七十四代目 ソノヤマ マスミ 前編
○月×日
『勇者の書 74――ソノヤマ マスミ』を書く事になった。
「勇者とは、自分の生きざまを『勇者の書』に綴るものだ。次代の勇者への助言の書と思って書いとけ」とか何とか、グレンは言ってたけど。
なんで今日くれたの?
私がこの世界に来てから、十五日経つのよ。
勇者認定されたのだって、八日前だわ。
書き始めるんなら、私がグレンに見出された日からじゃない? って突っ込んだら、「渡すの忘れてた」とか言いやがった。
髭オヤジがテヘペロしても、可愛くないんだよ!
本当、大ざっぱだな、あんた!
反省の色がかけらもないし!
ふっふっふ。私の手には、お手本として借りた『勇者の書 73――グレン』があるのよ! ランディたちの前で読み上げてやるわ! って脅したら、「それだけは勘弁してくれ」と土下座してきた。
土下座よ、土下座!
この世界には、ジャパニーズ土下座まで伝わってるのよ。
びっくりだわ!
私の世界はこっちじゃ『英雄世界』って言われている。
私よりも前に十人もの人間がこっちに来て、勇者になって、魔王を倒しているのだとか。
ジャパニーズ土下座も、その内の誰かが伝えたらしい。由緒正しい謝罪方法として、この世界に根付いているのだそうだ。へー へー へーって感じ。
まあ、グレンは御大層なことを言ってたけど。
あいつの『勇者の書』は、どう見てもただの日記。
何月何日。誰とどこどこへ行った、何をした、誰を仲間にした、何を思ったか、内容はその程度。
律儀に毎日綴ってはいるけど、『今日は何もなし!』がかなりのページ。かと思えば突然、一頁まるまる今日のトレーニングで埋まってたりする……さすが脳筋。勇者時代は戦士だっただけのことはある……。
日記なら、書けなくもない。
とりあえず、今日までの事を振り返ろう。
十五日前、この世界に魔王が現れた……らしい。
この世界の伝統で、魔王は百日間の眠りに就いた。眠ってる間に邪悪パワーを溜めて、世界を滅ぼす力を手に入れるのだとか。睡眠中は無敵なので、魔王を倒すのは必然的に百日後となる……らしい。
なんかのゲームの設定? とか思ったけど。
とにかく、賢者グレンは今世勇者(つまり私だ!)を探しに、旅立った。
一方、その頃、私は……ドニ君に拾われて、獣使いの村でお世話になっていた。
私は空から落ちて来たらしい。ドニ君の野猪犬(もっふもふ!)がクッションになってくれたらしく、左の手足の捻挫で済んだけど。運が悪ければ死んでいたのだそうだ。相当高い所から落下したみたい。
だけど、何でそんな事になったのか、どうやってこの世界に来たのか、さっぱりわからない。
その時は気を失っていたし……ていうか、二日酔いの酷い頭痛と手足の痛みで目覚めたんだけど、その前の記憶が全然ない。
居酒屋で香菜や美夏たちと楽しいお酒を飲んでたところまでで、プツンと途絶えてる……
うん……もう、深酒やめよう……。
ドニ君の村には、客人をもてなすのは七日までってルールがある。
それ以上滞在する者は、もうお客様じゃない。相応の対価を払うか、労働力を提供するか、通過儀礼を受けて村の一員になるかしかないらしく……
途方に暮れた。
捻挫しててまともに動けなかったし、身一つでこっちに来ちゃったから、金目の物なんて持ってなかったし。
そもそも私に出来る労働なんてあるんだろうか? 洗濯機も掃除機も電子レンジも無いじゃない。
出て行こうにも、村の外はモンスターだらけの森……
詰んだ。
頭抱えてたら、『マスミ、オレの嫁。ずっとここにいていい』な〜んてドニ君が言い出して。
異世界嫁コース?
いや、カッコイイんだよ、ドニ君は!
