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きゅんきゅんハニー  作者: 松宮星
堕ちた勇者
144/236

不死なるもの――屍王

 胸がキュンキュンした……



 心の中でリンゴ〜ンと鐘が鳴る。

 欠けていたものが、ほんの少し埋まっていく、あの感覚がした。


《あと四十〜 おっけぇ?》


 と、内側から神様の声がした。



 黒のローブをまとったその人は、とても美しかった。

 深い憂いを帯びたような緑の瞳。思慮深そうな眉。高い鼻。毅然とした口元。

 冷ややかな、玲瓏たる美貌というか。

 肌は透けるように白く、それでいてフードからこぼれる前髪は黒くて……

 何もかもが美し過ぎる。

 顔立ちが整い過ぎていて、恐い。

 なのに目が離せない……甘く切ない感情に、アタシの胸はかき乱された。


《えへへ。ダーちゃん、美人さんでしょ?》

 そう言ってローブの男性の横に並び立ったその人……いや、天使も光り輝くばかりに美しい。

 空色の髪も、笑みを浮かべる慈母のような顔も、六枚の翼も、すらりとした華奢な体も、高貴で華やかで……目が吸い寄せられてしまう。

 右眼を隠すハート型の眼帯も、ツンとした形のいい胸も目に入っているのに、ときめきが止まらない。天使なら両性具有、胸があってもいいわよね、なんてみとれてしまってる。


 超絶美形が、二人並んで立ってる!


 それだけでも、ドキドキバクバクものなのに。

《えい》と、ばかりに、天使が黒髪さんのフードを外した時、アタシは黄色い悲鳴をあげてしまった。


 だって、だって、だって!


 耳が長くて、先っぽが尖がってるのよぉぉ!


 エルフよ!

 エルフだわ!

 そりゃあ、美しいわけだわッ!


 アタシの胸は、キュンキュンキュンキュンした!


 エルフといえば、アレよ。

 とんがり耳の、美形。

 ほっそりとした、美形。

 強力な魔法が使える、美形。

 ちょっぴりお高くとまってるけど、美形。

 年をとっても、美形。


 ともかく美形!


 幻想世界で、一人仲間にしてるけど! 蜂だらけになっちゃう、残念すぎる人! エルフの王子様だったわよね! 名前は……エ、エル、なんとか!

 エルフの王子様も綺麗だったけど、このエルフさんのが凄味があるというか……美しすぎて近寄りがたいというか……溜息がでちゃう!


 あああ、髪型も素敵! うなじで一つにまとめた三つ編み! 似合う男の人って、少ないのに! ちょ〜似合う! 艶やかな黒髪が綺麗にまとめられているのが、知的で格好いい……。


 うほっ!

 六翼の天使が、美形エルフの二の腕をとってスリスリしたッ!


 キュキュキュキュキュンキュンキュン!


《むかしのダーちゃん、ほ〜んとキレイ。お人形にしたーい♪》

《下がれ、死神王》

《え〜》


 ハートマーク飛ばしまくりの天使を、冷めた目でみすえるエルフ……うはぁ! いい! すっごくいいッ! 鼻血出そう!


