7話 職業獲得
何の職業にしようかな。
マリーの店の中を覗くと、店の中はいくつかの丸テーブルと丸椅子が用意され、冒険者風の人達が数人たむろしていた。
「なんだか、怖そうな人たちもいるよ?」将人は不安になった。
「大丈夫よ、村を紹介してくれたおじさんの様に必要のある時にしか喋りかけてこないわ」
さあ、入りましょう。
店に入るとカウンター越しにマリーは将人達の方を振り向き
「いらっしゃい。新しい冒険者の方ね。ここは、職業の選択と仲間に出会えるお店よ。ご用は何?」と声をかけた。
「ねえ、ソフィア。マリーも決まったことしか喋れないの?」と将人はソフィアにそっと耳打ちした。
「ああ、さっきの村人が同じことしか言えなかったからそう思ったのね。安心して、質問に対する選択権を持っているキャラクターは私達と同じように会話が成立するわよ。普通の人と話している様に感じるはずよ」
さあ、マリーの所に行ってらっしゃい、とソフィアは将人の背中を押した。
「あのー、職業を選択したいのですけど」
「いらっしゃい。新しい冒険者さんね。名前は何ていうのかしら?」
将人は少しもじもじしながら
「将人って言います」
「将人ね。『マサト』と登録しておくわね。それで何の職業になりたいの?」
「最初は、ウイザードか、プリーストか、ソルジャーしかないんだよね?」と、一応マサトは尋ねた。
「最初はそうね。でも、レベルが上がると他にも選択できる職業が増えるわ。これは『職業ブックダイジェスト版』、マサトにあげるわ。幾つかしか載ってないけど最初はそれで十分だと思うわ」
「詳しい内容が知りたかったら、この『完全職業ブック』を買ってね。ちょっと高いけど。うふふ」
そう言ってマリーはマサトにダイジェスト版を手渡した。
それを受け取ると
「有難うございます。それで職業ですが、ソルジャーになります」と答えた。
「わかったわ。はい。(ピロリン♪)貴方は今からソルジャーよ。このお店を出て右に行くと道具屋があるわ。そこでは、武具と道具が買えるわ。たくさん稼いで武具や道具を手に入れてね。でも、職業に合った武具しか装備できないから買う時には気をつけなさい。たまにモンスターが武具や道具を落とすこともあるわ。頑張ってね。あなたはきっと強いソルジャーになれるわ」
流石、始まりの町。色々説明してくれるなあ。頑張って稼がなくちゃね。
「マサトおめでとう。ステータスの職業にソルジャーって書かれたね」
「うん。このゲームのCMを見た時、『ソルジャーってかっこいい』って思ってたんだ。だから、最初は絶対にソルジャーになるって決めていたんだよ。えへへ、『あなたはきっと強いソルジャーになれるわ』だって」マサトは満面の笑みで答えた。
(私がウイザードになった時も同じ事を言われたわ。きっと決まり文句ね。あんなに喜んじゃって単純ね。うふふ)
マサトに気付かれない様にソフィアはクスクス笑った。
「さあ、もう1人の仲間を迎えに行きましょう。お店のどこかに居るはずよ。当然あの職業よ」
ソフィアが意味ありげに微笑んだ。
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