39話 財宝と女性達
やっと一安心です
「ヘラルドさん」
マサトは蹴り飛ばされて意識を失っているヘラルドを抱き起し、声をかけた。どうやら『金縛り』で動けない様だ。ティアはヘラルドに『カウンテラクション』を唱えた。ヘラルドは目を覚まし、手で頭を押さえながら辺りを見渡した。
「うーん。痛たた…。ハッ。ドナテッリは?」
「すみません。残念ながら、ドナテッリとジョヴァンナには逃げられてしまいました。僕はこの洞窟をもう少し調べてみます」
囚われていた女性達の保護をヘラルドに頼み、マサト達は洞窟内を調べることにした。もしかしたら、何処かにドナテッリとジョヴァンナが潜んでいるかもしれない。
取り敢えず、マサト達は警戒しながら部屋を調べた。奥から牢獄、その手前は寝室っぽい部屋で、莚が敷かれていた。次の部屋は倉庫になっており、武具や道具が置かれていた。男ばかりにしてはそれなりに整頓されていた。ただ、大した武器や、防具はなさそうだ。
次が盗賊達の詰めていた部屋。木で作られた机には酒の瓶や、食い散らかした食べ物の残りが散乱している。
「ねえ、奥にまだ部屋がありそうよ。私が覗いた時には無かった部屋だわ」
ソフィアが部屋を覗き込んでそう言った。人の気配はなさそうだが油断は出来ない。
警戒しながらその部屋に入ってみると、暖炉の様なものがあり、上等そうなソファーや机が置いてあった。
「ここがドナテッリの部屋だったんだな」
部屋の隅々にまで目をやると、部屋の端に岩を少し動かした跡がある。マサト達が気になってその岩を動かしてみると、中には宝石や、大量のピネル硬貨、美しい剣や、防具等が置かれていた。だが、少し置かれ方が乱雑だ。
「ドナテッリは、取り敢えず持てる分の財宝を持って逃げ出した様だね。岩で隠したっていう事は後でまた取りに来るつもりかもしれない」
次に暖炉の方に目をやると、煙突の他に、奥に続く横穴があり、表へ出られる様になっていた。
「そうか。ここから逃げ出したのか」
今更ここを通って追いかけても、この辺り地理も判らない。ここは諦めるしかなさそうだ。
「じゃあ、あいつらはもうここには居ないわね。さっきの倉庫に荷車があったでしょ。それを使って、宝物全部持っていきましょう」
「え、全部僕たちのもの?」
マサトが瞳をきら付かせて答えた。
「何言ってるのよ。そもそも、バルビア村から強奪した物に決まってるじゃないの。村に返すのよ。これだけあれば村も復興できるわ」
ソフィアはそう言って、マサトの額をピンと指で弾いた。
◇ ◇ ◇
洞窟から出ると、囚われていた女性達が3人の周りに走って駆け寄り、口々にお礼を述べた。中には泣き出す少女もいた。ろくに着替えもさせて貰っていなかった様で、汚れと臭いがきつい。拘束された8人の盗賊達は意識を取り戻し、項垂れていた。
「このまま、村に戻るわけにはいかないな」
マサトは林から木を集め、焚火を作った。次に、ソフィアは木陰に女性達を順番に呼び、『ウォーターフロウ』を天に向かって放ち、シャワーの様に汚れを洗い流してあげた。焚火で女性達が髪や衣類を乾かしている間に、ティアは森に入り果物を取りに、マサトは洞窟内にあった瓶に湧水を汲みに行った。
すっかり身なりも綺麗になり、空腹が満たされた女性達はようやく安堵感を示した。
さあ、これからバルビア村へ戻ります。
私のつたない物語を読んで頂き有難うございます。
誤字、脱字、表現の誤りがあれば修正したいので、教えていただけると有難いです。
次回「バルビア村へ生還」です。宜しくお願い致します。
8/28 19時頃に配信予定です。宜しくお願いします。
3日以内目標に
最低でも、2週間に1度は更新する予定です。
今はちょっと頑張っています。




