友達
本当の友とは、それは、
GT500、ダッジナイトロ、シボレーコルベット、シボレーキャプティバ、ハマーH2、ウニモグU5000の6台の車は、一列に並び、順調に航行を続ける。
優介は、服部洋介に電話を掛け、北陸自動車道 有磯海サービスエリアに順子さんを迎えに来て欲しいと伝える。洋介さんは、あれ、高山じゃなかったのと、案の定、聞いて来たので 事実を話すと、済まなかったとかなり落ち込んだ。優介は、もう済んだ事だと言い、兄と咲子さんと洋介さん、順子さんで後の事は、頼むよ、俺達は、何とも思っていない、ただ、魔が差しただけだろと言った。
「優介、私、言い過ぎたかも」珍しく謙虚にでたなと優介が思い、
「ん、何が」と答えると
「咲子さんにだよ」と運転している優介に向かって怒りながら言う。
「気にしなくて良いよ。姐さん、去り際に(お互い優子ちゃんにすくわれたね)って言ってたよ」
「そんな事・・・言ってたの」優子が答え、「あ~お腹空いた~。有磯海だったよね、焼き立てピザと白エビ!、これだよこれ、富山と言えば、白えびだね♪~白エビコロッケ~♪」と歌いながら、白雲に電話する。
「こちら、え~、優介号、応答願います」
「あ、こちら白雲号、どうぞ」返事を聞いて満面の笑顔で優介をどや顔で見て、
「次は有磯海サービスエリアで休憩、トイレ、食事、あ、ちょっと待って、うん、給油にしま~す」
「了解しました」白雲が切る。
ダッジナイトロ内では、クスクスと笑いが起こり、
「いやー、白雲さんも一寸嬉しそうにしてましたね、実際、あの応答、気に入ってます?」
北渡が言うと、白雲は、「おい、後ろにも電話しとけよ」とぶっきらぼうに言った。
サービスエリアに入り、一般車の列の一番手前から6台目にGT500を停めると、その横に次々と他の5台が並ぶ。ウニモグU5000から6人が降りて 4人が残った。交代で見張る様だ。
それを目にした優子が、また、
「ねぇ、ねぇ、お腹空かないの」と聞くと
「私達は、これが任務ですので。気を付けていってらっしゃいませ姫様」と無下に断られていた。
魏嬢と白愁牙が、「姫~、行くわよ、早く早く」と急かされ
「何か買ってくるね」と言いその場を離れる。
レストランに直行し、食券を優介が買っている間に優子と魏嬢と白愁牙が白えびコロッケを大量に購入して、全員に2ケづつ配っていた。
優介は、順子さんを同じ席に座らせているのを見て優子が、
「やるね、優介、アフターケアだよね」と耳元で囁く。
優介が、「洋介さんを此処に呼んでるから一緒に帰ったら良い」と言うと
「合わせる顔が無いんです」と小さな声で順子が返事をする。
「洋介さんには、後は、雄一郎、咲子さん、洋介さん、順子さんの4人で話合って決めて欲しい。俺達は、もう何とも思ってないから決まった事に準じるよ」と言う。
「お腹いっぱいになったら帰れるよ、それも勇気だね」優子が言う。
優介は、(さすがだ、人の気持ちにずかずかと入って行く)と思い、優子を見ると、
「また~、そんなに見つめちゃって」と話がまた何処かに逸れて行く。
「優子、一寸、俺、後ろの席で用事があるから暫く一人にしておいてくれ」と言いながら
上着のポケットから【結界同化術式符】と【五行束縛符】を取り出し、別の席へ移動し、それに手を当てて何かをしている。見ているとバラバラになっている護符を2つの山に分けている様だった。
分け終わると、「うーん」と良いながら、全員の顔を見回して胸ポケットから筆ペンを取り出し、一つの山の護符全てに【絆】と書いて行く。もう一つの山には、【破】と言う文字を書いて行く。中々の達筆だ。【破】と言う文字を書いた束を左の内ポケットに仕舞い、立ち上がると
「優子、済まないが、これを彼らに渡してくれないか」と言った。
「うん、良いよ」と優介のテーブルに来てその束を持ち、行こうとすると
「白雲さん、白禅さん、白愁牙さん、以前、御渡しした封書をこっちの封書と交換しますのでテーブルの上に置いて頂けませんか」と言いい、「優子、頼む」と言って座った。
全員に渡し終えると優介が、戻った【結】の封書を持っておもむろに一番手前に居た蔵王丸の肩に手を乗せた。この場に居る妖全員が、固まった。
