◆使徒聖戦/呪われた部屋の主Ⅳ◆ 後編
はっはっは! ほんのちょっと失敗してしまったようだ!
だが、しかし!
アネモーネ! お父さんはへこたれない! 頑張るぞ!
《貴様、これ以上、美しいこの私の邪魔をするというのなら……殺すぞ》
吸血鬼王様は、ご機嫌斜めだ。
私のレーザーやビームがほんの少し軌道がそれたのも、探査メカ『ピーピーんぐ トムくん』が吸血鬼王様に激突しかけたのも、不幸な事故だというのに。
『ピーピーんぐ トムくん』を真っ二つにしてしまわれるとは……。
殺人ならぬ殺メカだ……あぁぁ……『ピーピーんぐ トムくん』……。
もう少し寛容になっていただければ、有難いのだが。
そもそも。
吸血鬼王様は、戦闘開始時から不機嫌だった。
まず、アラン殿のせいだ。手放すなと言われていたのに、アラン殿は蝶ネクタイ・チョーカーをジョゼフ様に貸してしまったのだ。《私の寵愛をないがしろにするとはな……いい度胸だ》と吸血鬼王様は不満タラタラだった。吸血鬼王様は、アラン殿にとって後援者も同然だろうに。その機嫌を損ねるとは、いやはや、アラン殿もまだまだですな!
ジョゼフ様も悪い。召喚に魚の血を使われたのだ。呼びだされた吸血鬼王様は、血が溜まった桶(ジョゼフ様の精霊が運び込んだ)を怒りのあまり蹴り飛ばしていた。ご自分の血を使うのが嫌ならば、獣の血か、せめてニワトリを使えばいいでしょうに。その手の知識にうとい私でもそれぐらいは知っていますぞ、まったく非常識な……。ジョゼフ様には、今度、アネモーネから借りた『召喚しちゃうぞ☆ 私のカレは悪魔騎士☆彡』を又貸ししてさしあげようか?
私ばかりが悪いわけではない。が、やはり、ここは吸血鬼王様に発明品を献上しておくべきであろう!
筋肉が大好きだという噂……自宅エクササイズ器械『まっする ブースト君』あたりがオススメだな! 戦闘終了後に、お渡ししよう!
もしも受け取っていただければ、超ラッキー! ルネ工房に、『異世界魔族 御用達』の看板を掲げられる!
「邪魔だ。ルネ、下がれ!」
ジョゼフ様まで、にべもない。
先程、大量ミサイルをお見舞いしてしまったことを、根に持っていらっしゃるのか?……あれは転倒による事故だと、ご説明したのだが。
シャルル様は、昏睡中。
テオドール様は、恐慌で錯乱中。
である以上!
今!
ジョゼフ様だけなのだ!
『迷子くん』を含む! 私の発明品の素晴らしさをお伝えできる相手は!
何としても! ジョゼフ様の目の前で、優秀さをアピールして! スポンサー料をアップしていただかねば!
ジョゼフ様! しかとその目でご覧になって、おばあ様のオランジュ伯にお伝えください! ルネは『買い!』だと!
あ〜 もちろん! 戦うのは、アレッサンドロさんの為でもありますぞ! このルネ! 恩義ある方を守る、義に厚い男ですからな!
賢者様、お覚悟を! 魔王戦で私の発明品が大活躍、ルネ工房が注目を浴び大喝采、大繁盛! の、輝かしい未来の為にも! ここから先へは通しませんぞ!
とはいえ。
『迷子くん』による空中高機動――かっとびのロケットバーニアは、アピール済み。
派手な弾幕も、披露済み。
力押し戦法が通じない以上、攻撃方法を変えねば。
弾薬がもったいないからではありませんぞ、ジョゼフ様! 敵によって攻撃方法を変える! 自由度の高い行動、豊富な攻撃パターンが、私の発明の売りなのです!
