最強は俺だ!
《は〜い、こちらが天界一の修行場〜 最強をかけて六神が白熱のバトルを繰り広げている会場で〜す》
女神さまがそう言って掌でさしたのは、雲の広場だ。
やわらかそうな白雲以外、何も無い開けた場所。
……誰もいないような?
仲間たちとキョロキョロと辺りを見回す。
アタシたちが立ってる辺りだけが、ピンク色だ。
ピンク雲は、慈悲深き女神さまがつくってくれた結界――アタシたち用の観客席だ。
こっから戦闘を眺めてくれって言われたんだけど……
見上げれば、青い空。
燦々と陽射しが降り注ぐ白雲が、どこまでもどこまでも続いている。
白雲がキラキラ輝いていて、綺麗。銀世界に迷いこんだかのようだ。
美しく、とても平和で……
……あれ?
「すっげぇぇ! かっけぇぇ! ピカピカだ!」
すっとんきょうな声をあげたのは、クロードだ。ピンク雲の端まで、駆けてくし。
「刃から光が! いつ斬ったんだ? まさに神速!……今の技は?」
アランまでもが興奮した声をあげて、身を乗り出す。
「……むぅ」
エドモンを遠くをみやっているような。彼の頭の上に亀、首には蛇、足元には猫女神さまがまとわりついている。
なになになに?
てか、みんな違う方向、見てない?
なにが見えるの? と聞こうとしたら、その前に、
「クロード君、アラン、エドモン君。君達には、何か見えているのかね?」と、シャルル様が。
おおお! 見えない仲間がいた!
《もっちろん、神々の戦いを見てるんだよ♪》
女神さまが、のほほんと答える。
《神さまのすっげぇところが見てみたい、という神への憧れ……神様であれば人を超える技量をお持ちであろう、という剣技への情熱……並の人間よりもよく視える眼。三人はそれぞれのやり方で、この場での戦闘を感じ取ったのさ》
「見えぬ者はどうすればよろしいのでしょう?」と、お師匠様。
お! お師匠様も、見えない仲間?
《魔法を使うって手もあるよ。尊き存在を魔力で感じとるんだ。ちょ〜一流の魔術師なら、探知の魔法を応用すりゃやれると思う〜》
女神さまがシャルル様をチラッと見る。『できる?』と問いたげに。
「神々の存在を魔法で感知ですか……。承知しました、麗しの女神さま。この魔法騎士シャルル、必ずや成し遂げてみせましょう」
胸元に手をあてて一礼するシャルル様。
女神さまは、シャルル様にウィンクを贈った。
《がんばってね〜 キミならできる、できる〜。かんたん、かんたん♪》
この口調……ほんと、うちの世界の神さまに似てるなあ。
シャルル様は、アタシたちから少し離れ、小声で呪文の詠唱を始めた。
《ジャンヌちゃんには魔力がないからー 女神が特別にマル秘情報を教えてあ・げ・る♪》
「ありがとうございます!」
《てなわけで、賢者君、ジャンヌちゃんは女神に任せてくれたまえ。キミの案内は、キュービーちゃんにさせるから》
女神さまが、空飛ぶ赤ちゃん天使をビシッ! と指差す。
《天使が優しく丁寧に! 手とり足とり! 神々の素晴らしさをキミに教えてくれるぞ!》
《はいは〜い、慈悲深き女神ちゃまから、おおせちゅかりまちた〜》
女神さまに敬礼してから、キューちゃんがお師匠様と向かい合う。
《賢者ちゃん、キューちゃんにすべて任せてくらちゃいね。あなたを導いてさしあげまちょう♪》
お師匠様は、いつも通りの無表情。宙に浮かぶキューちゃんを、すみれ色の瞳で見上げている。
《あれあれ〜 お返事がありまちぇんね。聞こえまちぇんでちたか、賢者ちゃん?》
「……聞こえている」
お師匠様が、キューちゃんに右手を差し出す。
「おまえの声は……いつも耳に届いている」
《なら、お返事してくらちゃいよ〜》
「すまぬ……」
いつもと同じ感情の浮かんでいない顔。けれども、月のように美しい顔でキューちゃんを見上げて……
そして……
お師匠様は、微笑んだのだ。
ほんの少しだけれども、口角をあげて……
目元を細めて……
大切なものを見守るような、やさしい笑みを形作ったのだ。
キューちゃんが、お師匠様の右手に左手をのせる。
手をとりあう二人は、まるで……
胸がドキンとした。
そんな顔……アタシ、知らない。今まで見たことない。
お師匠様が微笑んでいる……?
