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ソフィアのファンタジックワールド ~竜討伐の物語 編~  作者: 季山水晶
暮雲春樹 いざ出発

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67話 セントクリスタル国への旅立ち

いよいよ出発です

 翌朝、銭湯の前に行くと準備を整えたルシオが待ち構えていた。

 今日は暑くもなく、寒くもなく、良い天気で絶好の引っ越し日和だ。


「マサト君、よろしく頼むよ。これは依頼料だ。前の依頼料と、今回の依頼料合わせて1700ピネルだ。受け取っておくれ」


(前回の依頼でモニカさんを連れ帰ることは出来なかったけど、依頼は成立していたんだね。良かった)


「それにこれだ。約束していたからね。ちゃんと、村長にも話してある。くすっ、バルビアの方はまだ出来ていないがね。」

 そう言うと、ルシオはマサト達それぞれにカード状の銀のプレートを差し出した。

プレートには『トピカ、バルビア浴場永久無料パス』と刻字されていた。


「おじさん、有難う」

 ソフィアはルシオに一瞬抱きつき、喜びを表した。


 そう言ったソフィアの行動は、本当に抜かりが無いというか、なんというか、男が喜ぶすべを知っていて、マサトも見ていて焼きもちを焼きそうになる程だ。


 勿論、ティアも大喜びで、ルシオに微笑みかけ、ぺこりと頭を下げた。


 2人の美女から手厚いお礼をされたルシオはかなり照れ臭かったのか、頭をぽりぽり書きながら、「他には何か欲しいものはないかな?」などど、紅潮した顔でしどろもどろに答えていた。


 マサトはというと、1700ピネルと銀のプレートを受け取ると、代わりに抗毒ワクチンをルシオに渡した。


「ルシオさんこれを飲んでください。抗毒ワクチンです。これを飲んでおくと5時間の予防効果があります。バルビア村へ向かう途中にポイズンスパイダーに襲われても、毒に侵されることはないでしょう」


「ちょっと待っておくれ、そんな高価な物を頂くわけにはいかないよ、何かの役に立つかもしれない、君たちが持っておく方がいい、むしろ私よりも女の子達に飲ませてあげた方がいいのじゃないのかい?」


 ルシオは一旦受け取った抗毒ワクチンを返そうとマサトの前に差し出した。


「いえいえ、ルシオさんが万が一毒に侵される方が僕たちは困るんですよ。解毒の実も数に限りがあるし、ティアの『カウンテラクション』も魔法量を消費するので、長旅だけに出来るだけ色々温存しておきたいのです。それに、ソフィアとティアなら大丈夫。毒を受ける前にポイズンスパイダーを瞬殺しますから」


(瞬殺だなんて、いくら何でも大袈裟だろう)とルシオは少し鼻で笑いそうになったが、そこは堪えて「わかった」と言った。そして「ちょっと待っててくれ」と、どこかに行ってしまった。


 ワクチンを飲むのが嫌だったのだろうか?


 息を切らせて走って帰ってきたルシオは、

「ワクチンを一体何本持っているのかな?」とマサトに尋ねた。

 前にバルビアの村へ行くときに、薬屋で貰った2本だと答えると、

そんな事ならもう1本あってもいいだろうと、マサトが手渡した1本に加え、もう1本差し出した。


「今、薬屋で2本買ってきたのだよ。これで君たちの分も揃った。君たちも必要な時に使ってくれ」


 そう言って、ルシオは手に持っていた別の1本を飲み干した。

「うえっ。あんまりうまいもんじゃないな」


 何かと気を遣う人なんだな。結局、ワクチンが1本増えて得しちゃった。


 それにしても、飲んだことがなくて知らなかったけど、不味いのか。おばちゃんのエキスでも入っているのかな?くすっ。こんな朝早くに起こされた薬屋のおばちゃん怒ってるだろうね。


◇ ◇ ◇


 家財道具を載せた大八車の前方に長く出る2本の木の間には、くびきに黒牛が1頭繋がれていた。


 ソフィアとティアはその牛を見つけると嬉しそうに近寄り、戯れた。

 よく見ると、つぶらな瞳に手入れされた毛並み、大切に育てられていることがわかる。

 牛の頭を撫でたり、頬を舐められたり、2人はすっかり仲良くなっているようだ。


 怖くはないのかな?


 さて、道中にモンスターが出てきた時の対応だが、前方、後方に全体攻撃を打てるソフィアとティアを別々に配置した方がよさそうだ。小物モンスターなら、彼女たちの一撃で壊滅できそうだしね。 仮に大物が出てきた場合に備えて、僕は前方、後方何方へも直ぐに向かえる位置に居る事にしよう。

 

 牛にあげる水や草を持とうにも限りがあるとの事だったので、無限に入る僕の魔法のカバンに入れてあげることにした。


「何から何まで」とルシオに恐縮されたのだが、ソフィアとティアの仲良しの牛の為だものね。


 ルシオは自分の建てた銭湯をしみじみと眺めていた。

「今日でこの店ともお別れなんだな。バルビアの銭湯が落ち着いて、街道もちゃんと整備されたら、きっとモニカを連れて戻ってくるからな。それ迄良いお湯を出し続けてくれよ」


「大丈夫よおじさん。こんな良いお風呂が無くなるはずないじゃない。それにこれからも私達ただで入れて貰わなくちゃならないんだしね」


 ソフィアに背中をポンと叩かれたルシオの瞳が潤んでいる様に見えた。


「有難う。さあ、そろそろ出発しましょうか」


次回「道中にて」です。


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