LEVEL-17 シップ下さいな!
衣替えをはかったたかし達は、マーダ神殿より先に進む為には船が必要な事を知る。世界広と言えど、船を持つ王様はそうはいない。
足で稼いだ情報によると、黒胡椒の件で世話になったボルトガ国王のソルトフェルタ14世が船を持つ事を、知った。確かにボルトガの造船業は盛んで、国を上げて造船、貿易を生業としている。
もし仮に船を購入するとなれば、黒胡椒等の比ではない大量の資金が必要になってくる。10人乗りの汎用木造船(3000トン余り)で、50万ゴールド位は必要だと言う。勿論、そんな大金をたかし達が持っているはずもなく、運良く貰えないかと、考えていたが、そんな虫の良い話はなく、いくら黒胡椒の件で世話になったとは言え、シップを下さいと言って、湿布ですか?とボケられるほど親しい間柄でもない。
ここは一度エリアハンに一度帰省してエリアハン王の助言を得る事にする。ドルーラ(瞬間移動魔法)で、エリアハンへ。何て便利な魔法なんだ?
宿代を浮かすためいつものように実家に帰省しパーティーのメンツを休ませたたかしは、一人エリアハン王の元へ向かう。変わり果てたパーティーを見て心臓発作を起こされては困るため、単身エリアハン王に謁見した。
「たかしか、よくぞ戻った。して、冒険の方はどうなっておる?」
「実は船を購入せねばならず、大金が必要な状況でして。」
「船か…。」
そう言うと、たかしとエリアハン王に右大臣の三者会談が30分程続いた。その結果、エリアハン王直筆のソルトフェルタ14世に向けた書状が、たかしに渡された。世界平和の為に貴殿閣下の船を勇者一行に渡して欲しいと言う趣旨の内容が書かれた文であった。
こんな、ド田舎の国王の書状一枚で船が貰えるはずはないと思っていたたかしであったが、50万ゴールドを自力で貯めると言う選択肢よりはマシな随分と現実的な方法だと感じていた。しかし、たかしは思う。この書状が駄目ならどうすれば良いのか?マーダ神殿周辺で戦闘して得られるゴールドは多くて200ゴールド位。つまり2万5千回も戦闘しなくてはならない。おかしくなりそうな数字であるが、レベル上げにもなるし、悪い事ばかりではないが、既にリュラプスやオイツォフが賢者として戦力に成りつつあった為、船を手に入れ、先に進みたいたかし達であった。
「なぁ、たかし?船を手に入れたいなら値切って貰えば良いじゃん?」
「パーティーに二人も賢者がいるのに策はそれしか浮かばねーのか?とりあえず、エリアハン王の書状にかけてみようぜ?それに俺達が勇者のパーティーである事を理解して貰えば何とかなるだろ?」
「ワンチャン、それにかけてみようぜ!」
「そうだな。って言うか、ゴパンは戦士に成りたいんじゃなかったっけ?」
「オラ、やっぱ転職するのやめる。これまでの経験値を無駄には出来ない。それに武道家も案外悪くないなって思っているよ。」
「そうか。分かった。」