召喚爺の異世界奇譚(ランドン)
ダンジョン攻略を終えてランドン町に向かうマコト達一行、その前方の先で馬車が盗賊に襲われている様だ。
マコト達一行は助けに向かう為一斉に走り出した、マコトだけを残して・・・
マコトが着く頃には既に決着が付いていた、ミーシアは負傷者の手当を行いジクロは盗賊の捕獲にジエイムスが残党狩りをしていた。
ワシがゼイゼイ言いながら近づくと、ミーシアが気付き体力の回復を申し出てくれたが丁重にお断りした流石に申し訳ない。
盗賊との争いが終結して改めてよく見ると、護衛の兵士が数人と盗賊も数人は既に絶命していた。
流石にこのまま放置するのも問題だしな、盗賊達は縄で縛り上げワシらと共に歩いて町へ向かえば良いが・・・
「お~い爺さんこっちに来てみろよ」
ジエイムスに呼ばれて行って見ると、そこには荷運び用の馬車が有った。
襲われていた馬車は人を運ぶ為の物だが、盗賊達が使っていたであろう馬車は荷運び用で有る。
これなら捕らえた盗賊と亡くなった数体の亡骸を運ぶ事が出来そうだ。
取りえず盗賊に襲われていた人物が何者か?護衛の兵士を付ける位なので地位の有る人物なのであろう。
襲われていた馬車の人物はナージス領主の娘メアリー・ナージス嬢と言うらしい。
その他助かった人物はメアリーの持女ルミエス・バレンと護衛長ゴブ・スレンダーそして6人の兵士達だ。
この後どうするかワシとジクロそしてゴブ護衛長とメアリーの持女ルミエスとで話し合った。
その間ジエイムスは盗賊の見張りに付きミーシアは兵士の手当を続けていた。
4人で話し合った結果ランドンに行く事、そして盗賊はワシ達が自警団に引き渡事で合意した。
馬車の前で不安そうに立ちすくむメアリーの元にルミエスが駆けより話し合いの結果を伝えに行った。
ゴブは動ける兵士を集め遺体を荷馬車に運ぶよう指示していた。
出発の準備が整い荷馬車の操作はジクロに頼みワシは荷馬車の後ろに乗り込みジエイムスは兵士1人を借りて後衛に付いた。
ミーシアはまだ動けない兵士とメアリーの馬車に乗り込み手当を続けていた。
ランドンに着くとワシらは自警団に向かいかけた時、ゴブが1人の若い兵士を連れて来て此者に説明させると言い立ち去った。
自警団に着くと若い兵士がまず領主の護衛の兵士で有る事と身分証を提示した。
そして領主の娘メアリーが乗っている馬車が盗賊に襲われた事、その時加勢してくれた冒険者がワシらで有る事を自警団に説明した。
自警団に盗賊達の引き渡も終わり後はミーシアを迎えに行くだけだ。
「それでは皆さん我が屋敷に行きましょう、あなた方のお仲間もお待ちしておられるはず」
この若者、今我が家屋敷と言ったか?一体何者だこいつ只の一兵士と言う訳では無い様だが・・・
体格的には中肉中背かそれより少し細い感じか、顔立ちはかなりの美男で有るそして金髪の長い髪を後ろで束ねて見た感じとても兵士とは思えない。
屋敷に向かう途中疑問に思った事を聞いてみた、まず領主の娘で有るメアリーがなであの様な場所にいたのか?
そしてあんたは一体何者か?只の一兵士と言う訳では無さそうだし質問をしてみた。
「これは失礼した、私の名前はマイケル・ナージスと申します」
「そしてメアリーの兄です、もう一つの質問は王命により行方不明の勇者を捜し出す為ですよ」
要約すると王命により勇者を捜すのに一番遠いシンガル町に行き情報収集してランドン町に戻る途中盗賊達に襲われたという訳だ。
「なるほど、しかし領主の子息自ら捜索に加わる必要が有るのか?」
「王命なので父か私達兄弟が出向く必要が有るのですよ」
「何か王族や貴族って面倒くさそうだな」
色々話していると屋敷に着いた様だ、見るとなんじやこれ‼と言う位巨大な屋敷が立っていた。
屋敷に着くとマイケルに案内された部屋で少し待っていて欲しいと言われたので部屋に入って待っ事にした。
部屋に入ると既にミーシアが入室していて、こちらに気付くと不安そうな顔がパット明るくなり手を振っている。
「何か面倒な事に巻き込まれてしまったな」
「爺さん何が面倒なんだ?」
「ジエイムスさん分かりませんか、襲われていたのは領主の馬車で護衛の兵士10人に対し盗賊達は20人ですよ」
「それに馬車には領主の家紋が入っていたしね」
「要するに盗賊達は始めから領主の子供達の暗殺が目的だったと言う事か」
「そう言う事やナージス領の乗っ取りかナージス家の血筋の殲滅かいずれにしても関わりたく無い話だな」
4人で話し合っていた時部屋の扉が開いた、そこにはメアリーの持女ルミエスがいて助けて貰った礼がしたいから食事を用意したとのことだ。
ルミエスに案内され食堂に入ると、ワシら一般人が見た事の無い料理が並んでいた。
「貴殿達が我が愚息を救ってくれた冒険者か礼を言う、先ずはテーブルに付いて料理を堪能してくれたまえ」
なんだこの偉そうなオッサンは、見た感じガッチリした体格で金髪はサイドに分け口髭はなぜか白い。
マイケルやメアリーが横に控えて居ると言う事は、このオッサンがここの領主と言う事か名前は確かジエイソンだったかな。
全員テーブルに付いて料理に舌鼓を打ちながら、こんな贅沢な食事この後何回食べられるのかと考えるとマイケルが問い掛けて来た。
「皆さんはシンガル町から来られたみたいですが、勇者様に付いて何かご存知無いでしょうか?」
「勇者ね~そんな目立つ様な人物はシンガル町に居なかったと思うが」
ジエイムスが答えると、ジクロとミーシアも頷き同意したがワシは困ったどうしたものかと考えているとウインディーネが念話で話し掛けてきた。
「この際あんたが行方不明の勇者だと宣言すれば」
「そう簡単な事では無いよ、今このナージス領はきな臭い匂いがプンプンしてるからな」
今ワシが勇者で有る事が露見するとまずい気がする、こちらの世界に来て情報が圧倒的に少ない。
領土間の友好関係や王国との信頼関係なぞ知りたい情報は幾らでも有る、それと魔族との対戦を他の人々はどう思っているのか。
その他にも王国に隣接する大国のサーナル帝国やレテス神清国は魔族との対戦に参加するのか?