キューちゃんに???????
《こらこらこら。ジャンヌちゃん、よそ見禁止〜》
う!
きゃぁぁぁ!
「痛いッ! 痛いです、女神さま! 首をグキッとやらないでください!」
《キミが見なきゃいけないのは、賢者君じゃない。すっごい神さまたちの戦いだ》
「いや、でも、お師匠様が、たった今、」
微笑んだんですよ!
表情筋を動かして!
あんなにはっきり笑ったこと、今まで一度もなかった! 十年間いっしょに暮らしてきたけど、アタシ、見たことない!
それが、なんで……?
どうして、キューちゃんに微笑みかけるの?
「お師匠様……もしかして……」
もしかすると……
フケ専ならぬ、赤ちゃん専???????
スパァァァン! と、気持ちのいい音がした。
後頭部が痛い……
はっ!
女神さまのお手に、紙で作ったハリセンが!
《女神の顔も三度、だ》
にっこりと……
たいへんにこやかに……お師匠様を女性化したらこうなりましたって顔の女神さまが微笑んでいらっしゃる……。
《次に無視したら、慈悲深き女神もプッツンするからね……》
ひぃぃぃぃ! こわい! その笑顔が怖い!
《シメオン君に聞きたいことがあっても、後にしたまえ。キミのために、女神がわざわざが、キュンキュン会場をつくったんだぞ! 強い伴侶をいっぱいゲットしなきゃ、キミ、魔王に負けるんだろ?》
う!
《今! この修行場で! キミのために! 主神級の神々が六体も戦ってるんだぞ! それをキミ、シメオン君、シメオン君って〜〜〜》
ぐ!
《ここで萌えなきゃ、勇者失格だよ! おっけぇ?》
ぐは!
……その通りですね。
「……おっけぇです。失礼な態度をとって、すみませんでした。お許しください……」
《じゃ、こっち見る!》
背後のお師匠様がものすごぉぉく気になってるけど、結界の外を見つめた。
女神さまが指す方角には、やはり何もないように見える。ただ白い雲の広場が広がっているだけだ。
《このすぐ側で、とある世界の主神と、とある世界の武神が戦っているんだ》
唐突に、結界の外に、二体の巨人が現れる。
「うわっ!」
ハンパなく大きい!
エスエフ界のカニ・ロボよりも、英雄界でクロードが召喚した巨大リッチよりも遥かにデカイ!
近すぎて、膝ぐらいまでしか見えないわ!
《それは、キミのせいだよ》
女神さまがのんびりと言う。
《神さまは偉大だから、大きいはず。そう思いこんでるから、巨大に見えちゃうんだよ》
そーいうものなんですか?
女神さまが頷く。
《神々の戦いをよく見たいと望めば、見える高さにまで縮むはずさ》
はい!
……ん?
アタシ、口で返事してないのに、会話が成立してる?
《全知全能の女神なんだよ。キミの思考ぐらい読めるよ》
なるほど。
お! 巨人たちが縮んだ!
でも、服装も髪もおぼろげ。それどころか、目も鼻も口まではっきり見えない。
具体的にイメージしてないからか。
ぬぼ〜っとした巨人たちが、だだっこパンチの応酬をしているような、感じに、しか、見えない……。
《……お二人とも、泥人形みたいだねえ》
すみません! すみません! すみません!
神さまに失礼ですよね! 美しいお姿をイメージします!
………
よし!
とりあえず!
キンキラに光ってもらいました!
