LEVEL-74 ゴーレム伝説
キドメルにはこんな伝説があった。巨人に守られし堅固な要塞の町、その名もゴーレム伝説。その昔キドメルの町が出来立ての頃、この要塞の町は1体の巨人が守っていたというものである。
もちろん、その証拠は無いけれども、キドメルが出来た頃は町を守る為にモンスターを雇っていたのは、事実であり、ゴーレムと言うモンスターが過去にいたと言う記述が古い文献にはある。
しかしながら、合点がいかないのは、普通の人間の命令を魔王の手先であるゴーレムが聞くか?と言う事である。仮に言う事を聞いたとしても、いつ牙を向くか分からないモンスターを用心棒に使う事に何の恐怖は無かったのか?と言う部分が疑問として残る。それが、もしかすると人間とモンスターの和解プロセスとして用いる事が出来るヒントになるのかも知れない。
たかしは、ゴーレム伝説を聞きながらそう思った。だが、この話にはトリックがあった。ゴーレム自身が人間の命令を聞いていた訳ではなく、ゴーレムをキドメルの町の入り口で眠らせて障害物とした。しかしながらこれでは町への出入りすらままならないが、ゴーレムの横に人間だけが通れる扉があった。これにより、意図も簡単に堅固な町キドメルが完成出来上がった。モンスターをうまく利用した先人の知恵の勝利かもしれないが、もちろんこのゴーレムには悪気はない。
勇者にフルボッコにされるまでの数年間ではあったが、人間とモンスターが分かり合う事など出来ないと言う諦めの感情は湧いてきた。人間とモンスターでは、所詮住む世界が違うものであり、分かり合おうとは思わない方が、現実的な選択肢である事は確かであろう。
キドメルのゴーレム伝説は、人間とモンスターが分かり合う事など、不可能だと言う事を言っている様なものであり、理想論だけでは、平和に成らない事を表している。
「ゴーレムをどうやって眠らせたんだ?」
「睡眠魔法だろ?」
「100%効く訳じゃないだろ?」
「秘薬でも使ったか?」
「ま、いずれにせよ伝説だからな。」
「それに、勇者にフルボッコにされて、キドメルの要塞の町としての信頼感はかなり低下したのは言うまでもない。」
「鎖国が解かれたんだな。まぁいずれにせよ大魔王マーゾが現れてからは、勇者の為の宿場町としてしか利用価値が無くなってしまったからな。」
「もっと、強いモンスターを番犬にすべきだったよな?まぁ、もう何十年も前の話だからな。今更どうのこうの言っても意味はないけどな。」
と、ゴーレム伝説に苦言を呈するたかし達であった。




