番外編⑦ 開かないトビラ
さいごのカギで開かないトビラが一つだけ存在するらしい。それは人の心のトビラだと言う。こればかりはさいごのカギでも開かない。人の心のトビラは、どんなに便利なカギでも空く事はない。
人の心のトビラは信頼する人にしか開けられない。例えそれが可能でも、人の心の中にズカズカと入って行くのはどうかと思うし、何よりも開けない方が良い場合も存在する訳である。
心のトビラをいつも開放している人もいれば、ちょっとした事で、閉じてしまう人もいる訳である。それは人によって千差万別であり、人それぞれ違うのは当たり前である。開かないトビラを無理矢理こじ開ける事が、いつも良い結果をもたらすとは限らない。触れるのもNGと言う敏感なものまである。
勇者であろうと、なかろうと、気持ちを考えずに開かないトビラを無理矢理こじ開ける事は、好ましい事ではない。トビラを開けたいなら、それなりの信頼関係を構築してからである。その見極めもしないうちから、ズカズカドカドカと踏み入れて欲しくはない領域に足を踏み入れるのはいかがなものか。
人ならば誰しも踏み入れて欲しくない領域の一つや二つあるだろう。トビラを全く開放していない人もいる。そう言う見極めは人間関係を崩さない様にする為には、基本中の基本であると言える。開かない事がいけないのではない。開かない理由を知りながら、勝手にトビラを開けようとしてしまう事が良くないのであり、きちんとぶをわきまえねばならない。
「そりゃあ、たかしお前が悪いよ。」
「んだな。」
「オイツォフの事を考えて言ったのかもしれないが、結果的にそれはたかしの好意が裏目に出た形になった。ってさ、お互いガキじゃねーんだし、もっとしっかり議論しろよ。」
「はぁ?何で私がたかしと?ダサダサ勇者たかしに恋なんかしないんだけど?」
「って言われてるぞ!たかし?お前の気持ちぶつけろよ。」
「オイツォフ!君が好きだ!俺と付き合ってくれ。」
「さいごのカギでも開かないトビラあるのね。」
「同じパーティーに恋なんか持ち込んでそれで全滅したら元も子も無いんじゃない?」
「まぁオイツォフ?そう頑なに拒否するって事は好意はお互いにある訳だ。違うか?」
「まぁ相手がたかしだしね。スペック的には申し分無いんだけど。どうも心がさ…。」
「何だよ!心なら俺いつでもオープンだぜ?」
「そう言う所。信じて良いの?」
「今更かよ?お互い思いあってんだから、付き合う位通過点じゃんか?」
「ダサダサ勇者たかしと私がね。まぁ良いわ。私の負けね。」
遂にオイツォフの心のトビラが開いた瞬間であった。




