5話 グリン国の現状
グリン国の現状をお知らせします
その頃シャーロットワールドのグリン国では結界が壊され、マテオ王はラシアンの手に落ちていた。城の大広間ではグリン国の王と戦いに参加したグリン国の兵約50人が拘束されており、100人以上のラシアン帝国の兵が銃らしきものを突き付けながら周囲を取り囲んでいた。
そして、王の前にラシアン帝国のレオニート皇帝が姿を現した。
「レオニート皇帝、村人は既に国から脱出しており、城も村も、もぬけの殻です」
村や城を視察してきた兵士がラシアン帝国のレオニート皇帝の前に跪き、頭を下げ報告した。
皇帝は怒気のこもった口調で
「王はリワインドタイマーを所持していなかったのか?」と将校らしき兵に尋ねた。
「はい。この短刀の他は何も所持してはおりませんでした」と将校は敬礼をし、短刀を手渡した。
レオニート皇帝はマテオ王に詰め寄り、その短刀を目の前に突きつけた。
「さあ、王よ、隠し立てしても始まらぬ。素直にリワインドタイマーを渡すのがお主の身のためだ」
マテオ王は屈せず語気を荒げた。
「どこで聞いた噂かしらぬが、この国にはリワインドタイマーなどは存在せぬ。それよりもこのような忌まわしい軍事侵略をシャーロットワールドの各国が許すと思うのか」
レオニート皇帝は毒のある鋭い声で
「マリス国とお前の国がリワインドタイマーを使って時間を戻し、民を殺め、私腹を肥やしているという情報は伝わっているのだ。これはこの国の民を守る為の戦いなのだ」と言い放った。
「濡れ衣もいいところだ、そんな作り話が侵略理由になどなるものか」と、マテオ王は体を震わせ、目を尖らせた。
レオニート皇帝は将校に向き直り
「まあいい、城の中のどこかにリワインドタイマーがあるかもしれぬ。人数を引き連れ城の中を隈なく探せ。あと、こ奴には娘がいたはずだ。娘にリワインドタイマーを渡しているかもしれぬ、娘も探し出せ」
「ははっ」将校は皇帝に一礼し、捜索を兵士に命じた。
(リワインドタイマーが噂通りの物なら、我が帝国の脅威になるだろう。逆に我が手に入れば、シャーロットワールドは我が帝国が支配できる。何としても手に入れなければならぬ)
「その者たちを牢に放り込んでおけ」
「それと、フィビランドに斥候を使わして内情を探れ、逃げた王族が潜んでいるかもしれぬ」
「王族を捕えれば、犯罪者を匿ったと言う理由でフィビランドを侵略する」
そう言い残し、レオニート皇帝は部下を数人引き連れその場を後にした。
牢の中でマテオ王は、「幸いにもソフィアを別世界に転送させてことは気づかれてはいない」
「まだ希望は残っている」と、ソフィアとこの国の無事を祈るのだった。
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