表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブキャラとして無難にやり過ごしたい  作者: 天原 重音
軌道衛星基地にて 西暦3147年8月
51/191

尋ね人と意外(?)な人

 保管区を出て、三人で隊舎食堂に向かっている途中。

 佐々木中佐と井上中佐の中佐コンビと遭遇した。

 どうしたんだろうと思っていたら、一昨日の乱入者達について、松永大佐に聞きに来たらしい。

「あの六人に関しては全て終わっている。支部長の手からも離れている」

 でも中佐コンビは、松永大佐の端的な言葉で全てを察したのか、腑に落ちたと言った顔で『そうですか』とだけ呟いた。

 そのまま五人で食堂に向かうが、不意に感じた敵意に思わず足を止めそうになった。一昨日から二度目だ。少し考えて、鞄を置きに部屋に戻ると言って離れようとしたが、松永大佐に首根っこを掴まれた。

「星崎。逃げずに、正直に話せ」

「もしかして、『また』か?」

「……そうっぽいです」

 飯島大佐の勘は今日も絶好調だな。諦めて『そうだ』と肯定すると、大佐コンビは嫌悪を隠さずに露わにした。

「今日は誰でしょうね」

「誰だろうがどうでも良い。松永じゃなくて、支部長に抗議しろって話だな」

『また』が何の事だか分らなかった中佐コンビも、大佐コンビの会話から何の事だか理解したのか、表情を険しくした。

「俺と松永が先に入る。佐々木と井上はこいつを隠せ。星崎に会わせない方が良い奴らだったら合図する。合図するような奴らだったら、星崎は部屋に戻れ」

「ついでに施錠もして、シャワールームに引き籠れ」

「分かりました」

 歩きながら、簡単な打ち合わせを行う。食堂に到着すると、大佐コンビが先に入った。同時に、自分は中佐コンビの間に移動して、中から見えない位置に立つ。

「おや。これまた珍しい」

「高橋と、お目付け役二名か。確かに珍しいな」

「何が珍しいんだ? 午前中、お前らに何度も連絡入れたのに無視しやがって」

 ドアが開いたままなので、会話が聞こえて来る。やって来たのは三人だったか。ちらりと、中佐コンビを見ると表情がちょっと険しい。黙ったまま会話を聞く。

「それは失礼。午前中は飯島大佐共々保管区に行っていました。ですが、手持ちの通信機に転送されていませんね」

「俺の方も転送にしているが、確かに通信機は一度も鳴らなかったな」

 自分も記憶を探ったが、大佐コンビが通信機を使っているところは見ていない。

「……メールを送った」

「おい。メールの返事がすぐに返って来る訳ないだろ。最低でも、夕方まで待てよ」

「そうですね。遂に一般常識までもが抜け落ちたのですか?」

 千年経ってもこの辺は一般常識なんだ。素直に感心した。そして、松永大佐が普段以上に辛辣だ。

「抜けてねぇよ! 大体、メールを送ったのは昨日だ!」

「……昨日? メールは毎日チェックしています。今朝もチェックしましたが、高橋大佐からのメールは無かったですね」

 松永大佐は今朝、支部長から指示を受けたと言っていた。その指示が通信かメールかは知らないけど、どちらにしろメールが受信されていたら気づくな。

「はぁっ!? ちゃんと送ったぞ!」

「メールアドレスが合っているか、確認は行いましたか?」

「…………していない」

 長めの沈黙を挟み、高橋大佐は回答した。大佐コンビにメールが届いていない以上、誤送信した可能性が急浮上。どうして使いこなせていないんだろう。

「おい、機械音痴。何でお前は、戦闘機の操縦が出来て、メールが使いこなせないんだ?」

「本当に謎ですね」

「うるせぇ……」

 大佐コンビだけでなく、中佐コンビも自分と同じ事を思ったらしい。中佐コンビは神妙な顔をして頷いている。これは誤送信を受けた顔だな。

「不貞腐れるな。んで、何しに来たんだ?」

 大佐三名で呆れる会話が続き、やっと本題に入った。室内には三人いる筈なのに、喋っているのは高橋大佐だけだ。

「錦戸准将とその部下が何かやらかしたって聞いた。何をやらかしたんだ?」

 中佐コンビと同じく、一昨日の事について尋ねに来た模様。そんなに広まっているのか?

