6話 いざ、『竜討伐の物語』へ
ついに、ゲームの中に入ってしまいました。
魔法量を追加しました
将人の部屋でソフィアはリワインドタイマーの第2のボタンを押した後
「ファンタジックワールド」と唱えた。
気が付くと、ある村の中に将人は放り出されていた。
地面は土だし、周りの西洋風の建物は時代を感じる。あ、見たことある。ここは本当に『竜討伐の物語』の中なんだ…。
でも、何この服。布で安っぽい。防御力など全くなさそう。それに、この棒…武器?
そうだ、ステータスとか見れるんだっけ。
えっと、ステータスは
『レベル1 生命力10 体力10 魔力0 魔法量0 魔法なし :職業 なし』
武器 普通の棒 攻撃力3
装備 布の服 防御力2
うわあ、しょぼい…。
これからどうしようかと将人が考えていると
「ようこそトピカの村へ」と村人が語り掛けてきた。
「ここが、トピカの村なの?」
将人は村人に問いかけてみたが、村人は表情を変えず
「ようこそトピカの村へ」を繰り返すだけだった。
「その人は村を紹介するっていう意味しか持たない人なの、この中の人たちは役割に応じた動きしかできないのよ」
声のする方へ振り返ると、手に杖を持つ黒っぽいドレスローブを纏った可愛い女の子が立っていた。
「…だれ?」
「え?ソフィアだけど?」女の子は何食わぬ顔をして答えた。
(髪は金髪、目はエメラルドグリーン。本当だ。よく見るとソフィアの顔だ)
「あ、そうか。ここは具現化された世界の中だから私も姿を変えることが出来るのよ、一緒に戦うならこっちの方がいいでしょ。マリーの店でウイザードに登録したわ」
いいでしょと言わんばかりにソフィアはくるっと回って見せた。
金髪がサラリと揺れる。将人はソフィアの可愛らしさに少し目を奪われた。
「ソフィア。なんかずるいな。僕のこの服見てよ、かっこ悪い。それに職業もなしだよ」と将人は少し不貞腐れた。
ソフィアはそんなマサトの反応に全く気にする様子もなく
「このゲームの事はマサトの方が詳しいんじゃないの?作り立てのキャラクターって最初無職でレベル1でしょ。モンスターを倒したり、クエストをこなしながらコインをためたりレベルを上げたりするんだよね?」
「やりだしたばかりだったから僕もまだほとんど知らないんだ。まず、職業を登録して仲間を増やさなきゃって事くらいで。…でもソフィアはイメージを読み取れるから結末まで判っているんじゃないの?」
ソフィアは首を横に振り
「この中は本とかと違って話を進めていかないと、次の展開が判らないように設定されているから先を読むことは出来ないの。マサトがこのゲームの攻略本とか持っていて見せてくれれば、先とか判るけど」
「駄目だよ。それじゃあ、面白くないよ。僕は自分の力で頑張りたいんだ!」
少し鼻息を荒くし、『どうだ』と言わんばかりに答える姿に幼さを感じる。
「わかったわかった。さあ、職業登録と、仲間を探しにマリーのお店に行きましょう」
ソフィアはやれやれ、と子供をあやすように将人の手を引っ張った。
読んで頂き有難うございます。
最低でも、2週間に1度は更新する予定です。