《借用の対価は支払い済み。汝がこの場にいる理由などなし》


《え〜 いても、いいじゃん。ジャマしないもん。ねー ユーシャちゃん、あたし、ここにいてもいいよね?》

 全身が硬直した。

 天使が、アタシを見つめている……。

 蠱惑の瞳に、目も魂も吸い寄せられてしまう……。

 動けない。何もできない。息をすることすらも。その美しい青い瞳を見つめることしか……。


《繰り返す。下がれ。汝が側にいては、勇者が鏡を使うこと(あた)わず。鏡の影響下の汝は、人にとって凶器に等しい。勇者を狂死させる気か?》


 美貌の天使が、その姿に似つかわしくない表情となる。

 子供みたいに、ぷぅ〜と頬をふくらませたのだ。

《ダーちゃんの、ケチぃ》

 ぷんぷん怒って、六翼の天使が背を向け、歩き出す。


 途端、楽になった。

 ドキドキする胸を押さえ、息を整えた。


 ふと見れば、サリーはチビッコ天使に戻っていた。翼も背の二枚しかない。サリーは入り口のそばに立って、アタシたちにべーっと舌を出している。

 そのすぐ側まで、死霊王のベティがヒョコヒョコと近づく。アタシを見て、首から下がハーピーな死霊王はイヒヒと笑った。


《死神王も死霊王も、今は、真実の鏡の支配の外。接近したもののみが、鏡の影響を受ける》

 この世のものとは思えない美形エルフが、静かな口調で言う。


「それがあなたの本当の姿なの、ダーモット?」


《否。今の我の真なる姿は、汝も知っていよう。この姿は、生命ありし時代への郷愁に過ぎぬ》

 自嘲の笑みすら、絵になる。みとれちゃうわ。


「リッチになる前の姿ってわけね?」

《然り》

「じゃ、サリーの六翼の姿は、堕天前の姿?」

《少し違う。先程の姿こそが、死神王の真なる姿。幼児姿は、変化(へんげ)に過ぎぬ》

 へー そうなのか。

《死霊王も同じ。あの姿はかりそめのもの。真実の鏡の前に立てば、違う姿に映るであろう》

 どんな姿? と聞いたら《知らぬ》と返された。

《純然たる魔族といえども、変化をしていれば変化前の姿に。神や精霊、人や獣、木石などが、ゆえあって魔に転生しているのであれば、魔に堕ちる以前の姿を鏡は晒す》


 死霊王がグヒヒと笑う声が聞こえる。

《なぁるほどね。近づくだけで、本来あるべき姿をバラされちゃうんだ。虚飾は捨てよ、裸になれってか。やらしいねえ》

 死霊王に聞いてみた。

「そっちからだと、どんな風に見えてるの?」

《屍王はしかめっつらのエルフに見えるねえ。ゆーちゃちゃまは、そのまんまだ。ぜ〜んぜん変わってない》

「そうなの?」

 アタシは、自分の体を見てみた。

 いつもの服、オニキリと不死鳥の剣、精霊達との契約の証の宝飾品。ポケットに触れれば、歴代勇者のサイン帳やポチの入った培養カプセルの手触りがある。

 たしかに、いつも通りだわ。


《変化せぬのは、汝が天にも地にも恥じぬ勇者である証。人としての力で手に入れたものだけを纏っているゆえ、外見すら変わらぬ》

 よく見れば、契約の証が淡く光っている。左の指輪は青に近い水色に、左手首の腕輪は紫に、右手首のは水色がかった白に、左の胸のブローチは闇の色に、右胸のは白光に。宿る精霊に対応した輝きなのだろう。


《姿を暴くのは、副次的な現象にすぎぬ。勇者ジャンヌよ、望みを抱いて近づき、鏡に触れよ》

 エルフが、部屋の中央にある黒いものを指差す。

 あと数歩歩けば、あれに手が届く。

 壊れた柱のような、上部が砕けた彫像のような、金属の塊。でっかいモニュメントにも見える。

 まったく鏡っぽくないけど、あれが真実の鏡だ。


《四才の秋に汝の身に起きたことを思い出したい……そう望むがいい。あの日、汝は汝が敵とまみえているはず。鏡は記憶の封印を解き、あの日の汝では知りえなかった真実すらも伝える。敵の正体、倒す手立て、知ること叶うやもしれぬ》

 

 黒い鏡の前で、足を止めた。

 びっしりと模様が刻まれている。円、三角、四角、多角、直線、曲線、ジグザグ線……規則正しく施されたそれは、魔法陣模様に似ている。

 不思議なことに、こんだけ模様があるのに表面は滑らかだ。凸凹してない。

 黒い金属鏡は、アタシと背の高いエルフの姿を綺麗に映し出している。


 深呼吸してから、右手を鏡へと向けた。


 負けたくない。

 生き延びたい。

 自分の世界を滅ぼしたくない。

 大好きな人たちが、笑って暮らせる世界を守りたい。


 勇者として、アタシは真実を知りたい。


 鏡にそっと触れた時だった。

 背後からの手が、鏡をドンと突いたのは。


 こ、これは!


