10話 初めてのクエスト ②
クエストの続きです。
3人が、林の中を奥へ奥へと進んでいくとようやくケッパーラビットが現れた。
「いた。ケッパーラビットだ」
マサトは先ほどと同様に普通の棒でケッパーラビットに殴り掛かったが、スルリと攻撃はかわされた。
やれやれ、と苦笑いをしながらソフィアは再び『ファイヤー』を唱えた。
ケッパーラビットは消滅し、1ピネルのコインが現れた。
「おかしいな、リボンなんて持っていないよ?」
「さっきのケッパーラビットは、盗んだやつとは違うのよ」
そうか。残念…と思いながら先に進んでいくと、リボンを銜えたケッパーラビットと目が合った。
「ソフィア、ティア!見つけた、あいつだよ」
マサトはケッパーラビットを指さした。が、リボンを銜えたケッパーラビットは一目散に逃げだした。
「さっさと追うわよ!」
3人は駆け出しリボンを銜えたケッパーラビットを追った。足場の悪い林道に息を切らしながら走り抜け、ようやく背後に岩壁がある岩場に奴を追い詰めた。
その時、リボンを銜えたケッパーラビットの背後から更に2匹のケッパーラビットが現れた。
(流石に必須クエストだ。一筋縄ではいかない)
1番初めに登場する1番簡単なクエストに対して、マサトは妙に感心していた。
先ず、ソフィアが左側に居るケッパーラビットに『ファイヤー』を浴びせた。だが、一撃では死なない。リボンを銜えたケッパーラビットは黙って様子を見ている。
(ここはチャンスだ)
ソフィアがダメージを与えたケッパーラビットにマサトは殴り掛かった。左側のケッパーラビットは消滅した。
「やった。1匹倒した」初めての討伐。マサトが浮かれていると
「まだ2匹いるわよ、気を抜かないで!」とソフィアの怒りの声。
リボンを銜えたケッパーラビットがソフィアに向かって突進してくると同時に右側に居るケッパーラビットもティアの方へと突進してきた。ソフィアは攻撃をかわし、『ファイヤー』を浴びせた。マサトはティアの前に立ちはだかり、ケッパーラビットを受け止めた。
右側のケッパーラビットはマサトの腕に噛みついた。
「痛い!」
マサトは腕に傷を負ったが、ティアを守ることが出来た。
ティアはすぐにマサトに『ヒール』を唱えた。
回復したマサトは右側のケッパーラビットに殴り掛かった。なんとクリティカルヒット。マサトの攻撃で右側のケッパーラビットは消滅した。
ソフィアの方はと言うと、息も絶え絶えに『ファイヤー』を打っている。もう5発目だ。
生命力もかなり減ってきている。ティアはすぐにソフィアに向かって『ヒール』を唱えた。取り敢えずソフィアの生命力は回復した。だが、もうソフィアの魔法量は底を尽きていた。
ソフィアとマサトはティアを背後に匿い2人でリボンを銜えたケッパーラビットに殴り掛かった。もう、殴ることしかできないのだ。攻撃を受けるとティアが回復し、ケッパーラビットを殴りに行くという作業を10数回繰り返し、いよいよティアの魔力も底を尽きるかという時、リボンを銜えたケッパーラビットは消滅し、後には20ピネルと桃色で花柄の刺繍が入ったリボンが残されていた。
『パラパパーン♪』
『マサト、ソフィア、ティアはレベル2になった』
新たな魔法や技の獲得は無かったが、それぞれのステータスは上がった。
私のつたない物語を読んで頂き有難うございます。
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