さて……『ピーピーんぐ トムくん』から送られて来た情報を分析、分析……
ふむ、ふむ。
賢者様の周囲に、不可視シールド。
賢者様を中心とした約半径三メートルが効果範囲。
魔力反応あり。
シールドは、ジョゼフ様の炎の拳で揺らぎはしたものの、攻撃を吸収し、エネルギーを減衰化、更には無力化した。
耐炎、耐物理に、非常に秀でた結界のようだ。
反射はほぼ無し。入射エネルギーを吸収し、自己エネルギーに変換しているのか?
テオドール様を錯乱させた精神波攻撃もあのシールドが発している。少なくとも、音波攻撃ではない。可聴域はむろん、あらゆる周波数に特殊音波の反応は無い。
湿度上昇、激しい気流あり、粉塵過多、悪臭発生中……
むぅぅ……
どんな原理のシールドか、さっぱりわからんな!
だが、しかし! 解析はまたの機会にすればいいこと!
今は! 賢者様の足さえ止められれば、イッツオッケェ!
吸血鬼王様の音波攻撃を浴びた瞬間、あのシールドの一部に亀裂が入ったのだ。
ならば!
同じ音をあてれば、効果があるはず!
「『えんやこらや君』! 秘密兵器を起動、音声をダウンロード、ループ再生をセッティング後、攻撃目標に向け発進!」
「ラジャー。ひみつへいき 五タイ きどうシマス。はっしんマデ 三十ビョウ オマチ クダサイ」
そばにいた荷物持ちロボが立ち止り、私の命令を実行し始める。
よしよしよし! いいぞいいぞいいぞ〜『えんやこらや君』! 『待ち歌』も完璧! 首を傾げながら『ららら らららららら らん らん らん♪』と歌う姿は、実にラブリーだよ! お待たせする間も、利用者を楽しい気持ちにさせる……それでこそ私の発明品だ!
吸血鬼王様の音波パターンは、記録済みなのだ!
据え置き型音響機器だった『ばっく みゅーじっく君』。
『ばっく みゅーじっく君 PART2』は、音楽を聴きたい人のもとへ自ら転がって行く機械に進化。
そしてそして! 『ばっく みゅーじっく君 PART3』は、数々の改良点を踏まえた上で完成させた私の自信作!
「ひみつへいき はっしんシマス」
「行っけぇぇ! 『ばっく みゅーじっく君 PART3』軍団よ!」
『えんやこらや君』から、飛びたって行く『ばっく みゅーじっく君 PART3』たち!
まるで、平和を運ぶハトのようだ!
車輪の足では不可能だったことも、キミたちならばできる!
その翼で、階段も悪所もなんのその!
陥没穴の上の賢者様に迫るのだッ!
「目標のそばを巡回! 全機スピーカーの角度を調整し、再生音を目標の同一箇所に向け発射! ループ音を再生し続けるのだ!」
* * * * * *
すげぇな……
ルネの発明品が活躍している……
まあ、中には役に立つ物もあった。『どこでもトイレ』『お顔ふき君』『ドライなシャンプー君』『自動ネジまき 時計くん』なんかは、ジャンヌも愛用している。
しかし、ほとんどが意味不明。歩き回る本棚だ、自動カブ抜き機械だ、調理器具でしかない魔術師ごっこセットだ……
日常使いしているロボットアーマー『迷子くん』からして、不格好だわ、稼働音がやかましいわ、左手が傘変形するわ、薬箱やレンジもついているわで、わけわからんのだが……
それが……
ルネの発明品が、硬直した状況を打ち破るキーとなるとは!
《ふん》
吸血鬼王は、明らかに不快そうだ。
《音だけ真似たところで、私の力は再現できぬ。あれは、魔力付与が無い、ただの『音』だ。美しさの欠片もない……》
それはその通りだろう。
けれども。
発明品が音の集中砲火を浴びせている箇所は、吸血鬼王の超音波攻撃が非常に通りやすい。
共鳴現象とでも言うのか?
