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気がつくとそこは、煌びやかな世界でした ~婚約破棄宣言?~

「エロイーズ・パーカー!イシュメルさまはあなたのような悪役令嬢とは、婚約破棄するのよ!!」


ふわふわのピンク髪、ピンク目という、あり得ない色彩の女性が()の右腕にしがみ付きながら叫んでいる。


(え?えっ?ちょっとなに?誰これ?利き腕に掴まらないでくれる?痛いし、香水やらなんやらの強い臭いが混ざって、めっちゃ臭いんだけど!!)


目の前には煌びやかな光景。

ファンタジーな世界の定番である、なにかしらのパーティーの真っ最中のようだ。

中世ヨーロッパ風の衣装に身を包んだ男女がいっぱいいて、全員がこちらに注目している。

部屋の一角には楽団がいて、こんな状況にも拘らず、音楽を演奏し続けている。


私が居るのは、なぜかホールから数段高い位置にある、ステージのように広い階段の踊り場。


目の前には、ポカンと口を大きく開けた、可愛い女の子。


・・・んん!?この可愛い容姿には見覚えが・・・ある。


改めて右腕にしがみ付いているいる()()を見る。

こっちも見覚えが・・・・・はっ!!


(これ、()()()()()「ドキドキ☆私のプリンス様!」のヒロインと悪役令嬢じゃない!

まさか交通事故死して、乙女ゲームの世界に転生しちゃったの?

えっとぉ?まさか、コレ(ヒロイン)が纏わりついているってことは・・・まさかまさか、私が・・)


すいっと、自分の胸元を見る。


・・・無い。


自慢のDカップの美乳が無い!


「イシュメルさまぁ~、イシュメルさまからも言ってくださいませぇ~。エロイーズはぁ~、エリカのことをぉ~、ずぅ~っと、虐めていたんですよぉ~。死刑ですよねぇ~☆」


まわりに人がいるし、鏡はないし・・・自分を確認するため、やむを得ずピンク女の目を見る。


なにを勘違いしたのか、ピンク女が嬉しそうに私の腕に自分の胸(明らかに偽乳だな!)を押し付けてくる。


そこには、()()()()()姿()が映っていた。


(普通こんなにはっきり人の姿なんて映し出されないよねぇ。これもご都合主義、ゲーム仕様なんだろうなぁ・・にしてもキモいな、この女。)


こんな状況でも取り乱さない自分を褒めつつ、言葉を発する。


「放せ。」


・・あれ?これ、日本語じゃないぞ?口や舌の動きが違う。気持ち悪い。


「あぁ~ん。放しちゃだめですぅ~。これから断罪するんだからぁ~、貴方たち、絶対にエロイーズを放しちゃ、めっ、ですよぉ~!」


その声にハッとして前を見ると、いつのまにか、目の前の可愛い女の子は、2人の男に両腕と肩を掴まれ、その場に抑え込まれていた。

そんな目に遭いながらも、彼女は冷静に状況を判断して、呟いた。


『なんだこれ?()()()()()「ドキドキ☆私のプリンス様!」のイシュメルルートの断罪スチル?』


その日本語にハッとする。


『私は杏蒔荏(アンジェ)。貴女は誰?』


「イシュメルさ『焔寿(エンジュ)


焔寿(エンジュ)杏蒔荏(アンジェ)

それは、乙女ゲームにのめり込んでいた両親に苦しめられ続けていた、仲良し姉弟の名前。


「「「お前たち、エロイーズ嬢を放せ!!」」」


・・・何故か、3つの声が重なった。

()()()()()() 「ドキドキ☆私のプリンス様!」


頭はお花畑、お腹は真っ黒、最強魅了魔法使いである、ピンクの目と髪を持つ性格が破綻している女(一見ヒロイン)が、自分より魅力的な貴族の令嬢を次々と悪役令嬢に仕立て上げながら、虐めぬいて破滅に追い込んでいく、乙女ゲームと勘違いしそうなタイトルのホラーゲーム。

ルート次第では、悪役令嬢()攻略対象と幸せになれる。


乙女ゲームの新作と間違えて買ってきた父が、休日前夜にプレイし始め、夜中に絶叫した曰く付きのゲーム。

しかし、乙女な心を持つ両親は、これが乙女ゲームであると信じ続けている。

故に(ゆえに)杏蒔荏(アンジェ)焔寿(エンジュ)も、こんな乙女ゲームもあるんだ、とこれが乙女ゲームであると信じている。

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