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きゅんきゅんハニー  作者: 松宮星
堕ちた勇者
151/236

森での邂逅

 サイオンジ先輩に還ってもらってすぐのことだった。


 部屋に、懐かしい顔が飛び込んできたのは。


 アラン!

 クロード!


 迎えに来てくれたんだ!

 こんな魔界にまで!


 胸がじ〜んと熱くなった。

 駆け出し、その名を呼びたい!

 その衝動にかられた時、すぅぅっと現実が遠のいた。


 真実の鏡に触ったままだった……そうと気づいた時には……




 あの日に戻っていた。


 ちっちゃなアタシを抱きしめて、クロードは泣き続け……

 その声は次第に小さくなり、アタシを抱きしめたままクロードは眠るように意識を失った。

 頑張りすぎて、心も体も疲れ果てたんだ。


 なのに、この時、アタシは……


 クロードに怯えていた。

 いつもとはぜんぜん違う顔で、雷魔法を放ち続けたクロードが、ただただ怖かったのだ。


 動かなくなったクロードに抱きしめられたまま、ちっちゃなアタシは震えていた。



 そこへ、いきなり声が降ってくる。

『おい』

 四つのアタシは、びくっと身をすくませた。

『ここで何があった? さっきの雷はなんじゃ? 魔法であろう? こわっぱ、知ってることは、すべて話せ』


 小さなアタシは、更に体を震わせた。

 ローブのようなシルエット。うっすらと見える、しわだらけの顔。エルマンを思い出させる人物が迫ってきたのだ、歯をがちがちといわせ、ひたすら棒のように固まった。


 老人はしゃがみ、アタシの前に顔を近づけると、

『喝!』と、怒鳴った。


 でっかい声にぎょっとして、小さなアタシは老人をまともに見つめる。

 着ているのは、枯れ草色のフード付きハーフマント。髭がなく、目が細く、鼻が低い、のっぺりとした顔。似てるのは、皺があるのと、大柄ではないことだけ。日焼けしたその人は、好々爺然としたエルマンにはまったく似ていなかった。