 も、もしや!


 かの有名な壁ドン?


 いやいやいやいや!

 違うか。アタシ、壁に追い詰められてないし!


 まるで背後から抱きしめるように、ダーモットがアタシに覆い被さっている……


《魔力を持たぬ汝が代わりに、(われ)が鏡に力を注ぐ》


 そ、そういうことなんですか……ありがとうございます……


《心に波風立てず、一つがことを望め。真実が欲しい。ただそれだけを思い、》


 うひ!


 ちょっ!

 ちょっ!

 ちょっ!

 近すぎっ!

 頭の上からイケメン声で囁かないで!


 自覚ある? あんた、今、超美形エルフなのよ!


 ほら! 鏡にも映ってる! 黒髪三つ編みエルフが……ア、アタシを包み込むように……


 胸がキュンキュンした……


 美しすぎる……


 この美形が今は骨だなんて……もったいない!


 美形は、国の宝なのに!

 なんで、リッチなんかに!


 そう思った時、すぅぅっと現実が遠のいた。




 見えるのは、鏡像だけになった。


 真っ黒な鏡に、闇のごとく黒いものが映る。


 生きとし生けるものを死に追いやる、おぞましい穢れ。

 瘴気だ。


 瘴気の中心に居るのは、異形の魔法使いだ。

 錆びた王冠を被り、朽ち果てたローブを纏う、干からびた骨。手に持つのは、黒の錫杖。

 不死の魔法使い(リッチ)だ。

 だけど、ダーモットじゃない。そのしゃれこうべは、人の形をしていない。フードを被らず晒した頭部には、二本の角がある。


《汝、雑念を抱いたな》

 頭の上からダーモットの声がする。

 けど、その姿は見えない。


 見えるのは、禍々しいリッチだけだ。荒れ果てた大地に、まるで彫像のようにたたずんでいる。


 そして……

 キィィ―ンと耳をつんざく音がした。


 リッチが頭上を見上げる。


 黒い雲に覆われた空に、次々に亀裂が走っていく。布がびりびりと裂けてゆくように、空がどんどん割れてゆくのだ。

 やがて、切れ目同士がつながり、空は不格好な四角い形に切り取られ、そのまま、がくんと抜けた。


 空が切り取られたところから、黒く巨大なものが現れる。

 大きな黒い鳥のような。

 それは、現れるなり、羽ばたいて、旋風を起こした。


 背の二枚の翼で空を飛ぶ巨大なもの……ドラゴンだ。

 黒い鱗で覆われた、大トカゲに似た恐ろしげな外見。小山を思わせる体、鋭い口に、巨大な爪、ぎょろりと獲物をみすえる赤の両眼。

 カッと口を開き、ドラゴンが口から強烈な火焔を吐く。

 鉄をも溶かす、高熱の炎だ。


 天から降り注ぐ炎の濁流を、リッチはよけようともしない。錫状を持った姿のまま、その場にたたずみ続ける。


 凄まじい勢いで吐かれた炎が、リッチを包む。


 ドラゴンの炎は全てを燃やし尽くしたかのように見えたけれども……


 ドラゴンがブレスをやめた時、何も変わっていなかった。

 リッチはノー・ダメージ。ボロボロのローブすら焦げていない。

 魔法障壁を張ったのだろう。


(わし)に挑むか、『勇者』よ》

 髑髏の眼窩に、赤い炎が灯る。

《神の天秤は無情。儂の討伐を望めば、『勇者』たる御主ももろともに滅ぶ。世界の理を知らぬ御主ではあるまいに、何ゆえに死に走るのだ。ダーモット》


