出発前のおまけ話 第一回写真撮影会
試験運用隊の隊長室。
大林少佐からの要望で、何故か写真を撮る事になった。何に使う写真なのか聞いたけど教えてくれなかった。
まぁ、大量のカジュアルな衣類と靴を一緒に持って来たので、外部に流出しても問題の無い写真を撮るのかもしれない。その証拠に、写真撮影の場の背景として、衝立が置かれた。
「サイズの合いそうな服を幾つか持って来たわ。着たい服を何着か選んで頂戴。あ、靴も選んでね」
「一着だけ選べば良いですか?」
「一着と言わずに、五着ぐらい選びなさい。向こうではどんな服を着ていたの?」
「突発的に何に巻き込まれるか分からなかったので、主に黒系の服のワンピースか、ブラウスとスカートを着ていました」
「色はともかく、ワンピース、ブラウス、スカートね。靴はパンプスを履いていたの?」
「パンプスを履く機会は無かったです。ブーツか、ヒールのある靴ばかりを選んでいました」
「あら? ヒールのある靴を履いていたの?」
「身長が百六十センチ程度有るように見せれば、子供に間違えられ難かったんです」
「へぇ、そうだったの。……今日はヒールの無い靴しかないから、ブーツ一択ね」
大林少佐と喋りながら服を選ぶ。
無地のワンピースは無かったので、やや大きめの茶色の無地のブラウスを選ぶ。続いて黒いミニ丈のスカートを選んだが、プリーツ系しかなかった。
「もうちょっと明るい色にした方が良いんじゃないの? これなんかどう?」
そう言って大林少佐が選んだのは、胸の下でデザインが切り替わるタイプの、スレンダーな体形の人向けのワンピースだった。
「済みません、スレンダーな人向けのデザインのものはちょっと……」
「そう言わずに、一回試着してから決めれば良いでしょう」
「いや、この手のデザインのものを着ると、マタニティっぽく見えるから避けているんです」
「……そうなの?」
「はい」
ちょっとした悲しい昔話だ。デザインが大人しいワンピースだったので試着してみたら、鏡に映る姿はマタニティワンピースに見えてしまった悲劇だ。これ以降、ワンピースは必ず無地一択にしている。柄が入りだとしても、上下でデザインが変わるものは控えている。
本当に、胸が大きくても良い事無いなぁ。夜会とかのドレス類も、胸を強調するようなデザインのものばかりになる。露出控えめで胸を小さく見せるのは難しい。
大林少佐が目を丸くした隙に、ブラウスとスカートを手に衝立の向こうへ移動する。手早く軍服から着替えた。
なお、ここには部屋の主たる松永大佐はいない。飯島大佐と一緒に支部長のところへ作ったメモリーカードを持って行ったのが、今から一時間以上も前の事だ。
着替えと写真撮影をするのなら、寮の自室でやれば良いと思ったけど、大林少佐が持って来た荷物の量を見た松永大佐がここでやって良いと許可をくれた。
脱いだ軍服を手に衝立の向こう側へ戻り、今度はブーツを吟味する。ローファーがあれば良かったんだけど、今回は無い。黒いショートブーツを選んで履き替えたが、インヒールタイプだった。レインブーツに似た、靴紐が無いタイプだったからこれにしたけど……履き替えが面倒だからこのままで良いか。
そこまで考えて、ふと思い出した。
正規兵の軍服を着るようになってから、ずっと黒いニーソックスを穿いているけど、ストッキングに変えなくても良いのかな? 訓練学校に居た事からずっと黒いニーソックスだけを穿いている。訓練学校では、体育の授業時に黒いハイソックスに穿き変えていたので、特に問題は無かった。
正規兵と同じ軍服を着ているけど、それ以外は訓練学校にいた頃のままだ。服装の規定はどうだったかな? パイロットスーツが共通だったからすっかり忘れていた。
疑問は横に置き、写真を一枚撮る。写真撮影と言ってもデジカメを使用しているので、画像を見る事が出来る。
