消えない傷
痛みは時が忘れさせてくれる
それの一面は真実で
それの一面は偽りだ
記憶に刻まれた
魂に刻まれた
傷が消えることはない
もう忘れたと思っていても
記憶の表層に浮かばなくても
なにかの拍子に
それは唐突に現れて
心に残る傷跡を裂き
涙のように血を流す
けれど本当はそれでいい
忘れる必要なんてない
同じ痛みを覚えないため
これ以上傷を増やさないため
安易に周りを信じないほうが
周りに臆病でいるぐらいの方が
ちょうどいい
目立たないけれど
知っていれば見つけられる
ある時記憶の奥底から引きずり出される
それぐらいの傷跡の方が
生きていく上では
ちょうどいい
刻まれたものは
決して忘れることはないのだ