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九尾の孫 【絆の章】 (2)  作者: 猫屋大吉
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狐狸

狐と狸と猫 が がんばっちゃいます

槃蔵が 刀を見ていく。それを白隙、来牙、権現狸、斯眼が正面に座り見ている。

「ゴクリ・・」斯眼が緊張のあまり唾液を飲み込む。


長篠一文字は、その特徴である【乱れ映り】が外見上で変わっていた。

【乱れ映り】とは地の部分に映りという影焼きが刃文の乱れに沿って映る福岡一文字の特徴で、槃蔵が妖気を加えて持つとその部分が、青く輝いた。

骨喰藤次郎は、粟田口 吉光あわたぐちよしみつが、大坂夏の陣に回収した薙刀を打ち直した脇差だが、槃蔵が妖気を加えて持つとその歯は、80cm程に伸び、刀身がうっすらと赤く輝く。

千鳥は、古称名で、現在では、雷切らいきりと言われて立花道雪が雷神を斬ったなどと噂された刀でこれも槃蔵が妖気を加えて持つと刀身が黄色の輝きを帯びた。


「誰にどれを持たせるかな」槃蔵が呟く。

「・・・・思ったのですが、それらの刀、妖気との相性が有るのではありませんか?」

白隙が聞くと、

「うむ、確かに・・・白隙は、炎を操るんじゃったな、来牙は、冷気・・・、刀の力、試して見ようかの」

槃蔵が言い、白隙、来牙に刀を1本づつ渡し、住処を出る。

白隙には、骨喰藤次郎、来牙に長篠一文字である。

「白隙、抜いて一振りしてみろ」槃蔵が言うと 白隙が、抜き、上段の構えから一気に振り下ろす。

ごぉぅ、と言う音がして刀身が火を纏う。

火が蛇の様に刀身に纏っている。

火の蛇が、柄から白隙の腕に絡み付く。

生き物のようだ。

腕に絡み付いた火が炎に変わり、一気に白隙の体を覆った。

「おわぁ」と白隙が叫び、刀を放すと体を覆った炎は、刀身に吸い込まれる様に消えた。

「なんだ、今のは?この俺が燃えちまう所だったぜ」白隙が言う。

「うーん・・・次、白隙、遣ってみろ」槃蔵が言う。

来牙が少し、ビビりながら剣を抜くと深呼吸をして白隙と同じ様に上段に構えると一気に振り降ろす。

刀身が、青く輝き、刀身に氷が張りついてやがて消える。

「うん、大体理解した。白隙、来牙 てめぇらそのまんまじゃ使えねぇな。根本的に妖力が足りねぇんだよ。白隙は力のコントロールに無駄が多い。来牙、おめぇは、致命的に妖力その物が足りてないってこった」

槃蔵が言いながら千鳥を手にすると槃蔵の体の周りがユラユラと陽炎の様な物が出来る、

一気に刀身を抜き放つと刀身が電気を帯び、無数の火花が刀身がら出てチリチリと音を立てている。

槃蔵が両手を水平にし、ゆっくりと上段に構えると一気に振り下ろす。

刀身から”く”の字に曲がった電撃波が打ち出された。

それは30m程離れた枯れ木に衝突し、その枯れ木を燃やし、粉々に吹き飛ばす。

地面には、一直線に電撃波の走った後が切り裂いた様に抉られていた。

「すっげー」斯眼が大きく目を開いて叫ぶ。横で権現狸が、

「槃蔵殿、面白い事を思い付いた、試して見たいが良いかな」と言うと

「どう言う事だ」

「いや、何、その電撃波を儂に当ててくれぬか?」

「何を馬鹿な、権現、貴様、死ぬつもりか」槃蔵がびっくりして言う。

「何するつもりか解らんが、洒落になんねーぞ」斯眼が抗議する。

「まぁ、見てなって。あのでかい岩でいいか、一寸、待って呉れ槃蔵殿、場所を移動する」

権現狸が走って自分の体の倍以上の大きさの岩の前へ走って行き、其処から槃蔵までの丁度、真ん中ぐらいに立つと「おぅ、良いぞ。旦那、遣ってくれ」と大きな声で言う。

槃蔵から権現狸までが30m程、更に権現狸から岩までがまた30m程だ。

「しょうがない奴だ、死んでも知らんぞ、恨むなよ」槃蔵が大きな声でいう。

「構わねぇよ、思いっきり遣ってくれ、旦那」権現狸が言いながら自分の腹を叩く。

「ポン」

それを合図に槃蔵が千鳥の刀身を抜き放つ。先程と同じ、無数の火花が刀身がらチリチリと音を立てている。

ゆっくりと上段に構え「参る」と言うと一気に振り下ろす。

刀身から電撃波が打ち出される。まっすぐに権現狸を襲う。

権現狸がぴょんぴょんと跳ねた。

斯眼が目を瞑り両手で目を抑える。

電撃波が権現狸に当たる瞬間、権現狸が岩に向かって斜め上に飛んだ、空中で丸く成った権現狸に電撃波が襲いかかり、当たる。その衝撃で権現狸の飛ぶ速度が、上がる。そのまま岩に向かってもの凄い勢いで飛んで行く。岩に激突した。