吸血鬼王の『魔法を無効化する音響』は、ルネさんの発明品によって何倍も効果を高められている。
発明品と吸血鬼王の音が重なった場所は、明らかに結界の修復速度が遅い。
破壊するそばから再生してゆく賢者の結界に、数秒の間、穴を開けられるようになったのだ。
ピンチになったというのに、賢者は淡々としている。その顔には、何の感情も浮かんでいない。
「ルネと吸血鬼王の協力技か……面白いものをみせてくれる」
《ふざけるな! 人間が勝手に、私を真似ているだけだ! 誇り高き私は、誰の力も借りん!》
吸血鬼王の方は、完全に頭に血をのぼらせている。
まあ、最初から機嫌悪かったしな。俺が、魚の血で誇り高き魔族を召喚してしまったから……。
蝶ネクタイを血で染めろとしか言われてなかったんで、その……何の血でもいいのかと勘違いして、魚の血が溜まった桶に蝶ネクタイを浸して、染め物の要領で……。悪かった、すまん。
《気に食わぬ……何もかも気に食わぬわ!》
銀狼に変化し、吸血鬼王が結界の穴へとすっ飛んで行く。
俺は光速の動きで、別の場所へと走った。
結界のほころびから侵入したとて、賢者に触れることは難しい。
無詠唱&発動までゼロ秒の移動魔法で、パッパッと現在地を変えてしまうからだ。
出現位置を予想し、結界の亀裂はこのあたりかと勘で先読み攻撃をいれておく。
かすることはあるんだが、命中しない。
賢者の動きが早すぎる……。
と、思った瞬間。
賢者の動きが一変する。
後ろに数歩下がって俺の拳を避け、身をひねって俺の蹴りをよけたのだ。
俺の動きについてこれるのは驚きだが。マルタンと対戦した時と同じ、とらえどころのなさを感じる。
たぶん、アレだ。目や体術だけでかわしているんじゃない。神がかった僧侶は千の矢が降り注ぐ戦場すら無傷で歩くとかいう、神の加護……それで見切っているんだな。加護しているのは、ブラック女神だろうが。
だが、変だ。
何故、移動魔法を使わない?
避けながら、賢者がポツリとつぶやく。
「『性質変換の法』……テオドールの技法か」
お?
あの学者が、古代技法を使ったのか!
それで、今、こいつ、移動魔法が使えないんだな!
《神の手に囚われたか、賢者!》
吸血鬼王の高笑いが響く。本人は近づいて来ない。次々と変化し、居場所を変えている。俺の目には見えないが、攻撃されているのだろう。人間には手出しできない賢者も、魔族は別。いくらでも攻撃できるらしい。
『性質変換の法』にどんな効果があるのかは知らん。
が、技法の効果はいずれ消える。
『絶対防御の法』は、五分しかもたない。
『先制攻撃の法』は、味方全員が攻撃したら無効となる。
そのうち、この技法の効果も消えるだろう。
だから……
賢者が移動魔法を使えないうちに、一気に勝負を決める!
俺はずっと、こいつをぶん殴りたかったんだ。
幼いジャンヌを賢者の館に連れ去り、
両親の死すら伝えることを拒んだ冷血漢。
俺をオランジュ家に縛りつけたのも、こいつだ。
おふくろの遺言だったのかもしれんが、大きなお世話だったぞ。おまえのせいで、捨てられぬものができてしまった。ただの格闘家として生きる道は、もはや……。
今では、おまえのことを少し知っている。二才から勇者見習いにされたおまえにも、確かに同情すべき点はある。
しかし、それでも……
俺は、おまえを許さない!
おまえは、ジャンヌを泣かせた!
おまえを信頼していた純真なジャンヌを、裏切り、傷つけたのだ!
万死に値する!
手加減無しだ!
全力でいく!
どうせ死んでも、おまえは生き返る。不死の賢者だからな。
怒りを全て、拳にぶつけるぞ!
