LEVEL-87 ケタ違い
「ようやく、ここまで来たな。さっさとやっつけてうちに帰ろう。」
すると、現れたのはマントをまとった巨大な黒衣の大賢者であった。
「お前が大魔王マーゾか?」
「いかにも、ワシがマーゾだ。」
「あなたを倒さないと平和にはならないのね?」
「まぁ、そうだな。」
「おめぇは一体何がしてぇんだ?」
「人間ごときには分かるまい。」
マーゾはパット見た感じではそこまでの強さを感じる事は無かった。しかし、マントの内側から感じるそのオーラはただならぬものがあった。
「人間のくせにお前達は色々と腕が立つ様だな。バラーモスの様なレベルの低いモンスターに地上を任せていたのはワシのミスかもしれない。しかし、ネズミ退治は今ここできちんとする必要がある。さもなければモンスター軍団による魔の楽園は完成しないであろう。何が気にくわないか?そんな事は簡単な事だ。人間ばかりがどうしてこうも優遇されてしまうのであろうか?それを打ち壊す為に精霊ルビスの長きに渡る眠り(封印)から私は不死鳥の如く甦って来た。勇者の一味がこそこそと活動を始めていた事は知っていた。しかし、私はあえて泳がせた。よく成長していないお前達を食った所で成熟したあの最高級肉のような深い味わいは無い。今こうして泳がせた勇者一行が、私を倒す為にここまでやって来た。ならばここでワシがケタ違いの強さを見せつけてお前達を倒す事で、憎きルビスの野郎にも挑戦状を叩きつけられると言うものだ。ルビスの寄越した手下など、大した事は無かったぞとな!住む世界が違うと言う事を教えてやる。準備は良いか?」
すると、大魔王マーゾは襲いかかってきた。たかし達は今まで経験した事の無い強力なブレス攻撃や魔法のオンパレードに始めのうちは戸惑った。ん…。何か忘れてはいないだろうか?たかしはその様な気持ちでマーゾの猛攻撃に耐えていた。ん?そうか!あれを使っていなかったのか?たかしはひらめいた。
「マーゾくそ強いんだけど?」
「大丈夫。有効打はあるから。」
「ホントかよ?ならさっさとしねぇと、こっちの体力が持たねーんだけど?」
「今は苦しいかもしれないけど、絶対形勢逆転するから。」
「あー、あれか。出し惜しみしてねーで使えよ。闇の衣をはがさないことには、こっちの攻撃も魔法も全く効かない。ルビス様の仰ってた通りだ。」
「確かにケタ違いだわこの強さは。」
たかし達は闇の衣をまとった無敵の大魔王マーゾの前に手も足も出なかった。