「ドォォォーン」と物凄い音と地響きが辺りを包み込み、砂煙が舞い権現狸はおろか、岩も見えなくなる。火花がバチバチを光っている。

「やったー、ホゥ、♪、すっげーぞこの技、コラボレーション最高、♪、コングラッチュレーション」

煙の向こうで権現狸の大喜びする声だけが聞こえる。

やがて砂煙が収まり、視界が開けて来ると槃蔵、白隙、来牙、斯眼の目に驚愕の色が浮かぶ。

深さ3m、直径10m程の丸い穴が空き、その真ん中で権現狸が大喜びで飛び跳ねていた。

「今、ロープを下すから一寸待ってろよ」槃蔵が穴の下の権現狸へ声を掛ける。

「やったぞ、ちくしょう、凄ぇだろ」権現狸がその腹を両手で押さて飛びながら言う。

「砂煙で見えなかったよ。上がって説明しろ、この狸」槃蔵が悪態を付ながらにこにこ笑う。

腹にロープを巻いた権現狸を4人掛かりでようやく上げた。

「はぁはぁ、狸、お前、重いわ」槃蔵が言う。

「疲れた~・・・」斯眼が言いながら頷く。白隙、来牙も無言で頷く。

「凄い技だろ、技の名前、何にしようか。狐と狸のコラボだからな・・・うーん」1人だけ元気な権現狸は、テンションも最高潮にあった。

「説明しろ」槃蔵が言う。

「えー、おっほん、儂は、属性が金なんじゃ。電気には強い耐性を持っておる。それに体を金剛に硬化する事も出来る。諸君、御解り頂けるかな」権現狸は、どや顔で其々の顔を見渡す。

「そうか、なる程、そう言う事か」斯眼が言う。

「こっからが良いとこ何だから 言うなよ。で、金剛化して空中に浮いた儂を後からスピードに乗った電撃波がぶつかる、と、どうだ、儂は電撃波の電気を帯びてそのまま高速で標的にぶつかる事になる。まぁ人間の作った電磁砲の様な事になる。普通にぶつかるよりも2倍も3倍も大きな力でぶつかる事が出来る。これぞ、究極の大技。【狐と狸の電磁砲】が完成するのじゃ」有頂天になっている。

「まんまの名前だな」

「ネーミングセンス無さ過ぎ」

「かっこ悪い名前」ブーイングに晒されている。

「白隙、来牙、おめぇら修行しろよ」あんまり言われる物だから権現狸は、怒鳴った。

「言われなくても遣るわい」白隙、来牙が言い返す。

「槃蔵殿、修行をさせて下さい」と槃蔵に向き直り頭を下げる。

「こんなの見せられたらそう成るわな、わかった。ところでお前らはどうする」

権現狸と斯眼を見ながら言うと

「帰っても取り敢えず遣る事無えしな」2人は、顔を見合わせて言い、

「修行が終わるまで見てるよ」と返答した。

「狐と狸の電磁砲、だから、狐狸砲こりほう、何か肩こり見たい」と胡坐をかいて真剣に悩みだす。

「お、そうだ、視点を変えてみるか、大事な事だよな、発想を変えるってのは、ハイカラに英語だと Fox、Raccoon dog、Electromagnetic gun だな、確か、FREM-SHOT てのもイケテルかもな」

「お、それ良いな、フレームショットか」斯眼が言う。

「だめだ、もっとこう、何て言うか、インパクト、そう、インパクトのあるのが良い」

権現狸が言う。

2人の様子を呆れて見ていた槃蔵が、

「おい、あっちで修行開始だ」と白隙、来牙を連れて行った。




朝の5時を回った頃、凛とした冷気が佇む幣立神社の伊勢の内宮前に優介と優子に座って居た。

優介は印を結びだし、「神漏岐命カムロギノミコト様、神漏美命カムロミノミコト様、大宇宙大和神オオトノチノオオカミ様、天御中主大神アメノミナカヌシノオオカミ様、天照大御神アマテラスオオミカミ様方に在られては此度、身に余る御助力を頂き、謹んで御礼申し上げ奉り候」

「こに置きまては某、何の迷いも無く事に専念出来る事之有難き幸せに存じ奉り候」前に置いた椀の酒が無くなると注ぎながら 勤請再拝、勤請再拝、天つ御祖 神産霊の神 天つ御璽の 瑞の宝を 振由良加して、・・・・と歌いあげていく。

「わらわじゃ、中司」いきなり声が響く。

「ヌシに渡さねばならぬ物を先程は、忘れておってな。これを受け取るが良い」

一対の扇が、優介の目の前に出現した。

「かような物、勿体のう御座います。身に余る光栄に御座います」優介が頭を下げながら礼を言う。

えにしじゃ、2人で一つづつ持って居れば良いのじゃ」

一対の扇から一つが優子の目の前に滑る様に飛んで来た。

「有難き幸せに存じ上げ奉ります」

「働き、しかと見て居る由にの。さらばじゃ」

2人は深く頭を下げ 地に額を接した後、扇を両手で捧げ持ったまま 立上がり其の儘後へ3歩下がり一礼して立ち去った。



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