師匠(せんせい)、今のは?』

 老人の背後から、声がかかる。大きな籠を背負った、赤毛の若者が居た。農夫みたいな服を着てるけど、腰に剣帯を巻いて、立派な長剣をさげている。

『東方剣法の気合い術じゃ』

 無駄口たたかず見張りをしていろと、老人が若者を追い払う。


『こわっぱ。何があった?』

 老人の問いに、小さなアタシは『わからない』とかぶりを振った。

『ここにおったのは、おまえらだけか?』


『お、』

 喉をつまらせながら、アタシがどうにか言葉をつづけた。

『おじ、い、さん』


『おまえらの祖父か?』

 かぶりを振った。

『あかい、ローブの……』

 思い出す限りのことをつけくわた。

『エルマン……ゆうしゃさま、なかま……せんせい』


『エルマン?』

 老人の細い目が、更に細くなる。

『枢機卿のエルマンか?』


『知らない』と、アタシはかぶりを振った。

『ゆうしゃさまの、おはなし、してくれるって、いったのに……』

 チビのアタシの目から、じわ〜っと涙があふれる。


 泣き出しかけたチビッ子は、

『喝!』と叱声をかけられ、身をすくませた。泣くことも忘れ、硬直する。


『封印塚は、エルマンが壊したのだな? 雷の魔法を使ったのか?』

 なにを聞かれているのか、四つのアタシにはわからない。

 思い出せることを、口にするだけだ。

『おじさんのしたから、なんかでた……』


 のっぺり顔の老人は、そうかと頷いた。

『枢機卿があの塚を浄化しおったのか。長年放っておいたものを今更……。ほんに、迷惑な』

 老人が、やれやれと頭を揺らす。

『で? おまえたちは、なぜここにおる?』


『まねかれたの』


『ほう? エルマンにか?』

 ちっちゃなアタシが頷く。

『何故?』

 チビっ子はしばらく首を傾げ、それから『わかんない』とかぶりを振った、


『この辺の村のものではないな? 都の子か?』

 チビは、きょとんとしてる。

『何処から来た?』


『おうちから』

 裏庭で遊んでいたらここに来ちゃったんだって、幼児のアタシが説明する。

 けど、要領を得ないしゃべり方だし、声も舌ったらずで聞き取りづらい。

 聞くのが面倒になったのか、老人は『もういい』と一方的に話を打ち切った。


『アラン』

 呼ばれて若者がやって来る。

 背は高い。けれども、青年と言うには幼さが抜けきっていないというか……顔の輪郭ができあがっていないというか、頬の辺りの肉付きがよくって、目も大きい。

 小麦色に日焼けした健康そうな肌、緑の瞳、短い赤い髪。

 凛々しい顔立ち……


 アランの少年時代?


『わしゃ行くが、おまえはどうする?』

『え? この子達を家まで送ってあげないんですか?』

『阿呆』

 老人は顔をしかめた。

『こんな小奇麗なガキどもを連れ歩けるか。人さらいと間違われ、しょっぴかれちまうわい』

『しかし』

『そもそも、わしらはここには居ないはず(・・・・・・・・・)の人間じゃ。王領で迷子を拾えるはずなぞない。見て見ぬ振りをして、通り過ぎるべきであった』


 若いアランが、むっと眉をしかめる。


『ですが、この死霊の森には、たちの悪いモンスターや野獣が多い。この子達だけでは、すぐに餌食になってしまいます。戦場では非情であれ、それ以外の場では情をもって他者との絆を深めるべし。それが、長生きの秘訣ではありませんでしたか?』


