番外編⑩ 伝説の勇者
ガルドアレフには、かつて王竜と言う魔王が支配していた時代があった。まだ魔法も武器も威力が低かった時代。勇者が使えた魔法は、中程度回復魔法や中程度火炎魔法が最高位だったと言う。その伝説の勇者の名前はロートと言う。彼の使っていた武器・防具はガルドアレフの各地にあると言う。
ロートは一人で王竜を倒したが、それは王竜が大魔王マーゾよりも数段ランクの低い魔王であったから出来た事であったのである。今たかし達が倒そうとしている大魔王マーゾがかつての勇者ロートでさえ倒せない様な強烈な存在である事は理解していなかった。
ロートは伝説の勇者だが、たかしはその伝説の勇者さえも越えようとしていたのである。人数こそ四人だが、たかしがロート越えを狙う事がたかしとしても、モチベーションになった。ガルドアレフに来て時間はあまり経っていなかったが、ダラトームでもバハームトでもロートの名を聞かない事は無かった。
王竜がいた時代は遥か昔だから、たかしとしてもいつまでも、昔の事に固執するなよと、言いたい所ではあったが、ガルドアレフ伝説の勇者ロート越えは、いつしかたかしの大きな目標になって行く。
ロート以上の勇者は出ないだろうと半ば諦めていた、ガルドアレフの民をギャフンと言わせたい、気持ちにもなった訳である。時代は違えど英雄と言うのは必ず出現する。つまらない虚栄心で己の行く道を曇らせては欲しくないし、そんな事は先輩勇者ロートも望んではいない。
それでも人間と言う者は浅はかな生き物であり、目の前の栄光に目がくらむものなのである。これから世界を救おうと言う英雄になろうとしている者が、その様なていたらくでは、先輩勇者ロートもあまり良くは思わないだろう。
「伝説の勇者ロートねぇ…。」
「本当に実在したのか?」
「いたんだろ。実際にダラトームに墓もあった。」
「そんなのいつの間に確認したんだよ?」
「君達はチェックが甘いからね。」
「たかしが余裕ぶっこいている時はろくな事がない。」
「ロートの剣や防具が見つかるといいな。」
「あ、それなら無理だよ?」
「何で?」
「ダラトームの宝物庫にあるって。」
「はぁ?じゃあそこ行けば良いじゃん?」
「簡単に言うな。バリアと結界でとても近づけないよ。」
「ダラトーム王に頼んでみたら?」
「それをする為に、こうしてガルドアレフの開拓を進めているんじゃないか?」
「大魔王マーゾを倒せば貰えるかもな。俺は旧勇者の装備なんか全く興味はないけどな。」
と、実は一番興味があるたかしであった。




