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九尾の孫 【絆の章】 (2)  作者: 猫屋大吉
20/22

集結

決起集会のような物?

五所川原市のホテルを出た 優介達は、一路 高山稲荷神社へ向かった。

いつもは静かな神社で参拝者で満員になる筈のないこの場所が、騒がしい。

駐車場は、人で溢れていた。

喧噪の中、先頭をダッジナイトロが、駐車場へ乗り入れる。

シェルビーGT500、シボレーコルベット、シボレーキャプティバ、ハマーH2、ウニモグU5000

次々と車が、入り停車する。

車の中から其々が、出て来ると人波が動き始める。

白雲、白禅を前に並ぶ者達

凍次郎、北渡を前に並ぶ者達

太郎丸、蔵王丸を前に並ぶ者達

胤景いんけい鐸閃たくせんを前に並ぶ者達

魏嬢ぎじょうを前に並ぶ者達


優介と優子は、圧倒され、茫然と佇んでいる。

槃蔵、白隙、来牙、権現狸、斯眼もじっと見ていた。

優子が、白隙を見つけ 唐突に顔を平手で殴った。

「あんたねぇ、人の事、姫って言いふらして 男の癖に口が軽いんだよ」と啖呵を切る。

その様子を見て斯眼が、「姫、怖ぇ~なぁ~」と驚くと

権現狸が、「ま、あやつの事、何かしでかしたんじゃろ」と平気な顔で見ている。

「あー、すっきりした」と言い、優子は、

「あら、すいません。御初に御目に掛かります。私、優介の妻の優子と申します」と槃蔵に挨拶する。

槃蔵は、あっけにとられ、「あ、ぁ、儂は、槃蔵と申します」と返事をする。

5m程離れて、優介が礼をした。槃蔵も礼を返した。

白雲が優介と優子を全員に紹介するが、詳しい事は、各々の族長に聞いて欲しいと付け加えた。


「凄いね、優介」優子が言う。

「あぁ、そうだな・・・・完全に立場を・・・自覚しないといけないな」ボソッと言い、

「皆、嫌、誰一人として失いたくないな」はっきりと言葉にした。

その言葉を聞いて槃蔵は、何故、この人間にここに集まった族長が、入れ込んだのかを理解した。

(なるほどのぉ、こう言う【人】もいるのだ)槃蔵は、呟いた。

その後から、「槃蔵よ、久しいのぉ」と声を掛けられ驚きながら振り向き、

「こ、これは、師匠、御無沙汰しております」とその場で正座して一礼する。

「立ってくれ、儂もここに集まった族長達と同じ立場の者、優介殿に従うまでじゃ」

声の主は、天日だった。

天日の横に白澤も居た。

槃蔵は、聞いてはいたが、我が目で見るまでは信じられなかった。

「本当だったんですね」槃蔵が呟く様に言った。


白雲が、「集まったは、良いがこれでは高山稲荷様に御迷惑であろう。各々の部隊は、各々の裁量に任せて解散しようと思うが、作戦の細かな部分、例えば移動。これは、玉賽破に気付かれたくない。あくまで先制攻撃、奇襲にしたいが、どう考える」と言うと

胤景いんけいが、ヘリは、第6高射群第22高射隊脇の広場に数機、待機させた、武器、火器弾薬は、大湊海上自衛隊脇の倉庫からトラックで運び出せる様に手配を完了したし、同じ大湊海上自衛隊へ巡洋艦の出撃待機命令を出してある。また、三沢基地からミサイルを積んだ戦闘機6機を待機させた。

鐸閃たくせんが国道279号線と338号線は、吹越から北と、六ヶ所北分署消防署から北は、特別管制を引いて立入りを禁止させ、住民を避難させる手配を行ってある。

優介は、ここにイージス艦なんか出て来たらおどろくな、それにこれだけでも簡単にテロを起こせそうじゃないか、と優子に言うと「本当に兵隊さんだったんだー」とびっくりしている。