しかし、腰を絞るタイプの服を着ると体の上下のバランスが悪さが目立つ。もう少し身長が欲しいところだが、百五十五センチから身長が伸びた事は無い。転生先の世界では男女ともに身長百七十前後にまで伸びる人が多く、自分は子供によく間違えられた。故に、五センチ程度の高さのヒール付きのブーツ類を履くようになったのだ。子ども扱いされない為に。
「おかしな点は無いから、これで良いわね。さて、他にも何着か選びましょうか」
「写真は何枚撮る予定なんですか?」
「正直に言うと、一枚撮れば終わりよ。でも星崎は私服を持っていないでしょう? 今日持って来たものは、変装用衣装の入れ替えで廃棄する予定のものばかりで、星崎に譲っても良いものなの。ちなみに全部クリーニング済みよ」
「そうだったんですか」
大林少佐が大量に持って来た理由を知り驚く。
私服を一着も持っていないのは事実だし、ここはありがたく何着か頂くか。ブーツも一緒に頂こう。
適当に何着か選ぶが、スカートとワンピースはどれも膝上十センチ丈のミニ丈だった。膝丈は無い。ハーフパンツを選ぶが、体に合わせると七分丈になったので止める。
これは大きめのシャツをワンピースとして着た方が良いかもね。ブーツは、そもそも種類が少ない。サイズが合うものを何組か選んだ。
考え直して服を選び直す。数着の丈長のシャツを選び出していると、電子音が鳴った。
「失礼しまーす。……あれ?」
やって来たのは佐々木中佐だった。室内に入るなり、松永大佐がおらず、自分と大林少佐だけの状況に目を丸くした。簡単に事情を説明すると、佐々木中佐はすぐに納得してくれたのか、何も言わなかった。
「以前、私服を持っていないとか言っていただろ? これを機に貰っておいた方が良いぞ」
それどころか、貰っておけと言って来る始末。本当に、良い人なんだよなぁ。脳筋気味だけど。
「しかし、そのスカートは短過ぎないか?」
続いた佐々木中佐の台詞は、自分の服装を見ての感想だった。
「女の子の服なんだから、短くても良いじゃない」
「いや、そんなに短くしてどうするんだ?」
大林少佐の回答に対する、佐々木中佐の疑問はある意味、男性として当然の疑問だと思う。
自分もスカートを短くても意味無いと思っていた時期が在り、ズボンばかり穿いていた時が在った。でも、女性用のズボンが無い世界に転生する事が重なり、服の選択肢が無くなった結果、スカートを穿くようになった。
「スカートはね、長いと足に絡まるのよ」
「星崎、そうなのか?」
「それは事実ですね」
佐々木中佐の疑問を首肯する。
スカートの丈は長い方が清楚に見えて良いかもしれないが、今度は足に絡まって邪魔になる。長過ぎず、短過ぎずの膝丈を選択しても、横にスリットを入れたくなる時が在った。膝上十センチ丈が足に絡まない、絶妙な丈だったりする。その分、下品に見えるかもしれない。
「でもスカートが短いと、足が長く見えるのよね」
「視覚効果で足が長く見えますが、今度は足が太く見えてしまいます」
「本当に、悩ましいわね」
大林少佐と一緒に頷き合う。自分は足の長さを気にした事が無い。スカートが短いと、下着が見えそうだし、何より冬場は寒さをより一層感じるから長い方が良い。
「……スカート丈一つで、そこまで悩むのか」
理解出来ないと言わんばかりの顔で、佐々木中佐の顔が引き攣った。常に体形を気にする女の思考はダイエットをしていない限り、男には理解出来ないだろう。
「気にする人は、気にします。私は悩むのが面倒なので、何時も膝丈を選んでいますが」
「星崎、髪には気を遣っているのに、どうして服に気を遣わないのよ」
「訓練学校で私服に着替える機会が無かったので……」
「そうだとしても、もう少し興味を持った方が良いわよ」
「体重を戻している途中なので、まだ先になります」
「……そう言えば、そうだったわね」
服装について気を遣わない最大の理由を口にすると、大林少佐は引き下がった。その隙に、ダークカラー系を中心に適当に数着選ぶ。スカートはミニ丈のプリーツ系しかないから黒系だけを選ぶ。