「行くぞ、ピナさん! バリバリ!」
炎と光。
その攻撃力と素早さ、邪悪を滅ぼす力。
全てを拳にこめて、叩き込む。
これが、俺の……俺達の生み出した必殺技!
「くまくまファイヤぁぁぁぁ!」
拳を、賢者の腹にめりこませた。
そして……
炎を解放する。
結界の内側が、猛き炎に包まれる。
逃げ場などない。
燃え尽きないのは、俺だけだ。
ピナさんに護られる俺だけが、炎と共に激しく輝き、
俺の生み出した劫火が全てを包み込んでゆく。
ほんの微かに眉をひそめる男も炎に飲まれ……
黒い灰だけが残った。
肉体再生は、始まらない。
灰は、灰のままだ。
「……気は済んだか?」
背後からの声。
「積年の恨みを晴らせて、溜飲が下がったか?」
振り返れば、そこには……
白銀の髪、黒のローブの、無表情の男が……。
発明家が、すっとんきょうな声をあげる。
「やややや! 賢者様??? さっき燃え尽きたはず! これは、まだどういうことで???」
「そういうことか……」
俺は手に残っていた、灰をはたき落とした。
「俺が燃やしたのは、あんたじゃなく……魔力で生み出された依り代――器だったんだな」
「私は私だ」
抑揚のない声が、返る。
「私は、暗黒の女神と混ざりしもの。現世に関わる器になど、何の意味もない。魂は同一。一つゆえ……」
くそ。
不老不死のくせに。
乗り捨てできる、器に憑依して来てやがったのか。
せこいぞ!
溶岩に落とされた体も、つくりものだったのか? だから、ノーダメで瞬時に復活したんだな?
賢者は、再生速度が遅い。その点に注目し、怪我を負わせ(死亡させ)て体の再生に時間を費やさせようとテオドールは考えていたが……殺しても、別の体を起動するだけ、時間稼ぎはできないようだ。
「予備の体を幾つ持ってるんだ?」
賢者が口角を少しあげる。まるで微笑むかのように。
「無限……であろうな。ブラック女神の魔力に果てなど無い」
何ぃ?
「あらあらあら、まあまあまあ。でしたら、とどめをさしてはいけませんわね」
ん?
「ブラック女神は、常に一つの器にしか宿れないのですもの。その体が賢者様ご本人であれ器であれ、関係ありませんわ。半殺しにして、その場に縫い付けておけばよろしいのよ。それで、時間は稼げますわ、ジョゼフ様」
シャルロット様……?
この声は、シャルロット様!
オランジュ邸から、こちらに来たのか?
「うふふ。私としたことが……つい、うっかり、半殺しだなんて、はしたない言葉使いを……。でも、私、少々……いえ、かなり冷静さを失っておりますの。許してくださいまし」
声は近い。まるで耳元で囁かれているかのようだ。
しかし、姿が見えない。
賢者を睨みながら、目の端で周囲を見渡した。瘴気に包まれた黒い庭と、賢者、ルネと発明品、それに吸血鬼王ぐらいしか目には映らない……
「側には居りませんわ。心に話しかけておりますの。私が差し上げた白いリボンをお持ちですわよね? あれを媒介にして、思念を伝えておりますのよ」
あ……
持ってはいます……その、ポケットに入れて……。
「いま使っているのは、応用心話の更に応用。応用心話は、対象の表層意識を読んで相手の脳に思念を送って疑似会話を成り立たせる技術ですの。魔術師学校でも教えておりますのよ。『言語が通じない相手』と会話する手立てとして。私は、それを少しアレンジして使っておりますの。口にしない言葉を、特定の相手にだけ伝えたりできますのよ」
ほう。
「あらあらあら、感想はそれだけですの?」
ん?