巨大モンスターを何匹も従える、獣使いさまだし。
もふもふの毛皮を着た美形……ではあるんだけど!
いかんせん年の差が!
……おめめが大きくて、頬もぷりんぷりん……十二か三だよね?……小学生か、よくて中学生ぐらいの年頃よね……?
無理! 無理! 無理!
私、二十四なんです! OLなんです! ショタじゃないんで、ひとまわり下なんて無理!
って、最初は思ったのよね。
だけど、私にスリスリしてくるドニ君が可愛いすぎて……
だんだん『ま、いっか。相手は、美少年だし』と思ってきた。
あれよあれよって間に、私とドニ君の結婚式の準備は整ってゆき……
式当日に獣使いの村に現れたのだ、賢者グレンが!
賢者の白銀のローブがまったく似合ってない、五分刈り&髭のガタイのいいおっさん!
顔はまあまあ。笑顔がセクシーな、ちょい悪おやじにしか見えない。
よく似た顔のハンサムな供を二人連れていた。話を聞いてみたらやっぱり兄弟らしい。
兄のランディは、金髪にメガネ、爽やかな笑顔の冒険家。
弟のロジェは、赤髪を後ろで束ねたロングヘアーのクール・キャラ。ジョブはギャンブラー。
二人とも、勇者グレンと共に七十三代目魔王と戦ったPTメンバーなんだとか。グレンの元仲間だ。
彼等は『七十四代目勇者』を――ようするに異世界トリップして来た者は居ないか、辺境まで探しに来たのだ。
ロジェの『運命のルーレットダーツ』の導きのままにこの地を訪れ、私を見てグレンは確信したのだ。
私こそ、七十四代目勇者だと。
勇者には勇者がわかる。
元勇者のグレンは私に心惹かれ、私も懐かしくって涙があふれた。
初対面の髭オヤジが、まるで生き別れの兄のように思えて……出会えたのが嬉しくって嬉しくって頭が変になりそうだった。
* * * * * *
○月×日
グレンがうるさい。
『勇者の書』は毎日書けだの、賢者の名前や個人情報は書くなだの!
三日サボったぐらいでグチグチうるさい! 忙しかったんだよ! あんたの『今日は何もなし!』とか書いたうちに入らないでしょう?
書いちゃいけない部分も先に言ってよ。もう書いちゃったわ。この世界、修正液とか無いじゃないの。
そもそもね、この本を渡すのが遅すぎ!
十五日分をまとめようとして、長くなり過ぎちゃったの! 書く気力が尽きたの!
ようするに……グレン、あんたがわるいのよ!
お師匠様と呼べってうるさいけど、髭オヤジから昇格したかったら、尊敬されるような事をしてよね!
※今日のお勉強
この世界の一般常識(講師ランディ)
護身術(講師ロジェ)
神様のお話(講師ヨハン)
※プレイバックPart2。
王都ではそれなりに尊敬されてる賢者も、辺境の地ではただのよそ者でしかなく。
結婚式当日に花嫁を寄越せって言ってきた賢者一行に、獣使いの村は大反発。
バトル勃発?ってな険悪な雰囲気になりかけた時、賢者は提案したのだ。
神事でどちらの主張が正しいかをはかろうって。
で。
ギャンブラーのロジェの出番。
『運命のルーレットダーツ』を召喚したのだ。
天からまばゆいばかりの光がさし、降臨する天使のごとく、巨大なルーレットダーツボードが静々と降って来たのだ!