『理よりも仁ゆえに』

 ドラゴンの背から朗々とした声が響く。

『汝が在るだけで滅ぼされゆく命を守る為、我は『勇者』として汝を討つ。強大となりし汝は、もはや吹き止まぬ嵐に等しい……。すまぬな、『魔王』。共に滅びてくれ』


 黒竜の背に、黒髪のエルフがたたずんでいる。蔦が絡まった長杖を持ち、黒のローブをまとうそのエルフは、確かにダーモットで……


《『魔王』ゆえに『勇者』が生まれ、『魔王』の滅びと共に『勇者』も消えゆく。調和神の思惑のままに、踊らされ、滅びる、あわれなる『勇者』よ。いずれにも傾かぬ正と邪の天秤なぞに意味は無い。神の戯言に流され戦ったところで、神々を喜ばせるだけ。そこに救いは無い》


『守るべきものたちを守れ、この世界の和が守られるのであれば、後悔はない。我は『勇者』としての正義を貫く』


《愚かなり、『勇者』よ》

 リッチが、錫状で大地をつく。

不死の魔法使い(リッチ)は、滅びぬ》


『行くぞ、デ・ルドリウ。我が友よ。我が魔力が牙となり盾となり、汝を守らんことを』

 呪をはらんだ祝福を受け、黒のドラゴンが咆哮する。

 空間が、ギシギシと揺らぐ。

 巨大なドラゴンの姿が、何重にも大きく見える。


 ドラゴンの巨大な口から、紅蓮の炎が生まれる。先程よりも苛烈さを増した炎を吐きながら、ドラゴンが急降下する。


 ドラゴンの背のエルフ、大地にたたずむリッチ。

 二人の魔法使いが杖を手に呪文を唱える。

 二人の周囲で、魔力のゆらめきが現れては消える。

 激しい魔力の応酬で、発現する前に、そのほとんどの魔法は無効化されていた。


 けれども、全ては消しきれなかったのだろう。

 いくつかの魔法が鋭い刃となって、ドラゴンの黒い鱗を貫き、その背に居た者すらも傷つける。

 それでも、ドラゴンは急降下を止めない。傷つくことを恐れず、裂けた鱗より血を流し、潰された右眼で前方をみすえ、ブレスを吐き続け、そして……


 リッチの魔法障壁を、噛み砕いたのだ。


『光よ』

 杖を支えにかろうじて立っていたエルフより、まばゆい光が広がる。

 まるで太陽が地に落ちたかのような激しい光。


 全てが白光に包まれてゆき……


 悪しきリッチの体は、砂のように崩れ……


 悲痛な声が響き渡った。

 荒れ狂う獣の啼き声とも、断末魔の絶叫とも、狂気に陥った人の絶望の叫びともつかぬ、聞く者の胸をえぐるような悲鳴だ。


 エルフだ。

 ドラゴンの背から転げ落ちたのか、大地にうつぶせに倒れ、己が体を抱きしめて叫んでいる。


《いかがした、ダーモットよ》

 ドラゴンが、人の姿に変化する。

 その身を包む黒い鎧はひしゃげ、マントは破れている。黒の髪は乱れに乱れ、右眼があるべき箇所に穿った傷が開いているのに、血に染まった自分など気にもとめていない。その場に跪き、ダーモットの身をひたすら案じている。


 地に転がった角つきの髑髏が、カラカラと乾いた笑いを漏らす。

不死の魔法使い(リッチ)最後の秘術を与えた……『勇者』よ……御主に『死』の安息はない。御主が消滅すれば、呪は御主に近しいものに移る……御主を解放せしもの、或いは御主が最も心をかけたものに……》

