手記 【これまでのQnQnハニー】
●第三十の伴侶 サクライ マサタカ様
七代目勇者 ヤマダ ホーリーナイト様。ゆえあって、サクライ マサタカ様に改名したとのこと(理由は不明。ジャンヌ様もそのあたりを詳しく調査してきてくださればよかったのに……)。
七代目時代は精神剣が主武器だった。現在は精霊支配者(五十六体の精霊を所有する)であり、他にも特殊能力をお持ちのようだ。
勇者OB会リーダー。たいへん戦闘力が高いため、年に何回も異世界に『勇者』として召喚されている模様。
ジャンヌ様曰く『勇者の中の勇者。精神剣を構えて爆進してくる姿は格好良かった』。
●第三十一の伴侶 リヒト
サクライ マサタカ様所有の光精霊。
サクライ様の秘書兼精霊のまとめ役。
金髪碧眼、細面の男性の姿が常態のようだ。ジャンヌ様曰く『美形メガネ様』。
●第三十二の伴侶 トマ
獣使いジュネの祖父。獣使いの村の長。ジョブ『村長』で仲間に加わったと推測する。
セザール様のご親友。高齢だが、村一番の獣使いとのこと。戦闘力には申し分あるまい。
ジャンヌ様曰く『熊みたいな大男。でも、笑顔は優しそうでステキだった』。
●第三十三の伴侶 トウドウ アリス様
十六代目勇者 アリス様。女性。
特殊能力『絶対防御』。
ジャンヌ様曰く『ジョブは、ご実家の酒屋を手伝ってるから家事手伝いかな?』。
●第三十四の伴侶 イチノセ ナナ様
三十三代目勇者 フリフリ様。女性。
主婦。華麗なる三十三代目様。特殊能力は『共有幻想』。
ジャンヌ様曰く『フリルエプロンを装備した姿でお料理してもらっちゃった』。
●第三十五の伴侶 ?
賢者シメオン様の姿を象って現れた、勇者ジャンヌ様のお命を狙う敵。精霊以上の存在。
●第三十六の伴侶 カタギリ ナオヤ様
二十九代目勇者 キンニク バカ様。
警察官。柔道家。二十八代目エリートコース(カタギリ ユキヤ)様の弟。
霊力を攻撃にこめての戦闘が得意。
ジャンヌ様曰く『ジョゼ兄さまの格闘の先生もしてくれたの。残念ながら、アタシはお話する機会がなかったけど』。
●第三十七の伴侶 ヤザキ ユウ様
九十七代目勇者様。
言霊使い。大学に通うかたわら、ホスト(飲酒店接客業)をなさっているそうだ。
シメオン様の最初の弟子。
ジャンヌ様曰く『英雄世界風に言うと、チャラい兄ちゃん』。
●第三十八の伴侶 サイオンジ サキョウ様
八十四代目勇者様。
高校教諭。神降ろしに秀でた神官でもあり、マルタン様の器となる。
ジャンヌ様曰く『いつも笑ったような顔』。
●第三十九の伴侶 ノヴァ
サクライ マサタカ様所有の炎精霊。
勇者OB会アジトの警備員。どのような姿で伴侶となったのかは不明。
ジャンヌ様曰く『女性の姿の時は、赤毛で胸がとっても大きかった』。
●第四十の伴侶 シュトルム
サクライ マサタカ様所有の水精霊。
勇者OB会メンバーの影武者・諜報活動などを務める工作員。どのような姿で伴侶となったのかは不明。
ジャンヌ様曰く『女性の姿の時は、水色の髪で胸が(以下略)』。
●私見
推測も交え書き綴る。
学生時代、歴代魔王戦がつまびらかにされぬ理由に関して雑文を書いた(問題がある内容の為、発表する場が無かった。勉強宅の何処かにしまいこんでいるだろう)。
魔王戦について、賢者も勇者仲間もみな、口を閉ざす。
それゆえ、世の勇者物語はほぼ全て、魔王戦以後は創作となっている。
緘口令を敷かれる理由は……
おそらくは……魔王戦が世に広めるに値せぬ内容である為。
魔王の実情が国の広報にそぐわぬ、正義は魔王側にある、勇者は卑怯極まりない戦法で挑んでいる、魔王戦は酸鼻を極める戦いとなっている……
