景じゃない。
女官の一人が顔を上げかけたのに気づき、セルクはすぐ自分の机に向き直り、以後そちらに振りむけない。
男相手なら気にも留めずに振りむいて、進み具合はどうかを確認できるのに、女性相手だとのぞき見しているような、謂れの無い罪悪感が生じる。
居心地悪い。
大きなため息をつきたいと、思った時だった。
「お茶をお願い。」
ディパンド嬢が言った。
もちろんセルクにではない。振り向くと、女官がふたり立ちあがっていた。
これは話しかけるいい機会だ。セルクは迷わず聞いた。
「ディパンド嬢、進み具合はどうですか?」
「それなりに。」
振りむいてはくれたものの、あまりの返事の短さに、セルクは会話の先を見失う。
すると、ディパンド嬢の方から話しかけて来た。
「ダトンさん。お茶をご一緒にいかがですか?」
突然、部屋の中が暑くなった気がした。
得体のしれない噂はともかく、セアラ・ディパンドは、社交界では指折りの美女のひとりだ。ふたりでお茶の時間を持てたら、自慢できること間違いなしだ。
セルクは、ゆるみそうになる頬をキリッと引き締め、マナー通りの返事をした。
「いいえ、お邪魔でしょうから。」
一度は断りを入れるのが常識だ。
が、相手がいつも常識通りの人間とは限らない。
「そうですか。」
セアラ・ディパンドは、それ以上は何も言わずに書類整理に戻って言った。
え? お終い?
セルクはしばらく突っ立ったままでいたが、セアラの後ろ姿を眺めているこの状況を、残っていた女官が無言のまま見つめてくる。いつまで見ているんだと云う抗議を感じる。
ゆっくりと自分の机に向き直った。さっきより、部屋が寒いように感じる。
遠慮して一度断るのは、礼儀上の常識だ。そして、一度目の断りは遠慮と解し、もう一度誘うのが、誘った側の礼儀だ。
男心を持て遊ぶ悪女の噂はなかったが、冷たいというのは本当だった。
やがて、お茶の支度が女官たちの手で整えられたようだ。けれど、休憩のはずの時間でも、お喋りはない。小さな茶器の立てる音だけがする。
「よろしければどうぞ、冷めないうちに。」
女官のひとりがワゴンをセルクの机に寄せて来た。
一緒に飲むつもりはないが、お茶は差し入れてくれる。
酷いのか、優しいのか。よくわからない。
セルクの面白くない気分は、目の前の書類に向けられた。
この書類。定型のはずなのに、どうしてみんな領地所在地や署名、爵位なんかの書く位置が違うんだ。イライラする。もしかしたら、このイライラ感が書類放置の原因かもしれない。
腹が空いた。
唐突に思ったことで、セルクは、手が止まった。
昼食を一緒にとることが出来るのではないか。
男爵家の次男が、伯爵令嬢を誘うなど、余程の度胸がないとできない。セルクなら絶対しない。けれど、今日は状況が違う。
今の自分と彼女は、仕事を依頼した側と、された側だ。昼食を御馳走しても問題はないはず。
ならば、常識外の行動を取る彼女に、どうやって是と言わせるか。
真剣な顔で書類を振り分けながら、セルクの頭の中は、断られない方法を検討し始めた。
もうすぐ昼休憩だ。この時間は鐘が鳴らされ知らされる。
時は来た。
伯爵令嬢を誘うべく、セルクがひとつ深呼吸をしようとして失敗した。
「ダトンさん。お尋ねしたいことがあります。」
セアラ・ディパンドが淡々とした声でそう言ったからだ。
振り向くと彼女の手には一枚の書類がある。
仕事優先。セルクの理性が頭の中でそう言った。
「なんでしょう。」
返事をしながら考える。時々とんでもない悪筆のものがある。それの確認だろうか。そう言えば、今まで全く質問がなかった。
「リザル王国からタチキリ草を輸入していますね。どうしてですか?」
タチキリ草?
