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ズッ友宣言をしてきたお隣さんから時々優しさが運ばれてくる件  作者: 遥風 かずら


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35.思わぬ味方確保!?

「あああ……こういうことされるの、真面目に困る」


 月田が強制的に帰された直後、俺の両隣にいる花本と野上がここぞとばかりに体を密着させ、身動きの取れない俺の体を二人同時に触ってきた。


 特に花本の手の動きが非常に危なく、急所である股間に手を近づけてあわよくばの動きをわざと見せつけてくる。


「な~に真面目ぶってんの? 栗城ってスケベ野郎じゃん? そういうの隠そうとしてもバレてるんだけど?」


 そんな俺の抵抗に対し、野上の容赦ない言葉で反論された。


「そうそう。栗城っちがエロい奴で変態でストーカー野郎でってこと、クラスの女子たちに知られてるし。でも、そんな栗城っちでも受け入れるし! だから抵抗すんなし!」


 そうかと思えば、元々俺に好意を寄せていた花本が野上とは違うと言わんばかりの誘い文句で俺の動きを封じてくる。


 この場合、下手に抵抗して手を出すと俺だけが損をするし敵が敵のままで進行してしまう。そうなると秋稲の作戦が上手くいかなくなるし、俺の間違った噂がいつまでも解消されない。


 となると、野上はともかく花本の好意だけでも素直に受け入れる必要がある。


「……分かったよ。()()何もしない。気が済むまで好きにしてくれ」


 俺から手さえ出さなければ問題にはならない――そう思っていたが。


「へぇ……? そう出るんだ? のの、()()()の態度見る限りやってないぽいけど、あたしらはどっち側につく?」


 こいつ呼ばわりとか、花本って俺に好意持ってたんじゃなかったのか?


「……気に入らないのは変わらない。でも、あいつの言うことを信じて動いたわたしらってなにもされてなくない? ちっとも連絡くれないし、約束とか守らない。この際さ、こいつに言うこと聞かせてあいつを貶めるとかよくない?」

「それいいかも。じゃあ、こいつはあたしが貰うけどいいよね?」

「芽衣がそうしたいならいいんじゃない?」


 ……何やら俺の存在が二人の間で抹消されているような。しかし、話の内容的にいい方向に変わりそうな気も。


「えーと? 俺に何もしない方向になった……とか?」


 俺がそう言うと二人は軽く微笑して、


「栗城っちは今からあたしのものって決まったから! だから、笹倉秋稲なんかと付き合うとかナシ!」

「えええっ!? え、それって……いや、でも俺と笹倉はそんなんじゃ……」

「あーはいはい、全部バレてるんで。わたしらがずっと大人しくしてる間に笹倉としょっちゅう会ってることくらい知ってるんで!」

「いや、だからそれはあくまで友達としてで……」


 いい方向どころか俺と花本が付き合う方にいってしまった。このままだと秋稲との関係が全然不利なものになるのでは。


 でも、多分花本も本気じゃないだろうし素直に返事をしておくのが良さそうだ。


「……でもまぁ、俺の意思に関係なく花本自身がそうしたいなら俺は……」


 そうすれば流れが変わるはず。


「言っとくけど、最初からあたしはそのつもり。あたしと違ってののは幸多のこと、好きじゃないけどね。でもあたしはズッ友で済ませる誰かさんと違うから」


 ……つまり、秋稲と違って誤魔化さないって意味か。


 花本が俺に対し本気表明をしたところで野上だけ立ち上がり、俺と花本から離れたところに移動した。


 そのまま向かい合う形となって、俺に向けて何らかの話をするらしい。


「栗城じゃなくて、優生が()()なんだろ?」


 あ、村尾のことか。


「俺じゃなくてあいつ……村尾が笹倉につきまとっていた。それ自体、野上たちが協力してたんだろ?」

「は? わたしらが見てたのは、笹倉秋稲の靴箱に細工するところまで。あいつがストーカー行為するところまでは知らない。興味もない」

「そそ。あたしたちはさ~幸多が笹倉に付きまとってる~って嘘を広めることだけ頼まれただけだし。その後、全然だし。いい気になってるしムカつくんだよね~」


 この口ぶりからすると――村尾を懲らしめたいって思ってる?


「幸多っちはあたしのものだし、こうなったら一緒に懲らしめることになるけど、やるよね?」

「つまり、俺の噂を無かったことにするって意味?」

「ごめ~ん、それは無理。噂はそのうちなくなるまで放置で! 安心していいよ? クラスの一部女子だけだし。男子とか知らないし、可織ちゃんにもバレてないから」


 可織ちゃん先生と安原にはすでに知られてるけどな。


「懲らしめるってのは?」

「優生は今、牧田千冬に夢中。だから、真相を牧田にばらす。そうすれば優生を味方する女子はいなくなる。で、わたしらは何もしない」

「そういうこと~。あたしと幸多は黙って見るだけ。村尾だけぼっちにさせて、あたしと幸多の関係を見せつける~!」

「そ、そういうふうになるんだ……」


 俺の気持ちは花本にない。でも、今は花本の興味が俺に向けられている間だけでも彼女たちに味方になってもらわないと。


「文句は?」

「な、ないよ。その、花本たちと一緒にやるよ」

「芽衣っちでいいよ。通路の隣だけど、もう()()()()仲だし。とりあえず明日からヨロ~」


 思わぬ形で味方を得られた――のか?


「今日は何もしないけど、そのうちやるつもりだからそのつもりで!」


 ……今だけでも俺の気持ちを無視して進めなければ。

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