あとは……
えっと……
えっと……
天界では、想像が形になる。
六神のお姿は、アタシの想像力次第なのだ。
最高水準の美をイメージしてみよう。
戦闘力の高い神さまなら………やっぱりマッチョよね!
アランやシュテンのような、筋肉美! 体毛は……とりあえず、無しの方向で。
顔……
アランも、ハンサムだ。しかし! どうせなら、美形で想像したい。なんてったって、神さまなんだから!
伴侶の中の一番の美形は、ぜったいジュネさん! でも、ジュネさんのお美しさは女性的。マッチョとは相性が悪い。
お師匠様も美形……
………
いやいやいや! 今はお師匠様のことは考えない!
あと、溜息ものの美形といえば、シャルル様でしょ、幻想世界のエルフの王子様(あれ? 名前なんだっけ? エル……エルなんとか……あとで、勇者の書を読み直しておこう)……う〜ん、筋肉ムキムキは似合わないなあ。
男のフェロモン漂う美形といえば、ドロ様! ドロ様なら、ムキムキもいけそうな……。
はっ! そうだ! 男らしい超イケメンなら、デ・ルドリウ様じゃ?
幻想世界の、隻眼のドラゴン王。
その人型は、相手を射抜くような鋭い眼光の美丈夫だった……右の眼が黒眼帯で覆われてて、左は切れ長の赤い瞳で、むちゃくちゃ格好良かったなあ。
オールバックにした黒髪を馬のたてがみのように背に流し、太い眉、広い額、高い鼻、長く蓄えた顎髭と厚い口髭……
思い出すだけで、キュンキュンしちゃう!
よぉし! 体はアラン! 顔はデ・ルドリウ様をベースにイメージしてみよう! 隻眼じゃなくって、両目のデ・ルドリウ様ね!
服装は……神さまっぽい白い長衣にしとこう。
ベースはこれでおっけぇ。
お!
目の前の二体が、顔はデ・ルドリウ様、体つきはアラン、白いトーガ姿!
イメージ通り!
でも、これじゃ区別がつかない……
差別化しよう。
つーか、二人のデ・ルドリウ様が、だだっこパンチで殴り合ってるの……かなりシュール……
ごめんなさい、神さま、デ・ルドリウ様!
もっと格好いい姿を想像します!
武神なんだから、ジョゼ兄さまみたいな格闘をしなきゃ!
拳、蹴りも、一連の流れの中で。素早く美しく、無駄のない動きで……。
それっぽく見えてきました!
ん? もう一体は、何神だっけ……?
《とある世界の主神だよ》
女神さまがくすくすと笑う。
《想像しやすくなるよう、もっと情報をあげよう》
二神の頭の上に文字が浮かび上がる。
【ゼッケンナンバー1 とある世界の主神 複合能力者 現在の使用武器…神剣 現在の使用魔法…結界・分身・自己再生・原始の炎・神の手・時空操作・転移】
【ゼッケンナンバー2 とある世界の武神 あらゆる武器を扱える 現在の使用武器…神刀 現在の使用魔法…神眼】
それを読んだせいか、両者は変身した。
主神は手に片手剣を持ち、片手で魔法の印を切る魔法騎士(シャルル様)風の姿となり、
武神は格闘ではなく、刀を持って戦い始めた。服装も、ヨリミツ君の赤鎧に変わった。やっぱ、刀といえばヨリミツ君か〜
「おおお! 居合い! 見切り! 兜割り! お見事です!」
アランは、二神の戦いに見入っている。
アタシとは違うものを見ているような……。
《はいはいはい。ジャンヌちゃん、お次はこちら〜》
女神さまに、強引に体の向きを変えられる。
結界から少し離れた所で、アランよりもちょっと大きいぐらいの二神が向かい合って格闘している……ように見える。
二神の頭の上にも、文字が浮かんでいた。
【ゼッケンナンバー3 とある世界の機械神 ハイテク機械 現在の使用武器…振動剣・怪光線・ドリルミサイル・ロケットパンチ・ブラックホール砲・ビームシールド 現在の使用魔法…なし】
【ゼッケンナンバー5 とある世界の創造神 精神生命体の世界の王 現在の使用武器…なし 現在の使用魔法…炎・水・風・土・氷・雷・光・闇】
二神の姿が変化する。
機械神は、名前からしてロボっぽい。そのせいか、体はルネさ……いやいやいやいやいや! 顔だけがデ・ルドリウ様の『迷子くん』なんて、いやぁぁぁ!
