第3章 ♯30 人の心を動かすもの
「ところで、何で俺が外の世界に出たこと知ってるんだ?」
「そ、それはですね・・・。」
「このストーキングシスターがミコトくんをストーカーする追跡魔法を使って知ったんだよ!」
「誰がストーキングシスターですか!」
「お前だろ!」
「旦那様がいつ、どこにいるか、24時間知っておきたいのは当然ですよね!?」
「いや、それはストーカーの域に達してんだろ。
こえーな。」
「旦那様まで酷い!!」
次の日、俺は二人を連れてホテルに行き、朝礼を行う。
「皆、この町の新しい仲間だ!
ジョニーとハーミィだ!
仲良くしてくれ!」
「ジョニー?
ジョニーじゃないか!!
生きていたのか!!」
「ん?知り合いか!?」
「ジョニーは元リーガル出身です!
舟で漁に行ったまま帰ってこなかったんです!
良かった!
生きてたんだな!!」
「そうか、じゃあジョニーとハーミィは元リーガルに行くか?」
「元とはなんだ?
リーガルはどうなったんだ??」
「ああ、俺が一回滅ぼしたよ!」
「滅ぼしたァァァ!?」
「ミコト!言い方ぁぁぁ!!」
「大丈夫だ、今は新しく綺麗になってるぞ!!」
「びっくりした・・・。
皆殺されたのかと・・・。」
「そんなことするわけ無いだろ?
そっちに行くか?」
「でも、ハーミィが・・・。」
「なあ、皆は獣人のこと、どう思う?」
「どうって・・・人間界の敵だと教えられてますが・・・。」
「因みにこのハーミィは獣人だ。」
『えぇぇぇぇぇ!!!』
「ハーミィが獣人だから仲良く出来ないと言う人は出てきてくれ!
・・・仲良く出来るまで拷問にかけるから。」
『ひぃぃぃぃぃぃぃ!!!』
「獣人だから仲良く出来ない奴は躾が必要だからなあ・・・。」
「ミコト、それはただの脅しだよ!!
解決になってないよ!!」
「だってその方が早いじゃん!
獣人より俺のほうがヤバいって教えたほうがいいだろ?」
「ミコトがヤバいのは皆もう知ってるよ!!」
従業員全員が頷く。
「え、皆そんな目で俺のことを見てたのか!!」
「ミコト様。
実は私達も獣人は敵と教えられてますが、実際は何でかわかっていません。
会ったこともない者を敵だと言われてもピンと来ないと言うか・・・。」
従業員がざわつくが皆が同じようだ。
「全部、昔の人間が作った柵なんだよ。
皆はハーミィをみて、敵だと思うか?
このジョニーが愛した人だ。
馬鹿な貴族の方がよっぽど敵に見えないか?」
全員が頷く。
「ハーミィ。
今日から俺たちは仲間だ。
もう隠れなくていいからな。
何かあったら俺が拷問にかけてやるからな。
だからといってハーミィも皆と仲良くするんだぞ?」
「はい!
皆さん・・・どうぞ宜しくお願いします!!」
従業員から拍手を浴びるハーミィは涙を流していた。
その後、ニューリーガルに連れて行った。
ジョニーは新しくなったリーガルに驚愕していた。
まるで竜宮城から戻ってきた浦島太郎のようだった。
此方でも従業員を呼び出し、話をした。
やはり、教えられただけでよくわからないと言う者が多かったが、年配の者は違った。
「ミコト様、獣人は人間界を脅かす敵なのですぞ!
今すぐ送り返した方が良いですぞ!!」
というものがいた。
「くだらねえこと言ってんじゃねえ。
年寄りだろうと拷問にかけんぞ?」
と脅したら黙った。
獣人より俺のほうが怖いみたいだ。
ジョニーも両親と再開出来た。
ハーミィの事を紹介すると驚きはしたが、歓迎されていた。
取り敢えず、二人の事は解決した。
根本的なことは解決はしてないけどな。
俺は自分の町に戻り、ガンテツさん達がいる工房にいく。
相変わらず、オリハルコンを夢中で加工するドワーフ達。
「ガンテツさん、船を作ってくれないか?」
「船だと?
そんなもん作ってどうするんだ?」
「外の世界に行きたいんだ。
その為に船が必要なんだ!」
「外の世界か・・・。
ミコトは人間界を出るのか?」
「ああ。他の世界でも俺は革命を起こしたい。
だから作ってくれないか?」
「しかしなあ・・・
皆今はオリハルコンに夢中で、やってくれるかどうか。」
くっ!船を作ってから渡せば良かったか!
取り敢えず全員を呼びつける。
皆が作業を中断されて渋々こっちにくる。
「なんじゃと、船だと!?
そんなもん作るならオリハルコンの武器作ったほうがよっぽど楽しいわい!!」
このクソドワーフが!!
「そう言わずに作ってよ!