「部下の方はここにまで乗り込んで来た。錦戸准将は支部長に『松永に非が有る』ように報告をした」

「錦戸准将って、先代上層部派だったよな? あの野郎、そこまで馬鹿だったか」

 中佐コンビ同様に、簡単な説明で終わった。高橋大佐は飯島大佐の回答で納得したのか、それ以上何も言わなかった。

「どうだろうな」

「私も知りません。用件はそれだけですか?」

 質問が終わったかと思ったが、高橋大佐の答えは否だった。

「いや。ガーベラで何か新しい事やっているって聞いた。何やってんだ?」

「それこそ支部長に聞けよ」

「支部長には聞いた。そしたら、松永に聞けって言われたんだ」

 支部長、松永大佐に丸投げしてどうする気なんですか。飯島大佐も自分と同じ事を思ったらしく、松永大佐に尋ねていた。

「どうすんだ?」

「佐久間支部長が、本当にそう仰ったのならば、情報を開示しても良いでしょう」

「俺の信用は無いのか?」

「報告ついでに許可を取り、おまけで確認も取ります」

「おう、松永。『ついで』と『おまけ』の内容を入れ替えろ」

「おや? 私からの信用が欲しいのなら、『忘れなかったら尋ねる』程度の扱いでも我慢出来ますよね?」

「相っ変わらずのひん曲がった性格だな!」

「確認を取るのは基本中の基本です」

「良い笑顔で言うんじゃねぇっ! 俺への当て付けか!」

 松永大佐と飯島大佐は廊下にまで下がり、食堂から出てドアを閉める事で、高橋大佐からの追加の苦情を遮断した。

 中佐コンビと共に、これからどうするのか大佐コンビを見ると、松永大佐に右の二の腕を掴まれた。そのまま歩き出した松永大佐に引っ張られた。大人しくついて歩く。残された三人は慌ててついて来た。無言のまま自分の腕を引っ張って歩く松永大佐を見上げる。

 少し歩いて考えがある程度纏まったのか。松永大佐は徐に口を開いた。

「星崎は部屋に戻って待機していろ。一時間後に隊長室に来い」

「え? あ、はい」

「それと、午後の予定は支部長の判断次第で変わる可能性が出て来た。どうなるか分からん」

「分かりました。部屋に戻ります」

 状況がさっぱり分からんが、命令なので取り敢えず了解を返した。

 そのまま隊長室前で別れて、一人部屋に戻った。

 施錠してから、少し考えてドアの前に椅子を運んで横にして置く。四本足の椅子なので持ち上げた。背凭れをドア側にする事も忘れない。椅子の足では躓くだけになるかもしれないから、背凭れでドアの下の壁にしよう。これですっ転んだら面白いんだけど、こんなアホなトラップに引っ掛かる事は無いよね? 面白い動画が取れるかも知れないから、スマホを録画状態でセットして置こう。充電中の状態に見えるようにして置けば気づかないだろう。ついでにアラームもセット。鞄は机の上に置く。