イメージし直し、イメージし直し……。
体をエスエフ界のアダムにしてみようかな!
………
よし! スマートになった!
六本手だけど!
一本の手にメカ剣を持ち、別の手に銃を、他の手にドリルミサイル、ブラックホール砲、ビーム盾を持って、ロケットパンチを飛ばしてる。
「かっけぇぇ!」
クロードが目をキラキラと輝かせて、機械神に注目している。
うん……あんたやジョゼ兄さま、こういうの(メカ)好きだったわよね。
で、対戦相手の創造神はというと……
これは! っていう付加要素無し。顔はデ・ルドリウ様、体つきはアラン、服装は白い長衣のベーシックなまま。
武器無しで戦ってるんだから、戦闘は格闘スタイルでおっけぇよね。
《それは違うぞ、ジャンヌちゃん》
女神さまが、チッチッチッと指を振る。
《とある世界の創造神は、精神世界至上主義神だ。物質世界を連想させるイメージが嫌いだから、武器を持たないんだよ》
えっと……
「んじゃ、魔術師タイプ?」
《う〜ん……違うけど、格闘家よりは近いかな。おおまかに、合ってる〜》
おおまかに、か。
とりあえず、服は魔術師のローブに。
!
デ・ルドリウ様、黒のローブも似合うわ〜! 知的! 素敵! 意外な魅力、発見! キュンキュンしちゃいそう……
《この二神の戦いはド派手だなあ♪ 光と光! おっとぉ、レーザーだ! ボムだ! 超粒子砲! 対するは、竜巻! 雷! 大波! 火炎! 全てを凍らせる冷気がきたぞぉ〜♪》
何やら楽しそうな。
《いや〜、お強いお強い♪ 物質世界での戦闘でなくて、よかった♪ 星レベルではなく、銀河系レベルがふっとんでるところだ♪》
だけど! と女神さまが強調する。
《ここは天界なんだ! 神々が多少無茶してもびくともしない! 修行場には利用者の能力を限定する、制限機能もあるしね! 安全な所から。最終戦争級の戦いを傍観できる。最高の娯楽だと思わない、ジャンヌちゃん?》
はあ……。
《んじゃ、次ね》
ぐいっと首根っこをひっぱられた。
《あちらにいらっしゃるのが、とある世界の長老神》
かなり離れた所に立っている方は、長老神らしい。
『長老』なら、おじいちゃんかな? って思ったら、顔はデ・ルドリウ様のまま、白髪白髭となった。
その頭の上に浮かんでる文字は、
【ゼッケンナンバー4 とある世界の長老神 酔いどれ神 現在の使用武器…神杖・大盃 現在の使用魔法…春爛漫・狂水の宴・名月の影・夢幻八百】。
どんな魔法を使ってるんだか、さっぱりわかんない……『夢幻八百』は幻覚魔法?
それに、ただ立っているだけのような。
杖を持つおじいさんを見つめながら、女神さまに質問した。
「長老神さまも、戦ってらっしゃるんですよね?」
《う〜ん……まあ、そうとも言える》
女神さまが微妙な顔をする。
《とある世界の長老神は、ちょ〜平和主義な神。いつもニコニコ。陽気にお酒を飲んでるか、昼寝してるだけなんだ》
長老神は、右手に杖、左手に大盃。盃は、イバラギが使ってたのより大きい。ラウンドシールドみたいだ。
《争いになっても、なんやかんやで大負けしないんだよねー いるだけで何事もいい方へいい方へ転がっていくというか、強運が神格化したような方なんだ》
まったく微動だにしないのに、流れ弾はすべてヘロヘロとそれてくし、他神から勝負を挑まれない。盃でお酒を飲んでるだけ……。
そこに居るだけで幸せになれるなんて、うらやましい……。
《んじゃ、最後いってみよー!》
女神さまが近くを指差す。
結界のわりと近くに、神さまがいる。
その頭に浮かんでるのは、
【ゼッケンナンバー6 天界神 神々の世界の現在の王 現在の使用武器…三叉戟・雷電・神獣 現在の使用魔法…神罰】てな文字。
む? 使用武器が、神獣? 神獣を武器代わりにしてるの? 神獣でぶん殴ったり、神獣を投げつけたり? それとも、神獣をけしかけてる?