オリハルコンあげたでしょ?」
「あれはこの前の器具を作った報酬だ。
船を作るのとは関係ない!」
お前らのオリハルコン全部砕いてやろうかな?
「そんなこと言わないでやってやらないか?
ミコトは俺たちに約束以上のオリハルコンくれただろ?」
お、ガンテツが味方してるな。
いいぞ!
「あんなに作らされたんだ!
このくらいもらって当然だろう!?」
よし、砕く!
木っ端微塵にしてやるよぉぉぉぉ!!!
「オリハルコン一個で幾らだと思ってるんだ!!
軽く100億はいくんだぞ!!
それをミコトは惜しげもなく大量に出したんだぞ!?
この前の器具全部売っても2億ちょっと!!
俺たちの働きは全く対価と合ってないじゃねえか!!
それなのに当たり前のように言いやがって!!
お前らにプライドはないのかぁぁぁぁ!!!」
ガンテツ渾身の一喝!!
ドワーフ達はドキッとするが、あちらも意地になっている。
「ふん!なんと言われようとやらんよ!
もう貰ったもんも返さないからな!!」
「くっ!お前らなんて呼ぶんじゃなかった・・・。」
「ガンテツさん、有難う。
もういいよ。
気分悪いからもう皆はドワーフの里に帰ってくれ。
今迄有難うな。」
「・・・そうさせて貰う。」
「さて。ガンテツさん、しょうがないから二人で作りませんか?
パーフェクトオリハルコンで作られた船を!!」
「パーフェクトオリハルコンだと!?
ミコト、なんだそれは!?
どこでそれを・・・!?」
「ダンジョンですよ?」
実はレベル7の46階にはオリハルコンの岩モンの進化版がいたのだ!
かなり硬かったが俺の紫紅で何とか斬れた!
この世界で斬れないものは無いと言われただけあるな。
勿論、紫紅と合成済みだ!
〈この世界では斬れないものは無い〉から〈この宇宙で斬れないものは無い〉まで進化したよ!
ダンジョンクリアの時は同じオリハルコンだと思っていたが、後でよくよく調べたらパーフェクトオリハルコンというオリハルコンの10倍硬いと言われた正真正銘のオリハルコンだ!
決して後付設定ではないぞ!
「さあ、行きましょう!
パーフェクトオリハルコン見せてあげますよ!」
「是非見せてくれ!!
そんな鉱石があるなんて初めて知ったぞ!!
オリハルコンの10倍だと!?
正に革命ではないか!!」
「船を作り終わったらガンテツさんに分けてあげますよ。
まだまだいっぱいありますからね!!」
「本当か!?
よし、船は俺に任せろ!!
世界一の船を作ってやる!!」
「有難うございます!!
さあ、早速行きましょう!!」
「ちょっと待ってくれぇぇぇぇ!!」
「おや、皆さんどうしたんですか?
お帰りはあちらですよ?
俺たちは船作りで忙しいんです。
早く里に帰って、そのただのオリハルコンと遊んでてください。
では、さようなら。」
Ririみたいに言ってみた!
《失礼な。
私はもっと冷たく言いますよ。》
どうやら辛辣さでは、まだまだRiriに勝てないらしい。
「いや、あの・・・」
ドワーフ達も意地を張った手前、上手く言い出せない。
「おや、まさか頑なに船を作るのを拒んだ癖にパーフェクトオリハルコンの存在を知ったからって掌を返すつもりですか?
どんだけ欲が深いんですか?
もうオリハルコンを手に入れて夢が叶ったから満足でしょう?
夢はオリハルコンですもんね。
もうお目当てが手に入ったら他はどうでもいいんでしょう?
ガンテツさんとは違い、温情のない人達にはもう用はありませんよ。
早くこの町から出て行ってください。
人の為に働けないドワーフはこの町に要りません。」
「ぐっ!!」
何も言い返せないドワーフ達にガンテツさんが言う。
「お前ら・・・もう意地を張るのはよさねえか?
ミコトは俺達の夢を叶えてくれたんだぞ?
長年探し求めたオリハルコンを簡単に手に入れて、更には惜しげもなく、頑張ってくれたからって対価に全く合わない数のオリハルコンを追加でくれたんだぞ?
それなのにお前らは・・・!!
ミコトの誠意を何もわかってねえな!
お前らはドワーフの前に人として最低だな!!
ミコトが従えているモンスターだって料理一つで懸命にミコトのために戦うんだぞ!!
お前らはモンスター以下だ!!
てめえらにオリハルコンを扱う資格はねえぇぇぇ!!
さっさとオリハルコン置いて里に帰りやがれぇぇぇぇぇ!!!!」
ガンテツさんに更なる一喝をされたドワーフ達はその場に膝から崩れ落ちる。
因みにガンテツさんには熊五郎達の話を世間話的な感じで伝えてある。
ガンテツさんは熊五郎たちにはあってはないが、とても感心していた。
「ミコトさん、すまねえ・・・。
俺達はいい気になっていた・・・。
ミコトさんの好意も当たり前だと思ってしまっていた・・・。
ガンテツの言う通りだ。
あんなに夢見たオリハルコンを貰えたのに、俺達は・・・。
頼みます!!
