甘~い生活
「ん、いいよお。じゃあ1ヶ月、よろしくね」
村長さんが手を差し出す。私はその手を握り返し、
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
と、テンプレート通りの会話を行ったのだった・・・。
「あ、そういやさ」
村長さんが言う。
「君の名前、なんて言うの?言いたくないんならいいけど。あ、俺のことは村長って呼んで。」
「あっ、私の名前、愛っていいます。」
「ふーん、愛ちゃん。じゃ、いまから愛ちゃんの家に案内するわ」
「あ、ここよここー!その子んチこの家!」
甘菜さんが大きく手を振る。
「甘菜さん!」
「おー甘菜。このコ愛ちゃんっていうから。つーか何?この家」
「何もウニもないわよ。フルーツの家よ。」
「いや、待って。くっさい。まじ臭い。てめ、管理サボったろ」
私の家、と案内されたところは、溶けた果実と、凄まじい異臭で構成された、家とも言えないような家だった。
「甘菜、テメーよ。こんな家に愛ちゃん住まわせようってのか。ドS?ねえドSなの?」
「え?なに言ってんのよこのコンブぅ!私変なことしてるぅ?」
「・・・ ! ぅあ!そーかぁ、もう花粉症の季節かー。どうりでこんなアホに・・・。」
どうやら、この国の花粉は、ドーパミンを大量分泌し、頭をクルクルパーにさせる世界一のアホ量産物らしい。だけど、毎年、ひどい症状に悩まされていた私にとっては、これはむしろマシなのかもしれない。