『なら、情をもっておまえは残れ』

 老人は立ち上がり、顎でアタシをしゃくった。

『守りたくば、守れ。じゃが、森番が来るまでにしとけよ。ここは王領じゃ。野草であろうが、採りゃあ窃盗罪よ。半人前の小僧とて鞭打ち刑をくらう』

『森番……すぐに来るでしょうか?』

『来るじゃろ』

 老人が、焦げた木々を見上げた。

『雷鳴が聞こえず、森から上がる煙も見えぬほどには、たるんではおるまい』

 のっぺり顔の老人が、アランへと手を伸ばし、寄越せと指で合図を送る。

 背負い籠をおろし、アランは老人の前に置いた。


 ちっちゃなアタシやクロードが居る辺りを、老人が残念そうに眺める。

『エンリュウ草のいい群生地じゃったのにのう』

 その口から漏れたのは、特大のため息だ。

『あの塚から漏れる瘴気に育まれておったのに……聖教会め、余計なことを』

 ブツクサ文句を言いながら籠を背負い、老人は森へと消えて行った。



 残ったアランが、アタシたちに笑みをみせ、手を差し延べてくる。

『おじょうちゃん、立てるかな? 少しだけ移動しよう』

 木々が倒れ、焦げた木が未だにくすぶっており……ここだけが森の中からぽっかりと浮かび上がっている。

『ここは危ない。何かが封じられていた跡地には、よからぬものが来やすいんだ』


 手を差し延べる若者を、アタシはキッと睨みつける。

『いじめない?』

 気を失っているクロードを、チビのアタシはひっしと抱きしめている。

『いじめたら、ゆるさないんだから』


 たとえるのなら、毛を逆立てた小猫。

 のっぺり顔の老人に叱声を浴びせられ、恐慌(パニック)は去ったようだ。

 チビは怖いもの知らずなお子様に戻って、弱いくせに威嚇している。


 アランが、柔らかく微笑む。

『その子は、キミのおにいちゃんかな?』

『こぶんよ!』

 ジョゼ兄さまの言葉を真似て、アタシは叫ぶ。

『こぶんのめんどーは、おやぶんがみるの! にーさまがいってたもん! クロードは、アタシがまもるわ!』

 クロードに怯えて泣いたことも、すっかり忘れたようだ。鼻息荒く、チビッ子が叫ぶ。

『なかせたら、ばいがえしよ!』


『いじめない、約束する』

 ますます嬉しそうに、アランが口元をほころばせる。

『おじょうちゃん、お名前は?』

『ジャンヌよ』

『子分の子は?』

『クロードよ』


『キミの大事なクロード君を、少し運ばせてくれるかな?』

 そう言って、アランは倒木の先を指さした。

『あそこまでだ』

 嘘をつかれたと思ったら、反撃するといい。向こう脛を蹴られると大人でも泣くぞだの、勢いよく足の甲を踏みつけるのも効果的だの、護身術を教えてくれる。


 クロードを抱えたアランが、もう一方の手でチビッ子のアタシまでひょいと抱える。

 四歳児と五歳児を軽々と!

 力持ち〜

 まだ成人前なのに。十五にもなってないわよねえ、たぶん。


 アタシたちを抱きかかえたアランがニコニコ笑いながら、今なら顔面へ頭突きをくらわせてやるのがいいだの、鼻を狙えだの、物騒な護身術講義を続ける。

『放り出された時は、頭を打たないようにアゴを引くといい。落ちる時、下手に手をつくと骨折するぞ。体全体で地面にぶつかって、衝撃を分散する方がいい。怪我をしない』

 優しそうな声を聞き、逞しい腕に抱かれているうちに、アタシの目がとろんとし始める。

 大泣きした後だわ、殺されかけて治癒魔法を使われた後だわで、体の方が限界にきてるんだろう。


『寝てていいよ。森番が来るまで、キミたちは俺が守る』

 でも、とグズつくアタシに、風が吹くように爽やかにアランは微笑んだ。

『俺は男だ。女子供は守る』


 重たげだったチビッ子の目が閉じられる。


 チビ二人を森の木にもたれかからせ、アランは顔をあげた。

 さっきまでの笑顔とはぜんぜん違う、鋭い顔つきで。

 周囲を見渡す目は、鷹のよう。


 そこに居るのは、若き戦士だった。




 すぅぅっと、過去の映像が消える。


「え?」

 赤毛の裸戦士は、茫然と辺りを見渡した。

「今のはなんです? 幻影ですか?」

 美形エルフと一緒のアタシを、同じ紫雲に乗っているクロードを見比べ、裸戦士が戸惑う。

 クロードも目をぱちくりさせてる。


魔法道具(マジック・アイテム)で、過去見をしたのよ」

 アタシは、紫雲(せいれい)の上の幼馴染に視線を向けた。クロードの姿が目に入って、それで……罪悪感もあって、あの日のことを思ってしまったのね。

「あの日、なにがあったかだいたいわかったわ」

 それから、アランへと目を向ける。

「アランにも会っていたのね」

 しかも、命の恩人だったとは!

