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残酷な描写ありです。(ちょっと)

「ただいまー」

「お帰り」

「お帰りねーちゃん」

 瀬奈が帰宅すると、弟、母、父が返事を返す。

 そんな家族に軽く手を振り、瀬奈は自室に入った。

(明日もまた学校行かないといけないのかぁ。いやだなぁ)

 瀬奈は担任であり数学家担当の教師、山口玄道やまぐちげんどうが嫌い…というか生理的に無理だった。

 教えるときに異様に距離が近く、時には肩に触れてくる。セクハラで訴えたいと常々思っているが、何分言い逃れができてしまいそうでできないのだ。

「はあ、どうしよう」

 そんなことを考えているうちに、瀬奈はいつの間にか眠りについていた。


「おはよ、瀬奈」

「おはよう、蒼真」

 彼氏の蒼真とともに学校へ向かう。

「そういえば、あのセクハラ教師はどうなっているの?」

「あー、それなんだけど……」

 瀬奈は現状をすべて話した。

「うわ、前に聞いた時よりもひどくなってない?やめてくださいって言ったほうがいいよ」

「うん、そうだよね……。今日、言ってみる」

 蒼真にアドバイスを受け、瀬奈は対峙する覚悟を決めたのだった。


 雲行きが怪しくなってきた放課後。

 蒼真は嫌な予感がして、玄道と対峙するであろう瀬奈が心配になった。

(瀬奈……)

 一方、その瀬奈は玄道に話があるといって、教室に残ってもらっていた。

「一体どうしたの、瀬奈?」

 玄道は二人きりになったとたん瀬奈を呼び捨てで呼んできた。あまりの気持ち悪さに、瀬奈の背中に冷や汗が流れる。

「あの、先生。呼び捨てで呼ぶのも、触ってくるのも、やめてください。距離も、もっと適切に保ってほしいんです」

 瀬奈が逆上されないように慎重に言うと、玄道はそれまで浮かべていた笑みを途端に消した。

「何を言っているのかな、瀬奈。僕はわかっているんだ。君は本当は嫌じゃないんだろう?」

 そう真顔で言ってくる玄道に寒気がしつつも、瀬奈は勇気を振り絞って対抗した。

「本当に嫌なんです。もう耐えられない。やめてください。やめないのなら、セクハラで訴えます」

 瀬奈の言葉に、玄道は笑い出した。

(な、なんなの……?気持ち悪い!)

「ああ、瀬奈。悲しいよ、わかってくれないなんて……。そんな君には、生きていてもらいたくない」

 玄道が真顔で言い放ったその過激な言葉に、瀬奈は恐怖心が沸いた。

「何、言って……ぅっ」

 次の瞬間には、瀬奈の腹部に鋭利な刃物が突き刺さっていた。

(え………………………?)

 瀬奈の体を猛烈な痛みが襲う。

「瀬奈っ!」

 嫌な予感がした蒼真が瀬奈のもとに駆け付けた時には、瀬奈は刺された後だった。

「瀬奈っ、瀬奈っ!」

「そう、ま………………?私、もうすぐしぬ、かも…っ、ごめん、ね………………」

 瀬奈は痛む体で、最後子力を振り絞ってそういった。そのそばでは、玄道が恍惚とした笑みを浮かべてたたずんでいた……。

「……瀬奈?」

 蒼真が瀬奈に呼びかけるが、その体はもう、冷たくなっていた。

「瀬奈……瀬奈、瀬奈っっっっ!!!!!!」

 鷹取瀬奈は、玄道によってその短い生涯を終えた――。

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