思いもよらない質問をされて、一瞬戸惑ったが、セルクは答えた。
「タチキリ草ですか? 輸出入監視品目ではありません。」
見習い期間も入れれば一年以上税務管理部にいる。監視品目はセルクの頭の中に入っていた。そこにタチキリ草なんてものはない。つまり取り引きされても問題はないということだ。
というか、並べ替えるだけでいいのに、どうして内容を見ているのか。
それを注意しようとしたが、セアラ・ディパンドは、美しいが感情の見えない顔でセルクを見ている。次の言葉を待っているようだ。
「問題はありません。」
きっぱりと言った。
行政官らしく自信を持って言える。
セアラ・ディパンドの方は、視線を手元の書類に落とした。
「そうですか。」
それから、セルクの机の方を見る。
まだ半分以上が整理されずに残っている。
ディパンド嬢がどれくらいやってくれたかは知らないが、まだ先は長い。
「お手伝いしようと思ったのですが、タチキリ草のことが気になりますので、これで失礼いたしますわ。」
「は?」
耳を疑った。無理なく進めろとは言ったが、放りだしていいとは言っていない。
セアラ・ディパンドは、もうセルクを見ていなかった。女官たちに声をかけている。
「みなさん、撤収です。」
撤収などという女性からあまり聞かない単語に驚いている暇はなかった。女官たちの動きは素早い。あっという間に帰り支度を始めている。
「ディパンド嬢!」
慌てて声をかける。
「ごきげんよう。セルクさん。お仕事頑張ってくださいね。」
微笑み。
ここにきて初めて、美貌の伯爵令嬢が笑顔を見せた。
麗しく、目が奪われる。
はっとして気を取り直した。見惚れている場合じゃない。勝手な理由で仕事を止められては困る。セルク達には大問題なのだ。
それに、昼食を誘えてない!
セルクがかける言葉に迷っているうちに、彼女は手にしていた書類を机に戻している。
とりあえずその後を追って来て、セルクは動けなくなった。
整然と並んだ書類。縦に地方順、横に爵位順の方法で置かれている。
セアラ・ディパンド伯爵令嬢は、非情なまでにあっさりと、振り返ることなく出て行った。
さっき手伝うと言ったのは、自分の分が終わったからだったのか。
一日掛っても終わらないはずの仕事量。
今日は残業だと覚悟していた仕事量。
「どうやって終わらせたんだ。」
並べられた書類を順に捲っていく。ちゃんと指示通りになっている。
セルクが渡した、領地のリストがぽつんと机の端に置かれているのに気がついた。もしかして、どこに誰の領地があるか全て頭に入っていたのだろうか。
ふいに現れ、一騒動起こして去っていく伯爵令嬢セアラ・ディパンド。噂があやふやなのはこのせいか。
自分より優秀なところを見せつけられたら、詳しい話なんてできない。
誰もいなくなった会議室で、セルクは大きくため息をついた。
覗き見みたいだからと遠慮せず、彼女の仕事ぶりを見ておけばよかった。きっと何か秘訣があったはずだ。
遠くで、低い鐘の音がなった。昼休憩の始まりを知らせる合図だ。
昼食に誘うのも、夢に終わった。
腹が空いた。
セルクは気持ちを切り替えるべく、一度天井へと顔を上げた。
そして、思った。
輸出入禁止品目ではないもの。
タチキリ草ってなんだろう。
「紳士だったわね。」
セアラ・ディパンドの言葉に、女官たちが概ね賛成する。
「少々、挙動不審になっていましたけど、若い殿方でしたからね。」
「暴言を吐かれることもありませんでしたし。」
「無理やりな食事や茶会への誘いもありませんでしたね。」
内宮の侍女と女官たちのセルク・ダトンへの高評価は、財務大臣が自慢することになるのだが、当のセルクがそれを知るのは、彼がそれなりの出世をした十年以上も先の話になる。