『運命のルーレットダーツ』は、神の起こす奇跡の一つ。
古代にあった特殊ジョブ『ギャンブラー』のみが使える特殊技法。
真偽、吉凶、未来を占う……というか自らの手でつかみとるスキルなのだとか何だとか。
盤面の右半分には『マスミはドニの嫁となる。マスミを奪おうとしたグレンに、ドニは罰を与えてよい』と書かれてて、左半分には『マスミは勇者となる。ドニはマスミの旅を助け、共に魔王と戦う』と書かれていた。
んで、ドニ君の手にキラキラ光るダーツ矢が一本だけ現れた。
神の御力によって、矢が刺さったマスに記された事が現実となる。
矢を投げないor外すと、その人間にとって最悪の未来が訪れる(ドニ君にとっての最悪だから、私が『勇者』として確定する)。
私を嫁にしたかったら自らの手でつかみとれと、ドニ君を煽ってから髭賢者はニヤリと笑ったのだ。
「俺はその女……ソノヤマ マスミこそ『勇者』だと確信している。おまえの矢は必ず、俺の当たりマスに刺さる」
更に髭賢者は、ロジェに自分の当たりマスの幅を最小(四十八分の一)に縮めさせ、
「俺は首をかける。外れたら、俺の首をかっ切っていいぜ。勝負だ」
ババーンとドニ君を指さしたのだ。
死をも覚悟しての申し出なのだ。
断ったら、男が廃る。
ドニ君は、勝負に応じた。
勝負! となったら、ダーツボードはぐるぐると回転しだした。
目にも止まらぬ高速だ。
速すぎて盤面に何が書かれているのか、私にはさっぱりわからなくなった。
ドニ君はダーツボードに向けて、ダーツ矢を投げて……
それで……
私は『七十四代目勇者』となったのだ。
正直……感動したのよ、私。
私の為に命まで懸けた男。
グレン……じゃないや、髭賢者がちょ〜格好良く見えたの!
胸もドキドキしてたし!
恋しちゃったかもって思ったのよ!
だけど! だけど! だけど!
物陰に行ってから、この髭、ぶち壊しの真実をぶっちゃけてくれたのだ。
「怖くなかったかって? いや、ぜんぜん。だって、神事なんだぜ。神のご意志が働いて、ぜったい俺の当たりマスに刺さるってわかってたし。ま、運悪く外れても、どってことねえ。首をかっ切ったって、俺、死なねーもん。不老不死の賢者だから」
私の感動を返せ、髭!
* * * * * *
○月×日
ふっふっふ。昨日につづき、今日も日記。やればできるのよ、私!
髭オヤジはランディとケヴァンをつれて、移動魔法で出かけて行った。
いいなあ、あれ。
賢者になんて、まったく、微塵もなりたくないけど。
あれだけは覚えたいなあ。
玄関開けたら、0分で会社とか。憧れだなあ。
いや、待て。
玄関開けたら、0分で温泉のがよくない?……憧れだなあ。
※今日のお勉強
礼儀作法(講師マティアス)
護身術(講師ロジェ)
神様のお話(講師ヨハン)
※プレイバックPart3。
気がつくと、豪華な部屋の中に居た。赤と金を基調にした華やかな部屋。天井が高くて、大きなシャンデリアもあって。扉は白。お貴族様って感じの絵画まで飾られてて。月並みだけど、ベルサイ●宮殿? とか思っちゃったわ。
グレンの移動魔法で、私たちはマティアスの屋敷まで運ばれたのだ。
マティアスは学者。グレンのもと仲間の一人だ。でもって、侯爵家三男! お貴族さまよ! お貴族さま!
片メガネが素敵な、ロマンスグレーのおじさま……かと思ったのよねえ、白髪混じりだし(ていうかほとんど白!)、老け顔だし。でも、実は三十代……独身……。
マティアスが「ようこそ、七十四代目勇者様」って挨拶をした時は、腰が抜けるかと思ったわ!
耳に心地のいい低音……背筋にゾクゾクくるような、イケメンボイスなんだもの! 悪魔の美声って感じ!
