LEVEL-98 4人のその後①
リュラプスはパーティーの解散後、エリアハンを出てボルトガに巨大な魔法学校を設立して後身の指導にあたった。勇者一行の中でも強力な魔法の使い手として活躍したリュラプスの夢は魔法で世界を救える若者を育成する事であった。大魔王マーゾは消滅したが、より強力な敵が今後現れる可能性だって0ではないはずである。
リュラプスは己の得た経験からマジックアカデミーの設立を決めた。もし、魔法を教えてくれる場所があったならば、もっとたかしの手助けを充分に出来たと。残念ながら魔法は万能ではない。それでも、間接的にでも目的を達成する為に役に立つものであると、リュラプスは自信を持っていた。例え微力たるものであっても、魔法無しでは全ての目的を達成するパーティーなど存在しない。リュラプスらしいセカンドライフであった。リュラプスの人生は最後まで魔法onlyだった。
妻子の元へ戻ったゴパンは、その後己の強さを極めるのと子育てを両立する為、二人の息子を連れて武者修行に出る。妻は反対したが、ゴパンの強さへの挑戦を止める事は出来なかった。これは後に超人タクティカル流と言う武術の会派として全世界の武道家ならば身に付けておきたい流派として世に広まる事になる。この武者修行の旅こそがその原点であった。ゴパンが初代師範。二人の息子も師範となり、一族にそれが伝承されていく事になる。
ゴパンは魔法を一切使えなかったが、己の腕っぷしだけでたかしの手助けをした。武道家と言う職業柄、それは仕方の無い事なのかも知れない。しかし、ゴパンがパーティーにいなければ、恐らくたかし達は大魔王マーゾを倒せていなかったかも知れない。その位パーティーの中でのゴパンの影響力は小さくなかった。ゴパンは超人タクティカル流を通して、己の武術を後世に残す事にした。その選択は後世の武道家にとっても幸せな選択であっただろう。
「よ!」
「ゴパン?」
「ちょっと近くを通ったもんだから顔出そうかなって思ってさ。」
「元気そうだな?」
「リュラプスこそ、マジックアカデミー何てこさえてビジネスマンじゃねーか。」
「経営者ね。」
「オイツォフにフラれて一時はどうなるか心配したが、それはもう気にしてないみたいだな?」
「今は恋をしようとは思って無いよ。」
「まぁ、リュラプスなら大丈夫だな。」
「ゴパンも頑張れよ!」
「んじゃ!」
こうしてゴパンとリュラプスは幸せな人生を選択した。それを知ったたかしは嬉しく思った。