「さーて、シャワー浴びるか」

 実はパワードスーツで二時間以上もぶっ通しで作業して汗を掻いてしまった。丁度良く時間が出来たので汗を流そう。対策も済んだ事だし。

 脱衣場に入り鍵を掛ける。衣類を脱いでシャワールームに入り、やや熱めのシャワーを浴びる。

 ……午後はどうなるんだろう。

 どうせなら保管区で作業を進めたい。十月に何の予定が存在するのか未だに不明だが、何かしらの備えだけはしたい。

 シャワールームから出て、バスタオルを使い脱衣場で全身を拭く。魔法で髪をしっとり程度に乾かし、クリップを使って一つに纏めて衣類に手を伸ばす。

「ん?」

 ドアの向こうから、重いものを床に落としたような音が響いた。念の為の対策に、引っ掛かった人間が出た。

「マジで? トラップに引っ掛かった奴が出現したの!?」

 スマホの映像が見たい。どんな風に引っ掛かったんだろう。ドタドタと、走る音が聞こえる。誰だろうね。言い合う声も聞こえて来る。

 手早く服を着こんで髪を梳かし、制服に乱れが無い事を確認してから鍵を開けて部屋に戻る。

「あれ? 誰もいない」

 部屋は無人だった。ただし、椅子は元の位置から少し移動している。

 椅子を起こして定位置に戻し、録画状態のスマホを手に取る。スマホを操作して、映像を一度保存をしてから再生する。

 十分ぐらいが経過した頃、複数人が話し合う声が聞こえて来た。

 数分後、施錠した筈のドアが開いていかにも『軍人』って感じのベリーショートヘアーの男性兵士が姿を現した。置いて在った椅子に気づかず足を取られて、顔面から床にダイブ。そのまま少し滑る。

 スゲェ。コントのお手本のような見事な顔面ダイブだ。すぐに起き上がらないところが素晴らしい。

 感心していたら松永大佐が現れて、室内の惨状を見て目元を片手で覆った。少し遅れて飯島大佐も現れて、松永大佐と同じ行動を取った。

 床にダイブした男性兵士が漸く起き上がったが、大佐コンビに肩を掴まれそのままどこかに連れて行かれた。

 これ以降の映像に変化は無い。ここで終わりだ。

 自分がシャワールームから出て来たところや、椅子を元の位置に戻しているところが映っているけどどうでも良いな。

 映像を終了させて、アラームが鳴るまでの残り時間を見る。二十分程度だ。

 鞄に入れていたショートブレッドを入れたジップロック袋を取り出し、袋から何個か取って食べる。現在時刻は十二時半ば頃。何か食べないと空腹でそろそろお腹が鳴る。現にショートブレッドを一つ咀嚼したら、お腹が鳴った。

 冷蔵庫から隊舎休憩室の自販機で購入した、少量が残る飲み掛けの炭酸ジュースのペットボトルを取り出す。

「ぷはぁ~」

 飲み干したらペットボトルはごみ箱へ捨てる。これで暫くはお腹は鳴らないだろう。

 空腹対策をしていると、ドア横のパネルから、この部屋に来て初めて電子音が鳴った。

 待たせてはいけないので急いで近づき、パネルのボタンを操作し音声通信を繋ぐと、スピーカーから声が漏れた。

『星崎。松永だ。少し早いが、隊長室に来い』

「? 分かりました。直ちに向かいます」

 松永大佐からの通信は、自分が応答を返したら即座に切れた。

 何の用事か不明だが、脱衣場の鏡で一度己の姿をチェックし、スマホをポケットに入れてから部屋を出る。施錠も忘れない。呼ばれた理由を考えながら徒歩で隊長室に向かう。

 やっぱり、椅子の一件かな? それしかないよね。施錠したのに入って来たから向こうが悪いんだが、多分、事情聴取で呼ばれたのだろう。

 適当に当たりを付けて、到着した隊長室のドア横のパネルを操作する。

 今の時代では個室を訪問した際、ドアをノックして来訪を知らせる代わりに、『ドア横のボタンを操作して』来訪を知らせるのがマナーとなっている。時代と技術が進むとマナーも変わるんだね。多分、ドアの施錠関係でマナーが変わったんだろう。

