表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/120

LEVEL-96 つかみとった未来

「ぐわぁぁあー!!」

大魔王マーゾは皆デインをくらうと、その場に倒れ込んだ。もう立ち上がる事は無いだろう。たかし達は全力を尽くした。もう体力も魔法力も限界であった。マーゾを倒した瞬間勇者たかしの闘いは幕を閉じたのである。つかみとった未来が世の中の人間に平和をもたらした。ガルドアレフの闇に包まれていた空は、いつの間にか青く澄み渡っていた。


「これで終わった…んだよな?きっと。」

「あぁ、胸を張って故郷に帰れるよ。俺達は勝った!」

「もう、私魔法使わなくて良いのね?やった!」

「さてと、可愛い息子と娘に再会するべかさってな!」


大魔王マーゾは最後までその強大な力を誇示し続けた。それを打ち破ったのはたかし達パーティーの実力だ。いや、理論的にはパーティーの実力だけではなく、他の何かが作用したから勝てた。平和を祈る人々の想いや願いが、物理的な理屈を越えた。と考えるのが自然だろう。


いずれにしても、たかし達はよくやった。強大な大魔王マーゾを前にしても、臆する事なく立ち向かっていった。自分達がこれまでに積み重ねて来たものを遺憾無く発揮したのである。たかしは思う。大魔王マーゾも本来ならばガルドアレフの只の一市民にあるはずであった。


しかし、運命の女神はマーゾがそのありきたりな一般人の道を歩む事を許さなかった。そう考えると、不思議とマーゾには同情の念が沸き起こってくる。正直な所はそうだったのかもしれない。ただ、それだけがむなしかった。人間としての平凡な幸せをつかみとれなかったマーゾを、その呪いのチェーンから引き剥がせた事だけが、たかしの心に立ち込めていた暗雲を振り払っていたのである。


勇者として戦ってきたが、一歩間違えばマーゾの様になっていたかもしれない。たかしは、自分が魔王を倒した。その実感が込み上げて来た。さぁ、戻ろうよ。故郷へ。戦いは終わった。


「たかし、そろそろキングダムオブマーゾから出ようぜ?」

「あぁ、ちょっと先行ってて。」

「お、おう。」

と言うと持っていた聖水をマーゾの体にかけてやった。

「成仏しろよ?マーゾ。そして来世では人として幸せになれ。」

「ごめんごめん。待たせたな。」

「成仏してくれると良いな。」

「見てたのかよ?」

「たかしのやりそうな事だしな。どれだけ同じ時間を共有していると思うのかよ」

「それは一理ある。マーゾが浮かばれればそれで良い。」

「どこまでもお人好しだね。まぁ、それがたかしの魅力なんだけどね。」


こうして、たかし達の闘いは終わった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