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気がつくとそこは、煌びやかな世界でした ~これからどうするの?~

「セレニア王女殿下。なぜ解呪(ディスペル)を?」


「宰相、気付かぬのか?この異様さに。差別しているわけではないが、この上位伯爵家以上の家格の者たちが集められた夜会に、下位男爵家の令嬢が参加し、我がもの顔で振舞っているのだぞ?」


「恐れながら、セレニア王女殿下。エリカ・ジュリアン男爵令嬢は、イシュメル王太子殿下の正当なご婚約「私がこんな女と結婚したら、この国は終わるぞ!?姉上。この宰相も器ではないようです。」


(私が入り込む前のイシュメルも簡単に魅了されちゃったようだけどね。)


「そうだな。」


「「簡単に魔法で惑わされてしまうのだから。」」


「嘘よ!!そんなことしていないわ!!」


ピンク女が叫ぶ。


「私は魅了魔法なんて知らないわっ!!私じゃなっ・・冷たっ!!もう!このままじゃ全身凍っちゃうわ!誰か、私をここから出しなさいよ!!」


めっさ強そうなイケてる中年男性(おじさん)が、ピンク女に近付く。


「誰も、其方が魔法を使ったとは言っておらぬぞ?それに、()()()()であるとも、一言も言っておらぬ。」


一瞬「しまった!」という顔をしたピンク女は静かになり、めっさ強そうなイケてる中年男性(おじさん)を睨み続けている。



天晴(あっぱれ)!」


そう言いながら階段上から登場したのは、豪華な衣装と貴金属を身に着けた恰幅の良い中年男性。

どうやらこの国の王様らしい。

…乙女ゲームには登場していないので、確信はないけれどね…

会場内の音楽が止み、ホールにいるすべての男性が跪き、すべての女性がカーテシーをした。


「王太子が(たち)の悪い魔法使いに魅了されているとの情報があり調べさせていたが、自分が魅了された振りをして、今日のこの高位貴族のみを集めた夜会で、魅了した魔法使いを捉え、魅了された貴族をあぶり出すとは、見事だ。」


褒められたようなので、私は取り敢えず「はっ。」と言って、頭を下げておいた。

礼の種類なんて、分からないよ~。


次に王様は、ホールにいる人々に命令を下した。


解呪(ディスペル)をかける前に、この夜会に参加した全員に、魅了されているかどうかの鑑定を受けてもらう。魅了されている者たちは、どんな指示を受けて何をしてきたのかをすべて調査してから、解呪(ディスペル)することとする。この夜会は国の存続をかけた、魅了魔法にかかって悪事を働いている者たちをあぶり出すために用意されたものだ。この国を愛する諸君らには、理解してもらえると信じている。」


すべての参加者の礼が、一段階深くなる。


「イシュタル、セレニア。この者は、それ程までに危険か?」


「「はい。恐らく、この世界で一番の(_乙女ゲームの)魅了魔法の使い手(ヒロインは最強)でございます故。」」


「それ程までか。優秀で信頼できると思っていた宰相が魅了されるくらいだ。イシュタル。この氷の檻(アイス・プリズン)はいつ解ける?」


「大気中の魔素が無くならない限りは、このままでございます。」


「では、氷の檻(アイス・プリズン)ではなく、氷の棺(アイス・コフィン)にしてくれ。」


「はい。」


私は氷の檻(アイス・プリズン)の半分ほどの高さの蓋のない氷の棺(アイス・コフィン)氷の檻(アイス・プリズン)の外側に作り、氷の檻(アイス・プリズン)を解除した。


途端「私を助けるのよ!!」と叫びながら、氷の棺(アイス・コフィン)を乗り越えて逃げようとするピンク女。

それを助けようと、走り寄る数十人の男たち。

今度は一番強い魅了魔法を重ねがけしたようだ。


「ライアン!」


王様が、めっさ強そうなイケてる中年男性(おじさん)に向かって、一振りの剣(鞘付きの剣)を投げた。


イケてる中年男性(おじさん)は剣を受け取ると、鞘が付いたまま、ピンク女に駆け寄ろうとしている男たちの急所を的確に突いていった。


(剣道の、突き?)


すべての男たちが床に倒れて動かなくなると、イケてる中年男性(おじさん)は剣をスラっと抜き、ピンク女に切りかかった。


数回の斬撃音の後、その場に散ったのはピンク女ではなく、ピンク女の着ていた派手で嵩張るドレスとワイヤー入りパニエだった。


「きゃあぁぁぁっ、この、変態!!」


ピンク女が叫びながら、氷の棺(アイス・コフィン)の中に座り込む。

因みに、簡素なドレスに見えるアンダードレスは着ているので、変態と呼ばれる筋合いはない。


氷の棺(アイス・コフィン)


詠唱すると蓋付の氷の棺(アイス・コフィン)が現れる。


氷の棺(アイス・コフィン)の中から少し音が漏れてくるので、一回り大きな氷の棺(アイス・コフィン)を音が漏れている氷の棺(アイス・コフィン)が収まるように作った。


人の命を・・・なんて、罪悪感は湧いてこなかった。


あのホラーな殺戮ゲームでのピンク女の所業を見てきた(プレイしてきた)からだろう。

これから自分たちが生きて行かなければいけないこの世界から、災害の芽は摘んでおきたいと強く思ったのだ。

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