 スピーカー越しに松永大佐と簡単な応答を終えるとドアが開いた。一言言ってから部屋に入ると、壁が在った。見上げると人間だった。

「あらぁ~、近くで見ると思っていた以上に小さいのね」

 ストロベリーピンク色の髪を三つ編みにして左肩から胸にまで流し、男性用の軍服に身を包む、筋骨隆々とした野太い声の漢女(おとこめ)――個人的な話だが、オネェと言うには容姿も服装も完全に男性を『漢女』と呼称し、容姿と服装も女性的で気を遣っている男性をオネェと区別している――が自分を出迎えた。身長も高く、佐藤大佐並みに有る。スカートでは無く、スラックスを履いているので目には優しい。ルピナス帝国にいた頃の、たまに利用していた服屋の店長に近い容姿をしている。違いは、店長はフリフリのミニスカートを履いていた事だろう。

 日本支部にもいたんだね。『心は女性、体は男』系の人物。外見利用目的には見えないから、本心からこの格好を好んでいるんだろう。

 試験運用隊は伏魔殿じゃなくて、修羅の国か、万魔殿(パンデモニウム)だった模様。事案じゃね?

「えぇ、と……。星崎、佳永依です。お呼びと聞きましたが……」

 状況が分からんので、一先ず敬礼してから漢女に名乗り(正式な士官階級を教えられていないので名前だけ名乗る)、室内を見回した。

 松永大佐は執務机にいる。飯島大佐と中佐コンビはおらず、代わりに正体不明の漢女がいる。体をくねくねさせている。松永大佐は何故か腕を組み、目を閉じたままだ。前髪から覗く額に太い青筋が覗いている。

「礼儀正しいわね。良い事だわ」

「神崎少佐。用件をさっさと済ませろ。そして早急に失せろ」

「酷いわぁ~」

 松永大佐が何時も以上に辛辣だ。このままだとキレそうなので、神崎少佐と松永大佐に呼ばれた漢女に用件を聞く。

「あの、話の流れ的に私に用が有るのですか?」

「そう! そうなのよ! 話が早くて――」

「か・ん・ざ・き」

「おっと、支部長も怖れる魔王様がお怒りのようね」

 松永大佐が神崎少佐の台詞を遮った。神崎少佐と一緒に松永大佐に視線を向ければ、額に青筋が量産されており、怒りのオーラが立ち昇っている……ように見えた。それでもおどけた態度を崩さない辺り、神崎少佐は『大変愉快な(意訳)』性格の人なんだろう。

 と言うか『支部長も怖れる魔王様』って。松永大佐は……いや、これ以上は考えないようにしよう。虎の尾は自ら踏むものでは無い。

「あたくしが聞きたいのはね、松永大佐に自室待機を言い渡されてからの行動よ。貴女の部屋にとんだお馬鹿さんが入った時に、松永大佐が『無人だった』って仰っていたの。貴女はどこにいたのかしら?」

 少し考えて、神崎少佐の言いたい事を逆に尋ねる。

「……ええと、厳密に言うと部屋から出ていません。不法侵入者が出た時に部屋にいなかった時の行動を説明すればいいのでしょうか?」

「そうね」

「動画でも良いですか?」

 ポケットからスマホを取り出して尋ねる。すると、神崎少佐は一瞬だけ、真顔で動きを止めた。すぐに元の表情に戻り、くねくねと動き始めたけど。

「……どうして動画が存在するのかしら?」

「存在すると駄目ですか?」

「駄目じゃないわね。取り敢えず、見せて頂戴」

「どうぞ」

 スマホを操作し、動画再生可能状態にしてから渡した。

 神崎少佐が動画を見ている内に、こっそりと神崎少佐の様子を観察する。

 先程、一瞬だけ見えた表情は、推測でしかないが『仕事中』の顔だろう。自分が受けた質問内容を考えるに、憲兵部から派遣された人なんだろう。その証拠に動画を見る雰囲気からはふざけた空気が無い。試験運用隊所属の人じゃなくて良かった。

