1話「人生ってつらい」
俺の人生どこから間違ったんだろうか。東京にあるボロアパートの6畳一間で布団にくるまりながら、ぼんやりと死んだ魚の目をしながら考える俺こと斎藤佑樹は今絶望の真っ只中に立たされている。
高校卒業と同時に、北海道から東京の就職先の近くのアパートに引っ越してきた。しかしその就職先がとんでもないブラックで俺は一か月と持たずに会社を辞めてしまった。親に泣きつき、2年間は仕送りを貰って生活をしていたわけだが、父親のリストラが原因で仕送りを止められてしまった。一応節制はしていたから、20万円程は貯金もあるのだが、それでも毎月の生活費を考えると残り2,3か月が限界だろう。
普通の人ならバイトでもなんでもいいから見つけて、生活費を稼ぐのだろうが、ブラック企業でのパワハラと2年間のブランクですっかり人間不信に陥ってしまった。 外に出るのも深夜帯のコンビニがやっとだってのに、日中にしかも働くなんて絶対無理だ。でも貯金が無くなれば、家賃も、食べるものも、水光熱費も、ケータイ代も、ネットもすべて払えなくなってしまう。
「一体どうすりゃあいいんだよ・・・・・・」
布団から起き上がり、頭を掻きむしりながら必死に考える。しかし、考えても考えても答えは出ない。
これはもう実家に帰るしかないんじゃないか? いや、実家に帰ったところで、親には仕事をしろと催促されるのがオチだ。それにせっかく東京に出てきたってのに、実家にとんぼ帰りもしたくない。
「やっぱ働くしかないか・・・・・・。とりあえず求人見てみるか。」
俺はノートパソコンの電源をつけて、家から近い所の求人を探してみる。人とはあまり関わりたくないから、一人で黙々と作業できる所がいいな。そんなことを考えながら色々な求人サイトを見てはいるが、元々の働きたくない願望が強すぎるせいか、どの求人を見ても応募しようとはかけらも思えない。
大体なんだよ。求人の説明欄の所に社員と思われる人が笑顔がはち切れんばかりの集合写真を添付して、この職場はアットホームな職場です! 分からないところがあれば気軽に聞けるので安心して働けます! みたいな一文を見ると、反吐が出てしまう。俺が前働いていた職場の求人にもそんなような内容が書かれてあって、社会経験がない俺は素直にそれを信じてしまって、蓋を開けてみれば、みんな死んだ魚の目をしながら働いていて朝から深夜まで働くのは当たり前。しかも残業代も出ないし、上司の罵声はひどいしで散々な目にあった。もう絶対だまされるもんか。
俺はいらつきながら、PCの画面をスクロールし続ける。しかし、俺の偏った精神状態のせいなのか、それとも仕事内容や給与の希望が大きすぎるのか一つも応募したいと思える求人がなく、俺はブラウザをそっと閉じた。気分転換にとふだんは締め切っているカーテンを開けると、夕焼けが差し込んできて少し眩しかった。外を見ると会社帰りのスーツを着た人や部活帰りの学生が歩いていた。みんな毎日会社や学校行ってて偉いよなぁ。俺なんて働く事考えただけで気分が落ち込むってのに・・・・・・。
そんなことを考えると夕焼けの儚さと相まって本当に気分が落ち込んできたので、急いでカーテンを閉める。少しお腹が空いてきたので、冷蔵庫を開けるが食料がなかった。こんな時に限ってストックを切らすとはついてないなと思いながら俺は仕方なく布団に横になる。
「まだ時間はあるんだ 焦ることはない 俺は大丈夫 大丈夫だ。」
心の中の不安を払うかのように、俺は一言呟いてから眠りについた。この頃の俺はまだこれから起こる事を知らなかった。夏の真っ只中突如訪問してきた彼女と俺の人生矯正プログラムの事を。
小説なんてろくに読まない上に書くのはこれが初めてなので、文章構成等、変な部分は色々あると思いますが、コメントなので色々とご指摘頂ければありがたいです。 それとキャラクターのプロット等も次回出せればなと思っています。 よろしくお願いします。