俺達も船を作るのを手伝わせてください!!
パーフェクトオリハルコン抜きでいいから!!」
皆が土下座をしてきた。
俺は皆の前に座り、話し始める。
「頭を上げてくれ。
是非、協力してくれ。
冷たいこと言って悪かったな。
勿論、手伝ってくれたら皆にもこれを渡す。」
俺はアイテムボックスからパーフェクトオリハルコンを取り出す。
「こ、これがパーフェクトオリハルコンか!?
確かにオリハルコンより輝き方が違うし、密度が濃い!!
なんて素晴らしい鉱石なんだ!!」
ガンテツさんがパーフェクトオリハルコンを手に取り、涙を流す。
「こんな鉱石がこの世にあるとは・・・。」
「但し、約束してください。
船を作った後も人の為に働くこと。
これから、アスラが貴方達にこの前の器具作りを頼みに来ると思う。
それを手伝うこと。
この町の発展のために船も作り続けること。
もしも、これが嫌であれば今すぐ里に帰ってもらってもいい。
また、今回みたいにパーフェクトオリハルコンをも貰った後に、これに夢中で他の仕事の依頼を断ったら・・・。」
俺は紫紅を取り出し、パーフェクトオリハルコンを細かく切り刻む。
「貴方達に渡したパーフェクトオリハルコンは、このように粉々になりますよ?」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
パーフェクトオリハルコンがァァァァァ!!!
ミコト、てめえ!!
何してだぁぁぁ、このやろぉぉぉぉぉ!!!」
滅茶苦茶キレたガンテツさんが俺に襲いかかる!!
「いきなり襲いかかってんじゃねぇぇぇぇ!!
何しやがるだ!!」
「それはこっちのセリフだ!ボケぇぇぇ!!
折角のパーフェクトオリハルコンを粉々にしやがってぇぇぇえ!!
鉱石に謝れぇぇぇぇ!!」
「うるせぇぇぇぇぇぇ!!
俺が取ったもんを何しようと勝手じゃねえか!!
このクソジジイ!!」
「ああ?てめえはこの鉱石の有り難みが全然分かってねえ!!!
持ってるもん全部よこせぇぇえ!!
俺が保管する!
お前に持たせたら全部粉々になっちまうだろぉぉぉぉがァァァ!!」
「バカか!てめえはぁぁぁぁぁ!!
そんなことするわけねぇぇぇだろうが!!
船作る前にやるかボケェェェェ!!」
取っ組み合いの喧嘩になる俺とガンテツ。
パーフェクトオリハルコンを粉々にされたショックで魂が抜ける他のドワーフ達。
この後、物凄く騒がしい工房に様子を見に来たリラ達に止められ、騒ぎは収まった。
ジュリアに創造魔法で復元の魔法を作ってもらい、パーフェクトオリハルコンは元通り。
ガンテツの機嫌も同じく元通りになった。
そして話を再開する。
「話がガンテツさんのせいで脱線したが・・・」
「ああ?俺のせいじゃねえだろうが!」
「ああ?てめえが襲ってきて話を遮ったんだろうが!!」
「やんのか、てめえ!?」
「上等じゃ!、返り討ちにしてやんよ!!」
「はいはい、喧嘩はそこまで!!
ミコト、みっともないよ!!」
「そうですよ!
話が進みません!!!」
「これだからガサツな男達は嫌だよなあ。」
「ミコトさんもガンテツさんも大人になってください!!」
いや、貴女達に言われたくないよ?
初中後、喧嘩しているよね?
「兎に角、貴方達は約束できますか?
嫌なら良いんです。
何の罰も与えないし、引き止めもしません。
選んでください。
町に残って人々の為に働くか、今すぐ里に帰るか。」
誰1人としてその場から動かなかった。
「ワシ達はここに残る。
船を作っても約束は守ろう。
だから、ここに置いとくれ!!
頼む!!」
「有難うございます。
じゃあ早速船を作りましょう!!」
『ウォォォォォォォ!!!』
「船か!!良いだろう!
最高のものを作ってやるぜ!!」
「ふふ、俺の邪眼の力をなめるなよ!!」
「作ってやるよ!世界の果ての未知の波でも…胸をはって乗り越えていく…夢の船を!!」
「オラ、ワクワクすっぞ!
いっちょやってみっか!!」
くっ!やはり来たか!
ドワーフの里のアニメ文化め!
やはり行ったほうがいいのか!?
こうして、俺達の船造りは始まる。
やはり俺の超必殺技、買収は無敵だな・・・。
おはようございます。
本日も一日頑張りましょう!!
今日はちょっとした手術の為、更新できても1話になると思います。
楽しみにして頂ける方には申し訳ないですが、宜しくお願いします。