「もう少し明るい色の服は着ないのか?」
「ダークカラー系の服ばかり着ています」
佐々木中佐の質問に答えつつ、心の中で『何時、生身の戦闘に巻き込まれて汚れるか分からなかったから』と付け加える。下手をすると、返り血を浴びる機会も在ったので、血が目立たない衣服じゃないと困る時が在ったのだ。
「ベージュとかも良さそうだと思うんだがな。これとかどうだ?」
そう言って佐々木中佐が選んだのは、同色の布ベルト付きのクリーム色の襟付きワンピースだった。体に合わせて見ると、丈は思っていた以上に長く膝下まであった。衝立の向こう側に移動し、試着すると問題無く着れた。でも腰をベルトで絞ると、胸元がボタンだからかちょっときつく感じる。一番上のボタンを外せば良いから、これも貰おう。
脱ぐ前に大林少佐に呼ばれたので、移動する。二人の前に出ると『似合っている』と言われた。服には頓着しない方で、向こうの宇宙にいる時は大体選んで貰っていた。なので、反射的に『そうですか?』と聞き返してしまった。
「星崎が私服を買う時に、アドバイスを貰ったりしなかったのか?」
佐々木中佐と大林少佐は一瞬顔を見合わせてた。そして、怪訝そうな顔をした佐々木中佐から質問を受ける。
「一人で買いに行く事が殆どでしたが、服飾屋を経営している知り合いの店で購入していました」
「知り合いの店?」
「はい」
「どんな人が経営しているの?」
知り合いの店で購入していると話したら、大林少佐が食いついた。食いつくような内容では無いが、店長の容姿を教えれば興味を無くしそうだ。
「ローティーン向けミニ丈のスカートを穿いた、神崎少佐のそっくりさんです」
「……分かり易い説明ありがとう」「いや、そんなところで購入して大丈夫なのか?」
予想通り大林少佐は興味を無くした。と言うか、真顔になった。
けれども、佐々木中佐は心配そうな顔になった。佐々木中佐の言う『大丈夫』の意味を聞きたいところだが、『女性第一』のお店である事だけは教えよう。
「大丈夫ですよ。『宇宙漢女連盟』が経営している服飾屋の系列店で、女性に対して幅広いサービスをしてくれます。痴漢被害に遭った女性の保護と加害者の捕縛に、不審者への注意喚起、出店している地域の治安維持活動、深夜の時間帯の警備と警邏、更に裏社会の情報の取り扱いまでしているお店です」
「サービスの意味が違うけど、別の意味で凄いわね」「いや、それよりも『宇宙漢女連盟』って何?」
突っ込む気が無いのか、大林少佐は素直に感心している。
対して、佐々木中佐は顔を引き攣らせていた。この反応だと、宇宙漢女連盟の実態を語ったら白目を剥きそうだな。
微妙な空気を払拭する為に、佐々木中佐にふと沸いた疑問をぶつける。
「……そう言えば、佐々木中佐は何をしにここに来られたのですか?」
「ん? あー、アゲラタムの操縦訓練で来たんだ。松永大佐がいるなら、二機で動く時のフォーメーションの確認と模擬戦をお願いしようかと思って来たんだ」
尋ねるまで微妙に忘れていたのか。佐々木中佐は首を捻ったが、真っ当な回答をした。
「勝手に使用しても問題はなさそうだけど、その二つは確かに大切ね」
大林少佐の言葉に心の中で頷く。佐々木中佐は見た目通りの脳筋なのに、変なところで気が回る。ここは一つ提案するか。
「佐々木中佐、私が乗るガーベラと模擬戦をやりませんか?」
「う~ん……後ろ髪を引かれるが、監督役がいないから別の機会に頼む」
佐々木中佐は少し悩んだ末に、そう言ってからアゲラタムの操縦訓練をする為に去った。
その姿を見送ってから、丈が長めのワンピースを中心に再度服を選び直す事になった。
これはどう、あれはどう、そんなやり取りを繰り返していたら、自室のクローゼットに入り切らない量を選んでいた。そこから厳選を始めたが、大林少佐に『全部貰って』と言われてしまった。
