恋文【これまでの QnQnハニー】
じあんぬ殿
遠き異郷の地にて武勇を馳せておられる条、疑いなかるべし。
されど、我が身は不甲斐なく、
酒呑童子が下で修行仕り候えどもはかばかしく御座なく、茨木童子への意趣返しすらままならず、誠にもって辱しき次第。
御約束仕候日まで鍛錬を重ね、
いかなる敵にもおくれ取り申さぬひとかどの武人となること、あわせて死霊王戦魔王戦必勝を、毎日毎朝神仏に祈願いたす所存なり。
晴れて汝と並び立つ日をよりどころに、一つが道をひたすらに進みゆく覚悟にて候。
畏きあたりにおかせられては、大江山討伐を叡慮なされておられる由。
けなげにも姫君は、詔の発令を遅らせ給ふ御心づもりなり。
神仏の加護にて公達の方々と共に都にお戻りあそばし、神仏の託宣にて討伐に良き日は百日後と啓すとおほせられける。
すべて偽りなり。
なれど、死霊王の大事に勝るものなしとは、むべなる哉。
姫君の守りを、茜丸に申し付け候。茨木が手の者も陰にて姫君に付随ひはすれども、決して決しておくれを取るべきにあらず。死を恐れず忠を尽くすが肝要なり。
明日、酒呑童子が先祖鏡正孝に見参す。
我が身は鬼神の相にあらず。髪は赤くもなく白くもなし。
化生の末との言葉、腑に落ちぬものにて候。
しかしながら、鏡正孝の教えを受け、一流の武人数多く生まれしとの由。
斯くあれば嬉しき哉。
汝の形見と共に月を愛でおり候。
汝は、日輪の如し。
眉目も姿も心ばえも、汝に勝るものなし。
この思い、筆に尽くし難く候。
願わくば、汝の身にふりかかる七難八苦を我に与えたまえ。
汝が旅がつつがなきこと、汝が美しき笑みが損なわれぬこと、せつに願ひ候。
頼光
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★現代語訳
ジャンヌ殿
あなたは、遠い異世界でもご活躍なさっておられるのでしょうね。
けれども、私は情けないことに、シュテン童子のもとでの修行がはかどっておりません。イバラギへの仕返しすらできていないのです。ほんとうに恥ずかしいです。
お約束した日まで鍛錬を続けて、どんな敵にも負けない一人前の武士になれるよう神仏に祈り、あわせて死霊王戦と魔王戦の必勝も祈願します。
立派な武士になってあなたの傍らに立てるよう、修行に励もうと思います。
天子様は大江山討伐をお考えのようです。
姫君はけなげにも、勅令を遅らせるおつもりです。
神仏に助けられて貴公子様たちと都に戻れたのだ、討伐は百日後がよいだろうとの託宣をいただいたと、天子様に申し上げると姫君はおっしゃっています。
すべて嘘です。
しかし、死霊王の侵略は容易ならざること。何事においても(死霊王退治を)優先すべきだという(姫君の)お考えは、もっともだなあと思います。
姫君の護衛を、アカネマルに命じました。イバラギの配下の者も陰から護衛するのですが(あの男に負けるのだけは腹立たしいので)、あちらよりも有能に働け、死をも恐れず忠義を尽くせと言ってあります。
明日、シュテンの先祖(鬼の祖)、初代カガミ マサタカに会います。
私は鬼らしい容貌ではありません。髪の毛も、(シュテンのように)赤くないし、(イバラギのように)白くもありません。
精霊の子孫と言われても、納得できません。
ですが、(会うのが嫌なわけではありません。)カガミ マサタカの教えを受けて、大成した武人も多いのだとか。
私もそうなれたら嬉しいなあ。
あなたからいただいたハンカチを傍らに、美しい月を眺めております。
あなたは太陽のような方です。
お顔も、お姿も、お心も、誰よりも素晴らしい。
あなたが魅力的すぎて、言葉では表しきれません。
あなたの身にふりかかるであろう災いは、私が代わってお受けしたい。
あなたの旅が無事であること、あなたの顔にいつも笑みが輝いていることを、心から願っております。
ヨリミツ
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☆現代語訳(大意)
ジャンヌちゃんへ
ぼく、がんばるよ
あいたいな
ヨリミツより