「爺さんどうかしたのか、難しい顔で黙り込んで?」
ジエイムスに話し掛けられ我に返ると、全員こちらを不思議そうな顔で見ていた。
「いや~皆は魔族との対戦をどう思っているのか少し気になっただけ」
「貴様一体何者だ」
ジエイソン、マイケル、メアリーが一斉に立ち上がり警戒している。
それに対してジエイムス、ジクロ、ミーシアは何の事か分からんと言った顔でポカンとしている。
しまった魔族との対戦は極秘だったのか、どうしよう適当に誰かに聞いた事にしておくか・・・
「何者と言われても只の冒険者でしか無いよ」
「噓を付け只の冒険者が国の最重要機密をなで知っている、この話はまだ一部の上層部のみしか知りえぬことだぞ」
まいった適当に誰かに聞いた事にしようと考えていたが、町で小耳に挟んだと言うには流石に通じ無さそうだな。
やはりワシが勇者で有ると宣言した方が良いのかな、精霊達にも相談してから決める事にしようそうしよう。
「まず魔族との対戦の話だが、彼女に聞いたウインディーネ顕現してくれ」
ウインディーネが現れると流石にこの場にいる全員が目を丸くした、無理もない精霊なんて見た事の無い人々にしたら信じ難い事だろうしな。
ワシの代わりにウインディーネがイナ島からこれまでの事、大賢者の予言と1人の勇者を手助けするのを託された事などを話した。
「なるほど行き成りで信じ難いが、目の前に精霊がいる以上信じるしか無い様だ」
ジエイソンを含めた全員が一応納得してくれた様だ。
「それにしても爺さん、俺達にも内緒とは冷たく無いか」
「ワシとしては皆に魔族との争いに巻き込みたく無いから王都までのメンバー募集にしたのだよ」
ジエイムス以外のメンバーも不服そうだったが仕方ない、それより今後の事を皆で話し合う必要が有りそうだ。
まずワシが感じた違和感を話した、1つメアリーとマイケルが盗賊に襲われ件、2つ魔族との開戦が近い割に緊張感が無い事。
それと一番気になるのが近隣諸国は魔族との対戦に参加するのかしないのかなぞ聞いてみた。
「我も貴殿達に聞きたい事があるが、今日はもう遅い部屋を用意するので休むが良い又明日話し合おう」
ジエイソンの言葉に従い今日は休む事にした。
翌朝全員が会議室の様な部屋に案内されそこで話し合いが始まった。
まずジエイソンがワシの一番懸念していた事に付いて答えてくれた。
「近隣諸国とは王族や騎士団長クラスで協議しているとこだ、我国が万が一落ちる事になれば次は自国が危なくなるから参戦するはずだ」
「なるほど近隣諸国も他人事ではないか、ではなで魔族との開戦を国民に伏せている?」
「民に必要以上の不安を煽っても何の意味も無い、それに我々も無策では無い既に少数精鋭の部隊を派遣している」
「あと1つナージス家の2人が盗賊達に襲われた件だが何か心当たりは?」
「分からん、実際国内外で今争いごとを仕掛けてまで我領土を欲する意味がなかろう」
国内や近隣諸国の干渉では無いとすると、何らかの形で魔族が動いている可能性もあるか。
するとこの領土に有る村を1度見て回るのもいいかもしれない。
ワシの考えを皆に話してみた、魔族が既に何らかの形で画策している可能性があるなら村を見て回るのも1つの手である。
皆もワシの考えに賛同し細かい打ち合わせに入った。
協議の結果二手に別れ海側をワシらが受け持ち、山側はマイケルと護衛の兵士数人が受け持事にした。
それと行方不明の勇者をナージス領で保護していると王都に連絡とワシの考えを伝える為に早馬を走らせて貰った。
やる事が決まりそれぞれが動き出した、ワシらはまずギルドに向かいダンジョン攻略で手に入れた魔石を売りその後海の村カイセウに向かった。