第2話 パンツ
「知らない?超能力って」
大橋さんは純粋な疑問に素で聞き返してきた。
誰だって知ってる、高校生になって『超能力』やら『魔法使い』なんで言ってる人は確実に拗らせ厨二病なのだと。
「えっと……本当に超能力者なの?」
「いや、まぁ、そうだけど?なんなら一回見せたげる」
え、見せる……?
そこまで自信あるのか、と思うとこちらまで恥ずかしくなってしまった。小学校の頃にやった簡単なマジックを超能力って言ってるだけなんじゃ、と思っていた私は絶句した。
「ほら、見える?私浮いてるけど」
「う、浮いてるぅぅぅぅぅぅぅううう!?!?」
浮いてる、めちゃくちゃ浮いてる!
ジャンプして『一瞬飛んだでしょ?』とか言ってる人とは訳が違う。本当に空中に浮遊してるから。私の頭上をクルクルと回ってるから。
「ほとんど人に見せた事ないんだけど、そんなに驚くんだな。それにしても良いリアクションだぜwメガネ突き破るくらい目ん玉飛び出しそうになってたしなw」
「えっ、でもこれほんとに浮いてっ、えっ?」
「んん、もしかしてまだ疑ってんのか?じゃあこれも見せとかねぇとな」
次の瞬間、飛んでた大橋さんは消えてしまった。
と思ったら、屋上のドアから出てきて笑顔を見せてきた。
「びっくりしたか?『瞬間移動』は能力者の代名詞って感じだろ?まぁ、私は使いすぎると運動しなくなって太るからあんま使わないんだけど」
「え、意外と乙女っ……」
「いや、私も女子高生だぜ?流石に意識するわ」
とりあえず、理解した。大橋さんは『本物』の超能力者であると。堅物真面目キャラで売ってきた私を一瞬でファンタジー世界に誘ってしまった超能力者であると……
でも、一つだけ言いたいことがある。好みの問題かもしれないけど友達として伝えたいことがある。さっきの空中浮遊で見えてしまったから。
「でも、女子高生でその下着の色はちょっとダサ……」
「そっ、そんなこと言うなよ!気に入ってる奴なんだから!」
扉のところから一気に瞬間移動で距離を詰め口を塞いできた。超能力って便利だな、なんて思う午後だった。