自室のクローゼットに入り切らない事を理由に断ったが、これらは処分品だから貰ってくれないと困ると返され、どうしようかと考えつつ押し問答を繰り返していたら、松永大佐と飯島大佐が戻って来た。
戻って来た大佐コンビは積まれた衣類と自分の服装を見て、一瞬だけ動きを止めた。顔を見合わせてから、松永大佐が口を開く。
「写真撮影をするとは聞いていたが、その衣類の山は何だ?」
「星崎に譲る衣類よ」
「譲る?」
松永大佐は大林少佐を胡乱気に見た。飯島大佐も同じように大林少佐を見た。注目を集めた大林少佐は状況を説明する事で疑いを晴らした。
「処分品なら、購買部で中古品として売りに出せば良いだろう」
松永大佐の言い分に飯島大佐と一緒に頷く。
「それはもうやったわよ。これはその売れ残りの一部」
大林少佐の発言でこれが売れ残りだと発覚した。この山が中古品として売り払ってもまだ残った衣類だったのか。
これ以上は貰っても置き場が無い。かと言って、十代向けの衣類を買いたがる人もいない。
さてどうしよう?
全員で考えるも妙案は浮かばない。せめて買いたがる人が見つかれば良いのだが。
十代・買いたい人の二単語から、『売り場を変えれば売れそうだ』と思考が回り、最適な売り場の存在を思い出した。
「大林少佐。訓練学校で販売か寄付する事は出来ますか?」
思い切って大林少佐に提案した。すると、大林少佐は驚きはしたものの、少し考え込むと頷いた。
「訓練学校? ……確かにあそこなら買い手がいるわね。盲点だったわ」
そう、訓練学校にいる人間の殆どが十代だ。ここには自分に合わせて女物の服しかないが、大林少佐の口振りだと男物も存在する筈だ。
「一度、支部長と相談してみるわ」
「お願いします。訓練学校の購買部にはカジュアルな服が置いてなくて、卒業生が残したものを分け合っていたんです」
「涙を誘う情報をありがとう。必ず支部長を説得して寄付するわ」
大林少佐は目元にハンカチを当ててから、大佐コンビを睨んだ。
睨まれた二人は同時に大佐コンビは、サッと、目を逸らした。そして、ワザとらしく咳払いをした飯島大佐が口を開いた。
「あー、大林。支部長がお前の他支部絡みの情報の閲覧を却下した。複製情報の譲渡も却下だと」
「何ですって? それが本当なら報復として、今日の午後に来る支部長が取り寄せたお菓子を強奪するしかないわね」
飯島大佐から齎された報告を聞いて、大林少佐が眉を吊り上げた。てか、支部長に報復して良いのか? 飯島大佐に止める気配が無いので、松永大佐を見る。
「大林少佐。佐久間支部長に報復するのは個人の自由だが、ここに持って来た荷物を持って帰ってからにしろ」
松永大佐は大林少佐を窘めもせずに、非常にイイ笑顔でそう言った。普通は支部長を虐めてはいけないと思うんだけど、良いんですか。
自分が疑問を挟む間も無く、大林少佐が予定を立てた。
「星崎。夕飯のデザートに支部長から強奪したお菓子を食べましょう。一流のパティシエが作ったザッハトルテとガトーショコラとモンブランよ。チョコはビターチョコを使っているから甘過ぎなくて美味しいって、甘いものが苦手な人からも好評なの。そして、モンブランは八つも来る。支部長にはモンブランを二つ渡して、一条大将と男二人で淋しく食べるように言えば良いでしょ。元々、部下の差し入れ用って、嘘を吐いていたんだし」
「ほぅ」
大林少佐の口コミを聞いた飯島大佐が興味を持った。そういや、甘いものが駄目でしたね。
……いや、そうじゃなくて、止めなくて良いのか? 一条大将が巻き込まれているんだけど。
松永大佐も、飯島大佐も止める気配が無い。しょうがないなみたいな顔をしている。
一応『支部長相手にそんな事をして良いのか?』と確認はした。大人三人の回答は『問題無い』だった。
日本支部の支部長なのに、どうしてたまに扱いが悪くなるんだろう?