「うふふ。随分と面白い映像ね。でもこれは、立派な証拠になるわ。よく見れば髪も濡れているし、まだ生乾きね」

 動画の視聴を終えた神崎少佐に、頭をわっしゃわっしゃと撫で回される。首の後ろで一つに纏めていなかったので、思いっ切りぐしゃぐしゃになったが、神崎少佐は直すように手櫛で軽く整えてくれた。

「動画のコピーを頂いてもいいかしら?」

「はい。御随意にどうぞ」

「……御随意になんて言葉、どこで覚えたのよ」

 複製されて困るものでは無い。素直に了承したら、そんな言葉と共に呆れられてしまった。年齢不相応だったかな? 気をつけないとだな。

 動画の複製移動が終わるまでの間に、神崎少佐から受けた幾つかの質問に回答する。神崎少佐は満足そうに頷き、動画の複製と移動が終わると早々に去った。

「あのゲテモノ。漸く去ったか……」

 返して貰ったスマホを手に、色んな意味でアレな人物が去ったドアを眺めていたら、何時にも増して辛辣だった松永大佐が、腕組を解いて目を開いた。額の青筋が消えて何よりです。

「アレは奇天烈な外見だが、アレでも日本支部憲兵部のトップだ。良く落ち着いて対応出来たな。アレへの対応はあれで良い」

「……そうですか」

 松永大佐が何とも言えない顔で感心している。てか、日本支部憲兵部のトップだったのか。外見よりもそっちの事実の方に驚く。

 自分としては、どこかに必ず一人はいそうな見た目の人物だと思うんだけどね。肩書とはともかく。

「日本支部にも『心が女性』の男性がいたんですね」

「個人的には存在そのものを抹殺したい。アレは単に、仕事が出来るから見逃されているだけだ」

 松永大佐、本音が駄々漏れています。『アレ』と言っているが、良いんだろうか。

 まぁ、同じ男としては『存在そのものが冒涜的』に感じるんだろう。

 執務机に近づくと、松永大佐は再び目を閉じ、深く息を吐いた。

「あのゲテモノは放置で構わん。高橋大佐達は飯島大佐と佐々木・井上中佐が支部長の許へ連れて行った。沙汰は向こうで決まる」

 松永大佐はそこで言葉を一度切った。沙汰を支部長に丸投げして良いのなら反論は無い。シャワーを浴びていた時の出来事だからどうでも良いし。

「星崎。午後の予定変更は無い。午前と同じく保管区での修理作業に集中しろ。どうなるかは不明だが、十八時半までに一度食堂にまで来い」

「分かりました。……あ」

「どうした?」

「いえ。通信機に関する報告をしたかと、思い出しただけです」

「通信機?」

 松永大佐が怪訝そうな顔をした。これは報告し忘れたかな。修理作業中に気づいた事にするか、いや、素直に言おう。昨日気づいたんだし。

「はい。アゲラタムやジユに搭載されている筈の通信機が在りませんでした。実戦で使用する際には別で通信機を用意する必要が有ります」

「そう言う事か。確かに報告は受けていなかったが、すぐに解決出来る事だ。わざわざ通信機を搭載せずとも、携帯用を使えば問題は無い」

 驚いた事に叱責無しだった。多分、修理作業中に再確認してから報告するつもりだったと、思われたのかもしれない。素で忘れていただけなんだけど。

「通信機の件も支部長が決める事だ。ここで話し合っても意味は無い」

「分かりました」

 松永大佐の言葉に『確かにそうだろう』と頷く。

 通信機の必要の有無の判断と、搭載する未使用通信機の手配は、支部長の仕事になる。仮に、未使用品の在庫が有っても、使えるようにするには技術的な面で色々と問題が発生する。申請してもやっぱり支部長の許可が必要となる。

 ここで話し合っても時間の無駄だ。作業に集中した方が良い。

 このあと、松永大佐と別れて、久し振りに独りで昼食を取る事になった。食後に鞄を取りに部屋に戻る手間省きで、一度部屋に戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