「ね、もう大丈夫でしょ」と優介がにこやかに微笑んで全員を見渡すと
「蔵王丸が滅されたと思った」と太郎丸が言うと
「お前もその距離だとダメだろ」と蔵王丸が返す。
「あ、そうだな。そりゃぁそうだ」と太郎丸が言うと全員の顔から緊張が無くなった。
「あ、兄貴、俺らもこんな大事な物、頂いてもよろしいんで」凍次郎が言う。
「此処にいる皆は、俺は友だと思って信じている。俺はこの気持ちをこの封書に込めた。皆、受け取って貰えるか?」と優介が聞くと
「勿論です」と一斉に声が返って来た。
優介は、目が、熱くなって、何も言えなくなってその代わりに深く頭を下げた。
「ありがとう」やっとの思いで出た言葉だった。
優子が、「注文したの来たよ」と皆に言い、「お腹空いてたら涙が出るね」と言いながら指先で涙を拭いていた。皆、口々に「姫の言う通りだ」と言いながら食事が始まった。
食事も無事終わり、優介が「中司家から使いの者が、やって来て順子さんを連れて帰ってもらう。使いの者って言うのは、順子さんの旦那さんなんだが、丁重にお迎えして、順子さん共々、丁重に御見送りの程、皆さんに御願いします」と言うと「わかりました」と心良い返事が返って来たので順子さんに微笑んだ。優介は、時間があるので其れ迄、カフェに行く事にした。
優介が立ち上がりカフェに歩いていると、優子、魏嬢、白愁牙が、後をついて来て魏嬢が、「優介、やっぱりあんた良い男だよ~、惚れ直したよ~」と言い後から抱き着いた。
「一寸、姐さん、私にも抱き着かせてよ~」白愁牙が言うと
「優介は、私の旦那さん何ですから気安く抱き着かないでください」と真剣に怒って優子が優介の腕を引っ張る。魏嬢が、「何だい、けち~」、「けちじゃありません」と大騒ぎをするので優介は、さっさとカフェに逃げ込んだ。
席に着くと全員が、カフェに入って来て「いやぁー、兄貴とこうして席を一緒に出来るたぁ思いませんでしたよ」と正面に凍次郎が座り、その横に白雲が座った。優子は、こっちが気に成りながら魏嬢、白愁牙、順子と一緒に座っている。
こうして時間が、過ぎ、服部洋介が顔を見せた。
優介が、「洋介さん、こっちこっち」と手を上げると洋介が走って来て
「すまなかった、優介」と言うので
「良いよ、無事だったんだし、其れよりコーヒーでも飲む」と聞くと
太郎丸が、「此処に」と言いながら洋介の前にごつい手でコーヒーを置き、
「熱いので御気をつけてください」と言う。
優子が、太郎さん、すごーい、偉いねーって言ったので、太郎丸は、えへへ、褒められちゃったと有頂天に喜んでいる。優介は、若干、頭が痛くなった。
「この周りの連中、みんなそうなのか?」と洋介が、優介にこっそり聞くと
「へい、兄貴にぞっこんの連中ばかりでさぁ」と凍次郎が答えた。
「あぁ、前に座ってるのが2人共、天狐でね」優介が、答えると
「御初に御目に掛かります。中司家に奉公に参っております。私、服部洋介と申します」と挨拶してる。
「まぁ、御掛けになって御気楽になさってください」白雲が言う
「優介、と言う事はだよ、ここに居る連中は、相当な方々ばかりだよな、やっぱり」と一人で頷いて納得している。「挨拶しようかな」とボソッと言うので「止めておいた方が良い、店に居れなくなるから」と優介が、助言する。
「じゃ、そろそろ行くわ、優介、悪かったな」洋介が言い、「順子、帰ろうか」と手を取る。
「兄貴、私らもそろそろ行きますか」凍次郎が言い、優介は、そうだな行こうと返事をする。
全員が一斉に店を出て駐車場に向かう。
GT500の横にGTRが停まっていた。洋介は、GTRの助手席を開けると順子を座らせ、運転席に回り、隣に停まっている車に乗り込もうとしてる優介に声を掛けて静かに走って行った。
給油の為、GT500、ダッジナイトロ、シボレーコルベット、シボレーキャプティバ、ハマーH2、ウニモグU5000は、ガソリンスタンドに入り、全車6台満タン、ハイオクでといつの間にか降りていた胤景が、カードを出して店員に渡して店内に入って行った。
それから先も順調に目的地に近づいて行った。
途中、新潟亀田インターで降り、新潟近くのホテルで一泊し、次の日の晩には五所川原市の温泉ホテルに泊まっていた。