「今さらだけど……あの時は、助けてくれてありがとう」

 完全に忘却の彼方だったわ。

 四つだったとはいえ、申し訳ない。

 まあ、あの時のアランが、今の裸戦士だったら、幼心に強烈なトラウマとして残ったかもだけど。


「あ、いえ……」

 ふぬけてる場合じゃないと思ったのか、頭を振って、裸戦士がしゃきっとする。

「俺も、あなた方をあの時の子たちと結びつけていなかった。おあいこです」

 そして、微笑んだ。過去の記憶の中の少年のように、年少者をいたわる優しい顔で。

「ご無事で何よりです、勇者様」


「ジャンヌぅぅぅ!」

 幼馴染が、ダッシュで飛びついてくる。

 すかさず、さっと避けてスペースをつくってくれるダーモット。優しいな……。


「よかった、ぶじで……ジャンヌぅぅぅ……」

 クロードがぎゅ〜〜っ! と、アタシを抱きしめる。


「ごめんね、ボク、またジャンヌを助けられなかった……魔界堕ちだなんて、ジャンヌに、こわい思いさせちゃって……」

 幼馴染が泣く。

 このまえ見た、幼い日のクロードのように。

 体を大きく震わせて、顔を真っ赤にして、激しく……


「今度は、ちゃんと守るよ。だから、もう……ぜったい何処にも行かないでね、ジャンヌ……」

 けれども、その口元は……

 あの時と違って、嬉しそうに痙攣しているのだ。


「ジャンヌ……ジャンヌ……ジャンヌ……」

 胸がいっぱいで、もうこれしか言えない……

 そんな感じに、幼馴染がアタシの名前を呼び続ける。大粒の涙を流して……。


 胸がきゅんきゅんした……


「ごめんね、クロード。心配かけて、本当にごめんなさい」

 十二年前のことも……ごめんなさい。いつか、きちんと謝るわ。

「バカすぎて敵の罠にはまるなんて、みっともないものね。もう二度と、アンタを泣かさないようにする」


「ふぇぇん、ジャンヌぅぅぅ」

 よけい派手に、クロードは泣いてしまった。

「がっげぇぇ、うべ、ぐべ、ジャンヌ、うぶ、ずび」

 あ〜あ。

 泣くか、しゃべるか、鼻すするか、どれか一つにしなさいよ。

 よしよしと、頭を撫でてやった。


 部屋の入り口へと顔を向けた。

 丸テーブルの上にベティさんが居るだけだ。

 そこに居るはずの仲間の姿が見当たらない。


「お師匠様は? あと、マルタンも迎えに来るって言ってたけど……」

 ぶへっと、クロードが変な声をあげる。

「一緒じゃないの?」


 えっぐえっぐ泣きながら、クロードが言う。

「びぶば、ぼぼらがなびでね。うっく。ざらばれ、ひっく、ぢゃっばんば」


 なに言ってるかわかんねーよ。


「実は、勇者様」

 アランも紫雲から降り、進み出て来る。

「共に魔界に来た、賢者様、使徒様、アレッサンドロ殿は、数時間前、魔界の王にさらわれました。相手の思惑は不明です。しかし、すぐに迎えに行くべきかと俺は思います。魔族は光のものを穢すのを好みますから……」