魔力の無い人間とも、心で会話できるようになるのだろう? 便利な能力だと、思う。心話に不慣れな人間ならば戸惑うだろうが、俺は精霊と心の中での内緒話を経験済みだ。大丈夫だ、対応できる。
「まあまあまあ」
クスクスと明るい笑い声が聞こえる。
「ほ〜んと、ジョゼフ様との会話はいつも楽しい。浮き浮きしていまいますわ」
は?
「でも、今は……楽しみは後に回します。虫の息のお兄様に代わって、私が戦います。ボワエルデュー侯爵家の誇りにかけて、賢者を止めたいのです。ジョゼフ様、お願いですわ、力を貸してくださいまし」
リボンを左手に巻きつけてくれと頼まれたから、その通りにした。
「賢者の懐に飛び込んでくださいませ」
わかった。
「少しの間だけ、左手を私に貸してください。精霊の力を、左手には宿らせないでくださいまし」
わかった。
一つだけ、疑問なんだが。
「なんですの?」
本当に、『ブラック女神は、一つの器にしか宿れない』のか?
「そのようですわよ。使徒様が、そうおっしゃいましたもの。ブラック女神は、器との一対一を好むと」
ふむ……
「……いえ、間違えましたわ、使徒様ではないわ。あの時、使徒様ははっきりとはおっしゃらなかったもの。『ブラック女神は、器と混ざる。女神の願いが器の願いとなり、器の願いが女神の願いとなる。それ故、常に一体しか器を持てぬのだ』そう言ったのは、賢者シメオンでしたわね。自分が器だと自覚する前の」
しかし……
英雄世界では、二人が同時に動いていたぞ。
「え?」
ジャンヌが対峙したブラック女神の器、ジャンヌの救出に動いた賢者本人。同じ時に、違う場所に、二人は存在していた。
「それは……確かにそうですわね……混ざり合う前だからできたのかしら?」
賢者が同時に二体とか、勘弁してほしいんだが。
「今は二体は動かせないのではありません? 可能なら、石化中に別の肉体を稼働したはずですわ」
まあ、そうか。
「……そう言えば、あの時、『伝えられぬ事は語らない』と言って賢者は途中で口を閉ざしたのでしたわ。もしかしたら、私達の理解が間違っているのかもしれませんわね。けれども……」
そこで、はっきりとシャルロット様は言った。
「目の前の敵を封じることに、集中いたしましょう。私を賢者のもとへ、連れて行ってくださいませ」
賢者の周りをルネの発明品が取り囲み、吸血鬼王の超音波が奴の結界を揺るがせている。
確かに、頃合いだ。
光精霊の力で高速移動し、賢者の結界の中に飛び込む。
その瞬間。
左手に巻きつけたリボンがまばゆい輝きを放ち……
俺の左手から、冷気が広がった。
「……私の魔力が、願わくばつれなき棘となりて、対手を絡めとらんことを。氷結の茨」
左手から噴き出した白い霧が、賢者を捕らえる。
瞬く間に賢者は凍りつき……
石像ではなく、氷像のようになった。
《ふん……氷魔法による封印か》
俺のすぐ近くに、銀狼姿の吸血鬼王が降り立つ。
《人間にしては、純度の高い魔力を操れるようだが……力不足だ。氷結地獄とまでは言わぬが、せめてこの十倍の威力がなくば使い物にならぬ。こんな封印では、じきに解けよう。もって数分だ》
「存じておりますわ、私の魔力では賢者をさほど引き留めておけないことは」
俺の内に、シャルロット様の声が響く。
その声は、上品かつ柔らかなのだが……
「でも、吸血鬼王様とルネさんの発明品、テオ兄さまの『性質変換の法』、それからジョゼフ様……みなさまのお力添えがあれば、賢者に足止め魔法を叩き込めます。使徒様がお戻りになるまでの間、お兄様が編み出した氷魔法で、その男を何度でも何度でも何度でも凍らせてやりますわ」
何故だろう、ゾッと背筋が寒くなった……。




