その文章が導く幻想の正体
さて、始めようか。
さて、何から始めようか。
「注目に値する文字の羅列」
適当につけたタイトルだ。
何となく気分が向いて久しぶりに小説を書く。
小説を書くからには誰かに読んでほしい。
日本中の人、世界中の人に読んでほしい。
それならば、まずタイトルは重要だ。
物語の導入部、それよりも前の読書の興味を引くタイトル。そう思って、頭に思い浮かんだのが、
「注目に値する文字の羅列」
だ。
さてさて、
“注目” “速報” “驚愕” “悲報” “必読” “お得” “有益”
などなど、情報の発信者は情報の受け手である一般人に少しでも興味を持ってもらうために、タイトルや見出しに”ラベル”を貼る。
この文章に書かれている有益な情報を知ることによってあなたの人生、生活がいい方向に進みますよ、という事を伝えるためだ。
ああああああああああああああああああああああああ
さて、という事で、
文章を書いて誰かに読んで貰うからには、この文書が読んだ誰かの益にならなくてはいけない。
もしこの文章が人々にとって何かしら有益なものとなるならば、拡散力を持って世に放たれるであろう。そうでないならば、残念ながらこの作品は僕が過去に書いた意味のない文字の羅列と同様に、広大なインターネットの情報の砂漠の中の奥底、闇の中で深い眠りにつくであろう。
偶然にこの文字の羅列をお読みになってくれた旅のお方、良くぞおいでなすって下さいました。
ここには僕とあなただけです。
しばらくの期間、どうぞゆっくりしていってください。
続く