LEVEL-11 幻の爪
ゴパンの要望もあって、クリアしたピラミッドに再潜入したたかし達は、地下を探索する事にした。黄金の爪が目当てなのだが、見つけるのはそう難しい事では無かった。
大変だったのは、黄金の爪を手に入れてからであった。何せ一歩踏み出す度にミイラ系モンスターや強力なシャドーが行く手を塞いでいたからであった。
しかも、ピラミッドの地下は魔法が全く使えない特殊な場所で、覚えたてのダンジョン脱出魔法レリミトも何も使えない。確かに黄金の爪は威力はあるが、これではミイラ取りがミイラになりかねない。
「たかし?オラこの武器戻すぜ。」
「いいのか?武道家最強の装備と言われているが?」
「ピラミッドから出られないんじゃ話にならないだろ?」
「まぁ、そうだけどよ。」
ピラミッドの奥深くにゴパンは黄金の爪を砂の中に放った。最強の爪でも呪われている武器ではこの先パーティーに迷惑をかけてしまう。何より手持ちの回復魔法が使えないのは致命的であった。勇気のいる決断ではあったが、リスクの方が大きい為、ゴパンの選択も致し方無いだろうと、たかしは思った。
「大丈夫。ゴパンなら黄金の爪なんか無くても、メタルはぐれを改心の一撃で倒すことは出来るよ。」
たかし達はとにかく急いでピラミッドを脱出した。だが、行く手を阻まれた。ピラミッド内にいたホビットがブラックペッパーと言う香辛料を持って来いと要求して来たのである。ボルトガと言う国の王様宛に書状を書いたから、とりあえずそれを見せれば大丈夫。だと言われて、マロリアの西の先にあると言う辺境の国を目指す事になった。
ピラミッド内で宝探しをしていたと思えば、次はホビットの使いをしている。こんなことをしていて、自分達が世界を救えると言う自信は全く無かった。
「まさか、黄金の爪が呪われてるとはな。」
「ゴパン、計算違いだったな。」
「幻の爪になったな。」
「とは言え、ゴパンもこのまま鉄の爪って訳にはいかないしな?」
「そう言えば、世界のどこかにはオリハルコンと言う希少鉱物で出来た最強の爪があるらしいぜ?」
「へぇ、リュラプス博識じゃん。」
「魔王を倒すまでには手に入れて欲しいな。」
「そんな事よりたかし?ボルトガ行くんでしょ?ブラックペッパーを手に入れてる為に。」
「仕方ないだろ?先に進む為には。」
「って言うか、マロリアの西って関所無かったっけ?」
「この書状があれば行けるだろ?」
「なるほど。頭さえてるねリュラプス!」
「じゃあ、とりあえず今日はシイスに1泊して…。」
「って言うか、たかしのドルーラ(瞬間移動魔法)でマロリア城まで行って、マロリアの城下町で1泊すれば良いじゃん?」
「なるほど。じゃあそうしますか。」
「決まりだな。」