白雲は、部隊を3つに分け、1/3は、此処にいるが、2/3は、すでに現地、湯の川ホテルで戦闘待機している。と告げ、魏嬢ぎじょうも1/3を此処に来させて、2/3を湯の川ホテルに待機させた。

北渡は、計画通り、此処に半数と青森市内に半数潜伏させていると言う。

太郎丸は、「俺達は、ここに2人と後、五鬼継ごきつぐの皆と五鬼助ごきじょ一族は、むつ市から4号線で地蔵山横の剣山に向かわせてある」と報告すると、蔵王丸もうんうんと頷いた。

斯眼は、聞いて居て「すっげー、軍隊かよ、それに巡洋艦にヘリ、戦闘機、出鱈目じゃねーか」

権現狸が「それだけ準備に時間が掛かったと言う事じゃ、最善を尽くす案じゃな」

「一寸、待ってください、胤景さん、鐸閃さん、軍の戦闘機でナパーム落とすつもりですか、巡洋艦から砲撃するつもりですか、そりゃ、人は、全員、避難出来ると思いますよ、じゃ、現地近辺にいる動物、小動物、そして彼らが、食物としている木々、それらはどうやって避難させれるんですか。敵を一掃出来たけど、辺り一面焼け野原なんて せめて、自分の住んでいる国がそんな事を平気で出来るとは、思いたく無いし、させたくありません」優介が、言い、「胤景さん、鐸閃さんが、真剣になって作戦と準備をして呉れた事、嬉しいですけど、何も住めない荒廃した土地にする事だけは、さけましょうよ」と言った。

胤景、鐸閃は、「・・・」茫然と優介を見つめると、

唐突に、胤景、鐸閃が、拍手した。周りで聞いていた妖達も皆が拍手した。

優介は、戸惑いながら尚も続ける事を決意したかの様に右拳を握り締めて喋る。

「我々、日本の地の全ての住人は、世界でも稀な自然と共存する知恵と勇気がありました。丁度、貴方方の言う古き良き時代と言う物と同じだと考えています。我々は、あの頃を知っています。聞いています。ですから我々の手でそれを壊す様な事だけはすべきで無いと思います。絶対的な火力があっても使わないと言う事は、其れだけ戦闘も苛烈を極めるかも解りません。私は、貴方方を一人でも傷つけたく無いのも事実ですが、自然を壊滅する事には、賛成出来ません。」

更に拍手は、大きくなった。

「流石は、我が主様、実は、この作戦を立てた時、これで良いのだろうか、話に聞くベトナムやアフガニスタンの様な愚行を行って良いのか迷いました。ですが、我々は、軍人です。最良の案を述べ、其れに対しての英断を聞きとう御座いました。主様を試す様な愚行を御許し下さい」

胤景、鐸閃が跪き頭を下げた。

(うーん、空狐様や白澤様が惚れたと言うだけの事は有る。早々に儂も挨拶せねば)と槃蔵は、考える。

「どうじゃ、槃蔵、どうやら決心がついた様じゃのぉ、ほっほっほっほっほっ」空狐が言う。

「はい、あの方に従いましょうぞ」槃蔵は、空狐に頭を下げながら言った。

「優介~ぇ~、かっこ良かったよ。流石だね」優子が言う。

「優介殿のああ言う青臭い所、昔から好きなんだよね~」魏嬢が言う。

「ダメですよ、魏嬢さん、私が奥さんなんですからね」優子が魏嬢を怒る。

「ですが、主殿、初回攻撃は、如何されます」胤景が問うと

「儂と槃蔵様、それに白隙と来牙に任せてもらえんでしょうか」権現狸が言うと

「しかし、ぬし達は、玉賽破の尾の属性を調べる役目があろう」白澤が言った。

「儂と槃蔵様のコラボレーションの必殺技、EM砲、と白隙には、炎蛇と来牙には、凍蛇がある」

「EM砲? なんじゃそれ」白澤が顔をしかめる。

凍次郎が、「おめーら、そんな事して遊んでやがったのか」

「遊んでたなんて槃蔵様に修行を御願いして刀を手に入れ、技を磨いていたので御座います」っと震えながら来牙が土下座して頭を下げる。

「強くなったのかい。でも無理しちゃいけないよ」白禅が白隙に声を掛ける。

「はい、ですが、必ず御役に立てると信じております」白隙が頭を下げる。

「白澤殿、権現狸殿との合せ技、権現狸殿の案でやってみたんじゃが、とてつもない物での。ま、名前が名前だけに信用出来なくはないが、実際 我ら見ております。先発に加えては頂けますまいかのぉ」

