LEVEL-12 高価な調味料
ボルトガと言う国へ辿り着くのは、ここまで旅をしてきたたかし達にとっては雑作もない事であった。ホビットからの書状を見せると、ソルトフェルタ14世は、超高価な調味料である黒胡椒をこれでもかと渡してくれた。
たかし達は城の中をくまなく物色したがこれといったものはなかった。ところでこの黒胡椒がどれくらい希少な代物であるか気になった人は多いだろう。基準となるのは薬草8ゴールド、毒消し草10ゴールド、エリアハンの宿代一人2ゴールド、とする。
黒胡椒は一粒800ゴールドと言うから一粒を25グラムと仮定した場合、100グラムで3200ゴールド(黒胡椒4粒)、1㎏で32000ゴールドと言うとんでもなく高い代物である。ちなみに、3200ゴールド(黒胡椒4粒)で薬草を400個、毒消し草は320個、エリアハンには400日泊まれる。
これで分かって貰えただろうか?この黒胡椒のエクスペンドぶりが。たかし達はこの超高価な調味料を誰の口に運ばれるのかも分からないまま、ホビットの待つ洞窟に持って返った。
「割りと早かったじゃないか?」
「ボルトガの王様から聞いたんですが、これ相当高いらしいですよ?」
「馬鹿だな、んな事はバイヤーの俺が知らないはず無いだろ?」
「で、勿論報酬はあるんですよね?」
「まぁ、待て。その前に現物を確かめなくちゃな。鼻くそにすり替えられてはかなわん。」
「あんた、随分と疑い深いホビットだな?これはソルトフェルタ14世から…。」
「やるじゃねぇか?この黒胡椒はマジもんだな。この香りは間違いないな。」
「で、報酬は?」
「ここを通してやる。それでOKだろ?」
「え?それだけ?」
「他にお前らにやるもんはねーよ。」
「けちくさいホビットに捕まったが運の尽きか…。」
「あ、そうだ!これで良ければやるよ。つい先日拾った腕輪なんだけど…。」
「こ、これは!?ほしふる腕輪!!」
「何だ?そんな貴重なものなのか?よく分からんがやるよ。」
「この腕輪を貰えたなら、割に合うかも知れないな。本当に良いんだな?貰っても?」
「俺が持ってても意味ないからな。まぁ、これでとんとんだな。」
たかしは、ほしふる腕輪をゴパンの右腕に装備させた。ほしふる腕輪の効果は素早さ2倍であるから、スピードに難のあったゴパンはこの装備のお陰でサイヤ人級の素早さを手に入れていたのであった。最もほしふる腕輪はピラミッドで見つかるはずの品であった為、何故このホビットが持っていたのかは、理解に乏しい所ではあった。