《ちがう、ちがう》
女神さまが、ひらひらと手を振る。
《騎乗獣だよ》
ん?
《使用武器って表記が悪かったかな。その神に属してはいるけど分岐してる存在を、武器扱いにしたんだ》
はぁ。
《ほらほら〜 とある世界の機械神、シールド持ってるよね? あれは防具なのに、武器扱いの表記になってるだろ?》
機械神の頭の上の情報を確認した。
たしかに、『使用武器』のところに、ビームシールドが含まれている。
てことは、天界神さまは、神獣に乗ってるのか。
《天界神さまは、現在の神の中の神。一体一体を相手にすることを好しとせず、騎乗にまたがり五神全てを相手としているのさ》
……神獣ってどんな姿してるんだっけ?
天馬も一角獣も、聖なる鳥も、聖なる鹿も、聖なる兎、聖なる蛇も、聖なる魚も、神獣のはず。
だけど、神々しい王にふさわしい乗り物といったら……。
機械神から、天界神さまへと視線を戻した途端……
胸がキュキュキュキュンと鳴った!
心の中でリンゴ〜ン、リンゴ〜ンと鐘が鳴って、欠けていたものがほんの少し埋まっていく、いつものあの感覚がした。
《あと四十四〜 おっけぇ?》、
《あと四十三〜 おっけぇ?》、体の内から神様の声がした。
うはぁぁ! 格好いいぃぃぃ!
白馬に乗った、デ・ルドリウ様! 白馬の王子ならぬ、白馬の王様! うわぁぁ、鎧姿だ! 神さまらしくキンキラでピカピカだけど!
白馬に乗った黄金の鎧の王……
乙女的に、キュンキュンでしょ、これは!
白馬も、素敵〜〜〜〜
天界神さまとセットで萌えた!
パーッパ ラッパ パーッパ パァー
威勢のいいラッパが鳴り響き、
《終了ぉぉぉ〜》
女神さまが、打鐘をジャンジャン打ち鳴らす。
んで、ドラムロール。
《百一代目勇者ジャンヌちゃんの最強神は……》
パッ! とスポットライトが、ただ一体の神を照らす。
《天界神さまに決定しました!》
ぱんぱかぁ〜ん♪ とファンファーレが、拍手が、喝采が鳴り響き、
天界神さまの周りに、パーッと花吹雪の雨が舞った。
白馬の上の王さまが『うむうむ、当然じゃ』って顔で頷く。その鷹揚な仕草も素敵……
フッ、フッ、フッと、結界外にいらっしゃった他の神々が姿を消してゆく。
《とある世界の主神ちゃま、とある世界の武神ちゃま、とある世界の創造神ちゃま、とある世界の機械神ちゃま、ご退出でちゅ〜》
ちっちゃな手で天界神さまに拍手を送りながら、キューちゃんがにこ〜っと笑う。その横にはお師匠様が……。微笑んではいないけど、キューちゃんを見る目がとても優しいような……。
「みなさま、急用でご退出されたのだろうか?」
《ちがいまちゅよ、賢者ちゃん。みなちゃま、一番になれなかったんで、勇者ジャンヌちゃんへの興味を失ったのでちゅ〜》
「と、いうと?」
《『自分を選ばぬとは、見る目のない奴』と、見限ったってことでしゅよ。みなちゃま、『もう二度と金輪際決して、会わん』と、勇者ジャンヌちゃん専用に面会拒絶札をお出しになられまちた〜》
げ。
しまった!
六神同時に萌えとけば、良かった?