たまに思う自分の疑問に解答は無い。
今後の予定を決めた大林少佐は荷物を素早く纏めて部屋から去った。去られてから気づいたが、服の厳選が終わっていない。この量は部屋のクローゼットに入り切らない。どうしよう?
「空き部屋の使用許可を出す。そこを一時保管場所にしろ。時間がある時に選び直せ」
困り果てて松永大佐に相談したら、空き部屋の使用許可が下りた。
喜んだが、松永大佐の言葉には続きが残っていた。松永大佐は机の引き出しから取り出したカードキーを、自分に渡してから続きを言った。
「だがその前に、軍服に着替えてからにしろ」
「……あ」
松永大佐に言われて思い出したが、自分の今の服装は佐々木中佐に選んで貰ったワンピースだ。
今更感溢れるが、飯島大佐からも『そのワンピースはどうした?』と質問を受けた。
大林少佐と写真撮影後に譲り受ける服を選んでいた時に、松永大佐を訪ねてやって来た佐々木中佐が選んだ一着だと教えた。そしたら、大佐コンビは揃って何とも言えない顔になった。飯島大佐がチラチラと松永大佐を何度か見たのが気になったけど、自分は衝立の向こう側に移動して着替えた。
着替えてから戻ると、大佐コンビは自分が選んだ衣類――主にスカートを見ていた。
どうしたのか尋ねると、『スカートの丈がやたらと短いが大丈夫なのか?』と質問を受けた。
スカートが短いのは佐々木中佐も言っていた事だ。でも、これは下にホットパンツかスパッツを穿けば問題は無い。訓練学校の時もスカートの下に何か穿いていたし。
その事を教えると大佐コンビは納得し、非常に今更な質問を飯島大佐から受けた。
「佐々木は何しにここに来たんだ?」
「アゲラタムの操縦訓練をするから、松永大佐と模擬戦か二機で行うフォーメーションの確認をしたいと仰っていました」
「……そうか。んじゃあ、佐々木は今、演習場にいるのか」
質問者の飯島大佐は何故か遠い目をした。隣の松永大佐は笑顔になり、佐々木中佐の訓練に付き合って来ると言って部屋から去った。
自分は飯島大佐と一緒に松永大佐を見送ってから、荷物を手に、カードキーに印字された部屋に向かった。飯島大佐はお昼にもう一度ここに来ると言ってから去った。
時間は流れて昼食時。
何故かスッキリとした顔をした松永大佐は、飯島大佐から『八つ当たりをするな』と怒られていた。でも、松永大佐は笑顔で聞き流している。
対して、佐々木中佐は震えていたけど、朝に作ったミルクレープを一ピース渡したら復活した。遅れて来た井上中佐と一緒に『単純過ぎる』と感想を零してしまった。
そして夕食時。
支部長から本当にお菓子を強奪した大林少佐がやって来た。支部長が可哀想だから、出発前日にハムカツサンドを作って差し入れようと心に決めた。
でもこの時、まさか一条大将がハムカツサンドを強奪するとは夢にも思っていなかった。




