LEVEL-91 いてつくはどう
大魔王マーゾの攻撃で厄介なのは息攻撃だけではない。いてつくはどうは、戦いを長期化させる要因の中でも群を抜いて高いものであった。いてつくはどうをかけられると、全ての魔法効果が無効になってしまう。
例えば攻撃力上昇魔法や守備力上昇魔法。あるいは敵守備下降魔法。と言った補助魔法や効果持続系の全ての魔法がリセットされてしまう。対策は何も無い。
いてつくはどうをかけられたら、また1から補助魔法やその他アビリティ上昇魔法をかけ直すしかない。歴戦の勇者であるたかし達でも、補助魔法無しに戦って勝てる可能性は低い。流石にラスボスと言う事もあってか簡単には勝たせてくれない。
しかも、大魔王マーゾは1ターンに2回行動出来る。いてつくはどうをかけられ、かがやくいきを吐かれると一気に大ダメージである。もちろんマーゾ自身にかかっている魔法効果も無くなるが、マーゾの場合魔法等無くても充分に強い。
化け物じみた強さのマーゾにとっていてつくはどうは、こざかしい人間どものこざかしいテクニックを防ぐ為のものであり、自らの勝利を引き寄せる為の技である。もちろんマーゾは敗北の経験など無いし、自分自身が戦うまでもなく配下のバラーモスやバラーモスゾンビ等で侵入者を追い払っていた。
だからと言って、マーゾ自身の戦いの勘が失われる事は無かった。強すぎるが故の孤独、とでも言えば良いのであろうか?マーゾは向かってくるたかし達を物凄く新鮮に感じていた。今までは全力を出す事はおろか長時間持ちこたえられた猛者もいなかったからだ。無論、負けるつもりはない。今まで培って来た強さを出せば確実に勝てると思っていた。がしかし、マーゾは今たかし達の力を目の当たりにし、初めて負けるかもしれない。と言う想いが胸の中に浮かんで来ているのであった。
「いてつくはどう、マジウゼぇ。」
「1ターン2アクションは初めてのパターンだな。」
「これで回復魔法使えたら、俺達負け確実じゃん。」
「ひたむきに激しく、みんなファイトだよ!後もう少しだから。」
「そ、そうだな。いてつくはどうは凄い技だけど、俺達負けらんねーからな。」
「諦めたらそこで終わりだよ!」
オイツォフの励ましで何とかお互いに戦意を失わずにいれたが、ゴパンが回復に回ってる現状では、たかしのダイレクトアタックにしか望みを託せずにいた。
「これは手強いな。いてつくはどうも含めて。」
「大丈夫。チャンスは必ず来る。」
「だな。」