ろくでもない推論ばかりを立てた。
魔王を倒した後、勇者は、賢者に就任するか、異世界へと転移するかを選ぶと言われている。
これが虚偽だと仮定した。
『賢者になれなかった勇者は、全員死亡』している。なぜならば、『魔王戦で死亡する事を前提に、勇者は選出され』、『勇者は魔王に生贄として捧げられ』、『ごくまれに、運のいい者だけが生き延びている』……
『魔王戦での勇者の死亡率の高さ』……あの時、最有力と思えた説は、自分で考えたことながら不愉快な仮説だった。
だが、今回、英雄世界で歴代勇者様が存命である事実がわかり、私の仮説は棄却された。
良かった。
勇者とは……
強く、賢く、正義感に満ち、道徳的で、悪を憎んで人を憎まない、美しくも頼もしい、この世を救う英雄だ。
そうでなくてはいけない。
そうでなければ、この世界が存続する意味がない。
勇者様のお命を狙う存在に、理が有るなどとは思いたくない。
シメオン様の姿を象って現れた敵は、魔王に関わる存在と推測される。
しかし、我々の世界に魔族は存在しない。
唯一の例外が、魔王なのだ。が、現在、魔王『カネコ アキノリ』は百日の眠りについている。英雄世界への干渉は不可能だ。
シメオン様の似姿の敵は、異世界の神か? 魔か?
以下、ジャンヌ様の氷精霊より聞いた、敵の発言をまとめて記す。
『私は……私だ。
おまえを見つめ続けるもの。
魔王と勇者がある限り、終わりなき過ちが繰り返されるだけ……
その愚かなる輪を断ち切りたいがゆえに、私は常におまえの事を思ってきた。
いかにしておまえを殺そうか、と』
現在、敵について判明している点
1.上位者(主神級の実力)。
2.以前より、勇者ジャンヌ様のお命を狙っていた。
3.直接戦闘はしない(できない?)
4.この者と戦闘経験があるマルタン様曰く『巨悪』。
最大の疑問は、この敵がなにゆえ英雄世界で襲撃したか、だ。
英雄世界には英雄世界の神がおわす。己の支配領域で、他神(或いは魔王)の勝手を許すはずがない。
本来であれば……。
英雄世界の神は、敵が卑小な存在に擬態していた為、その存在に気づかれなかっただけなのか?
それとも、敵に協力し、勇者様の殺害を見て見ぬ振りをなさったのか?
むろん、英雄世界の神こそが黒幕の可能性とてある。
いずれにしても、襲撃はあれで終わりではあるまい。
これ以降の世界でも、警戒を怠ってはいけない。
高位の神魔は、異世界へ自他を楽々と送れる。異世界転移など、たやすいことなのだ。
エスエフ界には、マルタン様、セザール様、ニコラ君、ルネが勇者様と共に赴く。
セザール様の治癒の為のメンバーだ。
邪悪祓いに秀でたマルタン様がご同道くださるとはいえ、正直、戦力はこころもとない。
発明家のルネには常にロボットアーマーを装着し、勇者様の護衛を務めるよう命じた。が、あの男、発明に熱中すると、ついうっかりさまざまな事を忘れてしまう……不安だ。
だが、案じたところで、私には何もできない。
ご無事の帰還を祈りつつ、魔王関係の書をあらためて読み直し、敵の正体・襲撃の意図の推測をたてていこう。
学者として、知識を総動員し、思いつく限りの助力をせねば。
決してジャンヌ様を死なせぬ為に……
第5章『女王蜂 ― пчела-царица』本編は、9月1日(月)からアップします。
ムーンライトノベルズに『きゅんきゅんハニー』の番外編があります。
『ぎゅんぎゅんハニー』
第1章『獣使い×農夫』
第2章『Alice's Fantasy』……アリスの妄想BL世界。
全年齢対象作品ではありませんが、閲覧可能な方は『きゅんきゅんハニー』と合わせて『ぎゅんぎゅんハニー』もご覧いただけると嬉しいです。