ボツペンっ!②
題名
即興昔話(未完)
────────────────────
テーブルに置いてあった携帯電話が鳴った。
隆之は、風呂上がりの息子の髪の毛をドライヤーで乾かす手を止め携帯を見た。案の定メールの差出人は妻の恵子からであった。
届いたメールに簡単な返信を打つと、隆之は再び携帯電話をテーブルに置く。
「めーる? ママから?」
こういう時の子供の敏感さに感心しつつも、隆之はドライヤーを構えたまま口を開いた。
「そうだよ。ママ帰ってくるのもう少し遅くなりそうだから、健太は先に寝てなさいってさ」
隆之の言葉に健太は少し不満そうに口を尖らせたが、そのまま何も言わずテレビを見ていた。
「さてと、だいたい乾いたかな。よし、後は歯磨きして今日はもう寝るぞ〜。明日も早いしな」
そう言うと、健太ははーいとどこかぶっきらぼうに言いながらトコトコと洗面台の方へ歩いて行った。
それにしても、恵子も同窓会があるならもっと前から話してくれれば良かったのにと、隆之は小さく歯噛みした。
というのも、隆之がその話しを聞いたのが昨日の夜のことであり、本当なら隆之は今頃同僚達と居酒屋で楽しくやっていただろうと思うとやり切れない気持ちになった。
しかしあいにく、毎週のように同僚と飲みに行く隆之には、年に数回しか外で飲みに行く機会のない妻を引き止める権限は持ち合わせておらず、隆之は泣く泣く同僚との夜の付き合いを諦めざるを得なかったのであった。
「パパー、歯磨いたよ」
健太が口元を歯磨き粉だらけにしながら駆け寄ってきた。隆之は小さく苦笑いをして、駆け寄って来た健太の口元を指で拭った。
「ほらほら、またお口の周りが真っ白けになっちゃってますよ〜」
だが、健太はそんな父親の言葉に反省した様子もなくニカッと笑っている。
隆之はそれにつられてため息混じりの笑みを漏らすと、健太の頭をぽんぽんと撫で寝室へと連れて行った。
「布団はもう敷いてあるし、一人で寝れるだろ?」
「えー、絵本は? ママは寝る前にいっつも絵本読んでくれたよ」
そういえばそうだっけなと隆之は頬をポリポリの描いて思い出し、寝室にある健太用の小さな本棚から適当に絵本を取り出して、布団に潜り込む健太の横で胡座をかいた。
「それじゃあ今日は『花さかじいさん』にするぞ……えーと、なになに──」
「だめ! それ昨日ママが読んだもん」
健太が布団の中から首だけを隆之に向けてピシャリと言い放った。
「そ、そっか。それじゃあ……『ジャックと豆の木』はどうだ?」
隆之が新たな絵本を本棚から取り出す。
「それはおととい読んだ!」
「これもかよ……それじゃあ『一寸法師』──」
「それも読んだの!」
「んなこと言っても、ここにあるやつ全部一回は読んでるだろぉ?」
隆之は息子のわがままな言動に辟易したが、その時ふいにあることを思いついた。
「よしわかった! それじゃあ『ももたろう』にしよう」
「それも読んだ!」
健太がすぐに却下する。
「いいや、これは健太の知らない『ももたろう』だ」
「僕の知らない……?」
そうだ、と隆之はニヤリと薄笑いを浮かべた。
隆之は『ももたろう』を更に息子好みの話しにアレンジしてやろうと考えたのである。
とは言え、それは今突然思いついたアイデアであり、息子好みの話しがどんな物語になるのか想像もつかなかった隆之はそのままアドリブで話してやろうと決意した。
《了》
────────────────────
ボツ作品二作目。
……もうお分かりの方も居るとは思いますが、そもそもの書き始めから“即興”で書いていたため肝心なところで行き詰まった作品です(バカ)
というか、この企画を始めて改めて自分の「執筆中小説」を見返し、分かったことが一つだけありました。
それは、私のボツ作品になる一番の原因が
「オチを考えないまま書き始める」
ことだったということです(´Д` )
そりゃボツ作品も増える訳です。。。
また、今作に関して言えば、今まで散々色々な解釈やパロディーでイジられ倒されている「ももたろう」をアレンジすることに加え、子供でも楽しめる話にしなければならないという二重の制限ために、どう頭を捻っても良いアイデアが生まれませんでした。
まぁ、勝手にそんな制限を設けてるのも自分なので、自業自得感アリアリなのですが(汗
そしてもう一つ、前回の「ボツペンっ!①」を投稿してわかったことが、コメントを頂いたユーザー様達のアドバイスが実に有意義だったといいますか……
(あれ? このアイデアもらっちゃえば、完成できるんじゃね(ゲス顔))
と思ってしまったことです(ゴラ)笑
三人寄ればなんとやらではないですが、この企画の新たな可能性が見えた気がします(だから止めろ)
上手くすればこれを機に、ここでふるいにかけた作品を「タンペンっ!」に掲s──(以外自主規制)
ま、まぁ、それは冗談ですがね……ハハハ。
やっぱり「タンペンっ!」の醍醐味は読了時のドッキリ感なので、そこは読者様との真剣勝負といいますか、自分の中で大切にしていきたい部分なので(^^;;
あ。少々脱線気味になってしまいましたので、今回はこの辺で終わりたいと思います。
一応、簡単に次回予告的なものをさせてもらうと、次回はかつて童話なるジャンルに初挑戦し、挫折した某作品を掲載する予定です。
(ちなみに、その作品もオチが見出せないまま終わった悲しきモンスター(違)ですので、ご了承下さい)
では。