槃蔵が頭を下げるが、権現狸は、(名前、カッコ良いと思ったのにな~)と囁きながら落ち込んでいる。

「白澤様、白隙も来牙も以前に比べると顔付が変わっております。私からも御願いで御座います。彼らの活躍の場を与えてやって貰えませんか」白雲が頭を下げた。

「で、どうやるのさ」魏嬢が口を挟む。

「まずは玉賽破を丸腰にする。その為に天ケ森の奴らを叩く、そして平行して情報じゃ、玉賽破がどうやって妖気を集めておるのかが解らんが、太古の技術を持って行っておる事には変わりは無いじゃろうからその装置を壊す。それから進撃する。大まかに言えばこうじゃのう」白澤が答えると

「アンタ、何か知ってるね。まぁ、良いか。良し、解った。天ケ森上空まで我らが運んで遣るよ」魏嬢が言い、優介と優子の方へ歩いて行く。

(ふぅ~、・・・流石に沼御前殿、鋭いわ)白澤が額の汗を拭う。

優介の傍には、優子、胤景、鐸閃、太郎丸、蔵王丸が座っていた。

「胤景さん、あたしら、フェリーに乗ってちんたら行かなきゃならないのかい?」魏嬢が言うと

「い、いや、御希望であれば、ヘリで行かれるが、よ、よい、宜しいかと」かなり焦りながら答える。

「魏嬢さん、色っぽ過ぎ~」優子が、指を刺して指摘する。

「あ・り・が・と・う、胤さん」魏嬢が返事する。

「あー、いけないんだー、女の武器、使いすぎー」また、優子が、指刺す。

「CH-47Jは、装備、弾薬、武器等の火器運搬に大湊海上自衛隊に寄りますが、けが人等、救助用のUH-60Jを御用意します。乗員は、5名ですが、T700IHI-401C型のターボシャフトエンジンですので235km/hでの飛行が可能になります」と答える胤景。

「其れは何機あるの」優子が、聞く

「はい、姫様、5機用意させて頂いております。相手の手の内が解りませんのでCH-47Jの場合、巡航速度が200km/hとなり、機体も大きく、大勢の者が乗り撃墜されると多大な損害を被る可能性がありますので少人数づつの移動が懸命かと考えております」

胤景が答えると、今度は太郎丸が、「俺達も其れに乗れるの」と聞いたら

「太郎丸さんと蔵王丸さんは、装備運搬の手伝いを御願いしたいのと体が大きいのでCH-47Jです」

とはっきり言われた。「蔵王丸、俺達。撃墜されちゃうんだって」と悲しそうに言うと「そもそも 乗る前から撃墜されるって決まってないわ」と蔵王丸が言った。

優介、優子、胤景、鐸閃、が、笑う。


優介が、白澤を見ると、目が合って、白澤が、移動して来る。

「優介殿、大体の編成が、決定しました。後ほど、書面にて御渡しします。今日の所は、そろそろ暇させて頂きます」と言うので

「ありがとうございます。面倒な役目を押し付けて申し訳無く思っております。どうぞ御ゆっくりなさって下さい」と姿勢を正し、頭を下げる。

「今日は取り敢えず各自このままばらけて指示は、各族長にお任せして明後日、行動を開始します。本日、只今より、目立つ行動は、避け、敵に知られない様に気配を最小限に抑えていてください。解散します」

白禅が 大きな声で告げた。

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