番外編⑮オルタナの物語①
たかしの父オルタナに関するストーリーをご紹介したい。
オルタナはエリアハンの貧しい商人の子として生まれた。子供の頃から腕っぷしが強く、力自慢でならしていた。5人兄弟の長男として生まれたオルタナは、親の後を継いで商人になるつもりだった。
しかし、オルタナが16歳の時、悲劇が起きる。エリアハンの悲劇と後に呼ばれるのだが、事件が起きたのである。エリアハンの城下町に2体のデスストーカーが侵入。エリアハン王国警備隊の発見が遅れ住民30人以上が死傷した。その犠牲者の中にはオルタナの兄弟と母ユリアスもいた。
オルタナはもし自分に力があれぱデスストーカーなど撃退出来たと後悔した。その時初めて勇者になって世界を平和にする事を目標にし始める。勿論、残された家族は危険だとオルタナを止めた。しかし、オルタナは家族を説得し、そこまでの覚悟があるならと父の許しを取り付けオルタナ一人でエリアハンを旅立った。
仲間を設けずに旅を始めたのは己の高いプライドのせいであった。魔王バラーモスも一人なのだから、自分だって一人で大丈夫だろう。オルタナは必要な魔法は全て自分で契約して使える様にした。そしてレベルが上昇して地上のどんな敵にも勝てるようになる頃には勇者として一人前で本当に何でも出来る万能の勇者になっていた。はずだった。一人では到底バラーモスを倒せずギアガの大穴に先に飛び込んでしまい、ガルドアレフに迷い混んでからは、常に死と隣り合わせであった。
たかし達はバラーモスを倒してからガルドアレフを旅した為に、それほどガルドアレフのモンスターに苦労はしていなかった。だが、大魔王マーゾの影響力がダイレクトに及んでいたガルドアレフのモンスターは単純に強かった。オルタナはその強力なモンスターを一人で倒す事で、どんどん強力になっていた。しかし、一人で行き着けるのはその辺りが限界であった。
「ちょちょい待てよ?親父さん仲間いたんじゃねーの?」
「いるにはいたんだけど、本当にヤバい時だけ力を借りていたみたいだよ?」
「じゃあバラーモスだって普通に倒せるだろ?俺達だって楽勝だったんだぜ?何で親父さんはバラーモスをスルーしたんだ?」
「ガルドアレフの大魔王マーゾを倒せば自然と地上の魔王バラーモスも消えると思ったんじゃないのかな?」
「今のたかしの話だと、バラーモスをスルーしたのは単純に強かった勝てなかったって訳じゃ無さそうだな。」
「その辺りの事情は親父しか分からないけどね。」
と、勝手にオルタナの辿った軌跡を妄想するたかし達であった。