そんな色っぽい声のくせに、老け顔で、おっとりしたお貴族さまで……いろいろ素敵すぎる。
捻挫が治りきってない私の為に、マティアスは僧侶のヨハンを呼んでくれた。
これ、また美形で……
何というか……本物の『聖職者』なのだ。
穏やかな雰囲気も、笑みを絶やさぬ顔も、上品な物腰も、何くれとなく神様に感謝の祈りを捧げる敬虔さも……
そして、何よりも目が! 目が、一般人とは違いすぎる! 濁りがまったくないの! 怖いぐらいにキラキラで……赤ちゃんの目みたいで……見つめられると、いたたまれなくなる。だって……私、キレイな大人じゃないもの……。
清らかすぎる美形が呪文を唱えると、ポワンと光が広がり左の手足の痛みは消えた。
呪文一発で、瀕死の怪我も治るのだとか。
さすが異世界! 便利だわ!
私、ドニ君、家主のマティアス、僧侶のヨハン、冒険家のランディ、ギャンブラーのロジェ。
全員を見渡してから、髭賢者は突然踊り出した。でもって、にぱ〜っと笑ったのだ。……正直、頭がおかしくなったのかと……。
ぱんぱかぱ〜んとファンファーレが鳴り響き、髭賢者は『イェ〜イ♪』とポーズを決めた。
《やっほぉ〜 マスミちゃん、お・げ・ん・き? 七日目にして、託宣半分かなえちゃうなんて、君はほ〜んとすっばらしぃ! この調子で、魔王もガッツーンとやっつけちゃぇ〜♪》
……みたいな台詞を髭賢者が満面笑顔で言ったのよね……私とドニ君はなにごと????って怯えたんだけど。
グレンのもと仲間たちは、「あ〜あ」って顔をして。いや、ランディは指さして笑ってたか。
僧侶のヨハンは笑みを絶やさぬまま膝を折り、「この場に立ち会えたこと、身にあまる光栄に存じます」と、髭オヤジに頭を垂れたのだ。
マティアスが教えてくれた。
髭賢者の体にこの世界の神様が降りて来ているのだ、と。
勇者が託宣に従う百日の間に、祝福や助言や援助を与える為に神様が降臨するのはよくある事らしい。
託宣って何? って聞いたら、神様に体をのっとられてる髭賢者が急に真面目な顔となった。
神様は、勇者一人一人に「魔王を倒す方法」を託宣として伝えている。託宣通りに戦わないと、魔王は倒せないのだそうだ。
私の託宣は……
《汝の想いが世界を変えよう。十人の剣と運命を共にし、甘き欲望の果てに、真実の愛を見つけるべし》
だそうで……
どういう意味? って聞いたら、髭オヤジは《意味は自分で考えなきゃ、ダ・メ・だぞぉ〜★》とか……その顔で、ぶりっ子ポーズとんなよ、キモイわぁぁぁ!
《君の五本の剣は、ここに居る五人だ〜 あとたったの五本集めれば、託宣は叶ったも同然! グレン君には〜 もぉ〜伝えてあるけどぉ〜 七十四代目勇者がぁ、十人の剣の誰かに近づくと、グレン君の頭の中にぃ〜 ぱんぱかぱ〜んってファンファーレが鳴るんだ。ね? 残りの仲間さがすのも、かんたんそ〜でしょ?……どんぐらいの距離かって? う〜ん……ま、キッスができそうな距離まで近づけばぜったいだね》
いける、いける〜。かんたん、かんたん。と、ニパニパ笑って踊り狂う髭のおっさん……。
《その他しょーさいは、グレン君に聞いてね★ んじゃ、まったね〜》
明るく手を振っていた髭のおっさん。
そのうち、その動きがパタッと止まり……おっさんは真っ赤になった。
決まり悪げに苦笑したものの、注目を浴びているのが辛いのか、うつむき加減。
そこへ、清らかな僧侶が「神様の器となれるとは……さすがです、賢者さま。神々しかったです」な〜んて絶賛したものだから、髭賢者は顔を隠してしゃがみこんでしまった。
* * * * * *
○月×日
日記が息抜きタイムになってきた……。
『勇者の書』を書くって宣言すれば、ヨハンも部屋から出て行ってくれる。
いや、もちろん……わかってるのよ、善意からのことだって。私が神の御心に近づく=正しい勇者になる事だと心から信じて、ヨハンは聖書のお話をしてくれるのよね、毎日毎日毎日……。宗派を聞かれた時、無神論だなんて言わなきゃ良かった……。
※今日のお勉強
宮廷作法(講師マティアス)
サバイバル知識(講師ランディ)
神様のお話(講師ヨハン)
※プレイバックPart4。
私の託宣を、みんなで検討した。
マティアスは「十人の男を仲間とし、マスミがその内の誰かを本当に愛せば魔王を倒せるのではないでしょうか?」などと言った。
そんな、バカな。
愛の力で地●を救う的に、魔王って倒せるの?