 魔界の王は……


 全魔族の王ではない。魔界と呼ばれる世界のみの王だ。


 けれども、魔王級の魔界貴族をいっぱい従えて、魔界の頂点に君臨しているわけで……

 とほうもなく強大な存在だ。


 そんな奴が、何だってお師匠様たちを……




 唖然とするアタシの横で、

《説明を求める。どのような形でさらわれたのだ?》

 美形エルフが、裸戦士に質問をしていた。


 アランは警戒も露わだ。武器を手放さないまま、探るようにダーモットを見つめる。

「あなたは、誰です? この気……。魔族ですよね?」


《さよう。なれど、今は勇者ジャンヌの仲間の一人。汝らの敵ではない。屍王ダーモット。不死者の王なり》


「えべ? だーぼっどざん?」

 涙と鼻水まみれの幼馴染が、しょぼしょぼした目でエルフを見つめる。

「あべぇぇっ――? ぼぼまぼぶ、ほんぼだ、だーぼっどざんだぁ。どぼぢで?」


《魔力にて、我を見定めてくれたか。久方ぶりだな、我が弟子クロードよ。我は幻想世界の魔王にして、魔界貴族。死神王サリーとは懇意ゆえ、ここに居る》 

「えるぶび、ばっべまぶぼ?」

《真実の鏡に近づきしものは、変化をしていれば変化前の姿に、転生を経て別種族となっておれば前世の姿となる。汝の目に映っておるのは、生前の我が姿なり》

 すごいわ、ダーモット。クロード語、わかるんだ……。



 クロードたちの方で何があったのかを聞いた。


 天界から消えたアタシ。

 天界に説明を求めるも、『本人の行動のせい』の一点張り。情報が得られず、お師匠様たちは帰還。

 ドロ様が行方を占い、マルタンはアタシが魔界に堕ちたのだと断言する。

 テオの技法で、『勇者の書 24――フランシス』に記されている天界行の魔法陣を逆にして魔界へ。

 来たのは、クロードとアラン、あとはお師匠様とマルタンとドロ様。

 神の使徒マルタンが輝かしすぎる為、魔物が嫌ってほど群がってきて……

 吸血鬼王ノーラに、マルタンは聖痕を与え、下僕とした。

 ノーラの助力を得ての旅の途中、魔界の王の側近ラモーナが現れ、お師匠様たち三人をさらって移動魔法で姿を消した……ということらしい。



「ノーラしゃん、ボクらといっしょに来てくれるっで」

 クロード語がだいぶ聞き取りやすくなった。鼻をまだグズグズさせてるけど。

「黒マントで、強いんだよ。変身もして、すっげぇかっけぇんだ。良かっだね、ジャンヌ」

 う〜ん……あんた、誰にでもすぐに尻尾ふるからなあ。


《吸血鬼王ノーラが救出に協力する?》

 黒髪三つ編みエルフは、()せんって顔だ。

《あれは、闘争本能と破壊衝動が具現したかのような魔。人間は餌と捉えている。何百人虐殺されようが、歯牙にもかけまいに》


「吸血鬼王ノーラは、使徒様に執着しています」と、アラン。

「いずれ屠る獲物として、ですが。他のものに使徒様を殺されるのは我慢がならない、それが魔界の王であっても……。そう言ってました」


《なるほど。神の使徒とやらが存命の間は、敵に回らぬということか》


 美形エルフが、アタシを()っと見つめる。

《魔界の王は、存在自体が我よりも高位。王に比肩するは、天界神ぐらいであろう》

 げ。

《我ごときでは、さほどの力にはなれぬ。しかし、共に行っても良いであろうか?》

「魔界の王のもとへ? いっしょに行ってくれるの?」

《勇者である汝が許してくれるのであれば》

 ダーモットが淡く微笑む。

 何といえばいいのだろう……厳しい冬の日の合間にごく稀に差す、春のように穏やかで暖かい日差しというか……美しい水面に揺れるさざ波というか……静かで、やさしい笑みだった。


 胸がキュンキュンした……




《えへへ。ノーラちゃんてば、おこっても、かわいいね。あたしのお人形になんない?》

《ふざけるな、殺すぞ。これは、貸しだ。筋肉(マッチョ)五十体か、貴様の分身を千体よこせ。切り刻まねば、胸がすかぬわ》

《え〜 いくら、あたしでも千はむり〜 百にまけてよ》

《チッ。王のもとまで、私について来い。従うのなら、譲歩してやる》

《いくいく〜 マッハくん、とりかえしにいくんでしょ? あたしも、ひさしぶりにマッハくんにあいたいし〜》

 廊下から、サリーと誰かの声がする。


 そちらに目を向けたアタシは……


 真っ白にかたまってしまった。


《おやおや。ノーラ、今頃おでましかい? 言っとくけど、今度の勇者も、あたしのもんさ。それ以上、あたしのかわいい子に近づくと、後悔するよ》

 廊下の丸テーブルにのっかって、ベティさんは胸をそらせている。

 それに対し、

《邪魔だ、腐肉。どけ》

 現れたヤツは、右手を振るだけで丸テーブルを両断し、ベティさんを宙へ舞い上がらせた。


《その女が勇者だな?》

 長い黒髪と黒マントが靡かせ、魔族が現れる。

《私は、魔界の王のもとへ行く。この私について来い》

 そう言い放ったものは、あまりにもあんまりな姿をしていて……

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