 乾いた音が響き、しゃれこうべに亀裂が走る。

《調和を望むのであれば……『勇者』として、とこしえに『魔王』の身で生きるがいい……御主が、調和神の、天秤より、こぼれ……神ならざるものの楽土を……築く未来を望み……儂は沈黙する》

 頭骨は崩れゆき、ただ二本の角だけが残る。


 突き上げるような悲鳴も、長く長く尾を引く残響もやがて途絶え……


 ダーモットが、ゆっくりと体を起こす。


 その姿に息を呑んだ。

 彼を形作るもの、全てが無残に壊れていた。

 腐り、乾き、崩れ……何もかもがポロポロと削げ落ちてゆき……


 白骨と化した体だけが残る。


 不死の魔法使い(リッチ)ダーモットが、誕生したのだ。




 気がつくと、アタシはもとの場所にいた。

 黒い彫刻のような金属鏡に触れたままで。


 滑らかな黒い鏡に映っているのは、アタシとその背後に居る背の高いエルフだけだ。

 右手を鏡につき、ダーモットは前だけ見つめている。怒りも嘆きも戸惑いもなく、石のように硬い表情で、ただ前だけを見つめている。


 胸がズキンと痛んだ。


「……ごめんなさい」


《汝、雑念を抱くな、勇者。真実の鏡は、触れしものの望みのままに、そばにいるものが抱く真実を見せる》

 そう言って、ダーモットは左手に持つ杖を軽く持ち上げた。

 二本の角がついた杖……角の形には見覚えがある。ダーモットに秘術をかけて逝った『魔王』の角だ。さっきの映像は、ダーモットと『魔王』の記憶だったのだろう。


 背後から、グヒヒヒと笑い声があがる。

《こうして、屍王は生まれました……か。なみだなみだの物語だったねえ。安っぽい三文小説かと思ったよ。つっまんない理由で魔族になったもんだ》


 鏡に映ったものは、死霊王たちにも見えてたのか……。


《あんたが善の心を持つ悪であり続けることが、神の天秤とやらを支えてるんだろ。バッカバカしい! 虫唾が走るよ。屍王。あんたは世界を救ったんじゃない。神を喜ばせただけさ》


「やめて、ベティさん!」

 叫んでから、アタシはもう一度ダーモットに謝った。

「失礼なことをしました。ほんとうにごめんなさい。アタシが集中してなかったせいで……」


《過ぎ去り日の記憶が再現されただけのこと。汝、気に病む必要はなし》

 この世のものとは思えない美しいエルフ(ひと)が言う。

《だが、二度と心を乱すなかれ。汝が知りたき真実は、汝が敵のことであろう?》


「はい……すみませんでした」


 鏡面に映るエルフは、静かな眼差しでしばらくアタシを見下ろし、それからほんのちょっとだけ口角をあげた。


《汝の世界と我が世界は、在り方からして異なる。正義も『勇者』の生きる道も異なる。要らぬ関心は捨てよ。汝は汝の世界を救うことだけを考えればよい》


 それはそうかもしれないけど……


 さっきの『魔王』とダーモットのやりとりが、気になる。


『調和神の天秤』

『いずれにも傾かぬ正と邪の天秤なぞに意味は無い。神の戯言に流され戦ったところで、神々を喜ばせるだけ。そこに救いは無い』

『『魔王』ゆえに『勇者』が生まれ、『魔王』の滅びと共に『勇者』も消えゆく』

『神ならざるものの楽土』


 意味を問いたい気持ちもある。


 だけど……


《闇雲に神を信奉したって、屍王みたいにバカを見るだけさ。せいぜい気をつけるんだねえ、ゆーちゃちゃま。気まぐれで利己主義で残酷なのは、神も魔と一緒だもの。神は、自分の為に世界をつくり、自分の為に奇跡を起こす。人間なんざ石ころ同然、弄ぶことにためらいはない。あいつら、とことん下衆だからね》

「ベティさん、うるさい」

 ゲヒヒと笑う死霊王を睨み、アタシはため息をついた。

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