そんなにザコいの?
マティアスが、魔王のスペックを教えてくれた。
歴代魔王は、全員、HPは一億。
防御力はむちゃくちゃ高く、魔法でも物理攻撃でもたいしてダメージは与えられない。
しかも、どいつも怪力無双で、睨むだけで人間を殺したり動物に変えたりな必殺技をもっていて……眼から怪光線、口から火炎放射、歩くだけで地震、雷……
そんなのと、私が戦うの????
ただのOLなのに????
パニクったら、マティアスも髭賢者も「絶対大丈夫。マスミは魔王を倒せる」って言い切った。
英雄世界の人間は、この世界ではすべからく英雄となる……らしい。
『高校生』が四、『大学生』が二、『サラリーマン』が二、『主婦』が一、『自宅警備員』が一。
私の世界からこっちに来て勇者となった人が既に十人もいるとか。
皆、戦闘技術がなかったのに、召喚によって『力に目覚め』、魔王を倒してきたみたい。
この世界に転移するとすっごい能力を得るらしい。それは定型化したお約束なのだそうだ。
もしも、それが本当だとしても……
こっちに来たとき酔っぱらってたから、自分のすっごい能力とやらに心当たりがないのだ。
もう目覚めてるの?
それとも、これから?
髭賢者は「ま、そのうちわかるだろう」と、ひたすらのんき。
仲間を探しも私の能力の調査も明日からでいいやと、へらへらと笑った。
賢者がそんなんでいいの?
魔王戦は九十三日後。
それまでに五人の仲間を探し出し、親睦を深め、真実の愛を探し(?)、謎のすっごい能力を使えば、魔王を倒せる……たぶん。
魔王さえ倒せればもとの世界へ還れるらしい。
頑張ってみよう。
向こうじゃ、私、どうなってるのかな……。失踪扱い? お父さんもお母さんも心配してるだろうな……何にせよ、無断欠勤百日じゃ、会社はクビだ。再就職キビシイだろうな……と、その夜はとことん暗くなった。
けれども、翌日!
私は素晴らしいことを知った!
魔王を倒すと、神様からご褒美をもらえるのだそうだ!
どんな願いでも、神様が叶えてくれるのだ!
邪悪なお願いは却下されるらしいけど、そんな事は願わないわ。
神様にお願いすれば!
いい会社に再就職可能? 上場一流企業でも?
いやいや、ショボすぎるわ……大金持ちにしてもらえば……いやいっそ、イケメン大金持ちのもとへ永久就職! これだわッ!
ハッ! まてよ、芸能界デビューって手も……
「かなう願いは一個だけだぞ」と、髭賢者が念を押す。
そのくせ、あんたは何を叶えてもらったの?って聞いても「内緒」と黙ってしまう……ケチ。
私が望むのなら、元の世界に還らずこちらに留まることも可能らしい。その場合、私が『賢者』を継ぎ、グレンは一般人になるそうで。
『賢者』の移動魔法と不老不死は魅力的ではある。
でも、こっちに定住なんてご免だわ。
早く家に帰りたい。
髭オヤジに「あっちに言い交わした男でも居るのか?」と聞かれる。……居ないわよ、カレシなんて。今はね……。